第89話 ふんわり山芋焼きに絶賛
フライパンに流し込み、縁が泡立ってきたらコテでひっくり返す。
いい感じのきつね色に焼けていたから、あとはもう片面も焼けるまでじっくりと待つだけ。
タレは和風出汁があればいいんだけど……ないから、今回は醤油とティーテウの果汁を味見しながら混ぜ合わせていく。
焼き上がったら、コテで切り分けてタレをかければ完成。どんな感じかな~って、フォークで刺せば……ふわんとした感触が伝わってきた。
「いただきまーす」
甘辛い醤油味のタレとの相性は如何に?
パンケーキとは違うふんわりした食感は、山芋のはずなのにスフレチーズケーキみたいにしゅわって溶けて消えた? そんな表現が浮かぶくらい面白い食感だったんだけど……とっても美味しいの!! 生地だけだとほのかに甘いだけだから、甘辛い醤油ダレの味とベストマッチ!!
「ふんわりしてるのに、溶けて消えた~~!! 美味しい~~」
『もう、我慢ならないわ!! マリンちゃん、食べていーい?!』
「いいよ~~。皆も虜になって~~」
『食べる食べる~~』
「いただこう」
で、ほかの三人も食感に驚いたから、目が点になっていたの。見てて面白いけど、これは本当に美味しい。関西風のお好み焼きが作れれば、絶対に美味しいと思うわ。だけど……材料不足過ぎるから、それは目標のひとつにするしかない。
『んま!! ふわふわなのに、すっ、と溶けたわ~~』
『不思議~~。根っこがこんな感じになるんだ~~』
「……美味い。ひと切れじゃ足りない」
「けど、残念です。材料これだけ」
「くっ……!! 俺も探査してくる!!」
「セルシス、どうどう。今はもう夕方前なのよ?」
「……そうだった」
ザクロさんやレシアムが居てくれても、私やセルシスだとまだ強い魔物と対峙出来るのなんて無理。
なので、夕方以降の食材調達は基本的にしないようにしている。ケガしてまで、食材調達しなくても山と川の恵みは豊富にあるもの。あと、ザクロさんのその日のお土産兼狩りの成果とか。
「また明日探しに行きましょう? 山芋を見つけるには少しコツがいるの」
『粒みたいな実と、乾き切ったツルだっけ?』
「そうそう。野生の山芋を助けるヒントなの。長さとかは掘ってみないとわかんないんだけど」
ムカゴも今回収穫してきたから、それを塩ゆでしてからあげっぽくしたんだけど……皆もだけど、私も思った。これ、絶対ビールとか欲しくなるくらいのつまみ!!
だけど、セルシスも私もこの世界の実年齢じゃ飲酒なんて到底先だから……我慢ね、セルシスはあと二年だから、十四ならいいなんて!! 羨ましいけど、私はあと十年近くまたなきゃいけないのよぉおおおおお!!?
外見と中身の不釣り合いだけなら、あとちょっとなのにぃいいいい!!
次回はまた明日〜




