第76話 温泉にちょいと遠出
「ねぇ、ザクロさん。聞きたいことがあるんだけど」
『なぁに? マリンちゃん?』
その日もコカトリスとかの肉で照り焼きっぽいメインを作り、食事を楽しんでいた。
ただ、食事を楽しんでいる途中に、ふと、思い浮かんだことが出来たの。それをザクロさんに質問しようと思ったのね。
「このグルーミンの山の中に、『温泉』ってあるの?」
『……オンセン??』
「水じゃなくて、お湯の泉って感じ。熱湯じゃなくて、ひと肌くらいの適温とかの」
『へぇ? マリンちゃんはそれに興味があるの?』
「前世だと色んな場所に、たくさんの温泉があって効能も違ってたのよ」
山の中に温泉というのが日本では結構多かった。水路を繋げて、海辺近くで温泉ってのもたしかあったはずだけど、今いるとこは完全に山の中だもの。
拠点の湯舟で毎日のようにお風呂に入るのもいいけど。天然記念物級のもあったら体験したいのよね? 今の私には水着もあるから、皆でいっしょに入ることも出来るし!!
『山の中に湯の泉ね? ん~~~……滝からすると、真裏の方向に近いのがあるかも』
レシアム先生が、早速探査の魔法とかで確認してくれていた。ということは、今拠点にいるから徒歩だと20分強かしら? 滝を乗り越えれば短縮できるから、そこは魔法で消去法を取ればいいし!!
「んじゃ!! 片付け終わったら出発よ~~!!」
「……アルマリン。湯とは言え、水浴びと同じつもりか?」
「そうよ? 水着はセルシスもいっしょ」
「……わかった」
いかがわしい想像はしてないでしょうけど、ちょっとだけびっくりしたんでしょうね? 普段のお風呂は別々だからそう考えてもおかしくはないわ。
ザクロさんは先にそれらしい場所を探しに動いてくれて、私たちは準備が出来たら浮遊魔法も使って移動していく。箒に乗る魔法とかじゃないけど、アスレチック体験みたいで毎回新鮮なのよね? この方法。
けがのないように進んで、レシアムがおいでおいでと止まっていた場所にまで移動すると。ふんわりした湯気の中に花のようないい香りがしてきたわ!!
「硫黄じゃない?」
『ううん。お湯の匂い~~』
「こんないい香りなのか?」
『ザクロが先に待っているよ~?』
レシアムの案内で徒歩移動に変えて進めば。少し開けた場所にザクロさんらしい巨体の影が見えたわ。
『マリンちゃぁん!! 素敵よ、ここぉ~~』
ザクロさんが浸かっていても、余裕のあるスペースの湯の泉こと自然温泉。
ふんわり漂う、お湯の匂いが素敵過ぎて入浴剤を使ったような印象を持ったわ。湯の色も乳白色だし。
「わぁ! 素敵!!」
「色のある、湯か?」
「温泉だと透明もあるけど。ここはにごり湯なのね? これも温泉の特性よ」
「……入るのか?」
「ザクロさんも既にご堪能中だし!! 私たちも突撃よ!!」
魔法でささっと着替えて、軽くかけ湯をしてからざぶんと入る。ちょっと熱めだけど、慣れていくといい気持ちわ~~!! ザクロさんのところまで移動して、横に座ろうとしたらちょっと深いから立つことにした。
『んふふ~。魔力の溶けこんだお湯なのねぇ? あたしの朝狩りのときに使った魔力もしっかり元通りよん』
「へぇ? これ、そんな便利なパワースポットなの?」
『パワースポット?』
「う~ん。回復できる場所みたいな?」
『マリンちゃんの知識は、ほんと色々面白いのがあるのねぇ?』
「にわかなとこもあるけど」
適温ではあっても少し熱めだったから、岸に座って途中足湯に変更。そうすると、ゆるい風が吹いてきたお陰で足元だけでも随分とあったまることが出来たわ~。
次回はまた明日〜




