第74話 ランクちょっと上の狩りでも
『ぼくの分身体を連れてって』
レシアム殿が帰ろうとしていたあたしに、そんなことを言ったのよね?
なんでか、は、理由があるでしょうね。本体が離れたら、あの子たちを守護する存在がいなくなるもの。
片方は転生者で、中身大人でも。
片方は外見は青年で、中身はまだ少し子どもだもの。
保護者がいないと、少しも安心できないのがグルーミンの山だもの。あたしはまだまだランクが上でもひよっこに過ぎない。狩りとかでしか、あの子たちのお手伝いは出来ないが……レシアム殿も自分なりに挑戦してみたいのかしらん?
顕現するのは久しいって言っていたし。自分なりの狩りの方法でも考えて、あの子たちの役に立ちたいのかも。だって、あの子たちがいつまでもこの山で生活するなんて思っていないから。
マリンちゃんの外見は成長しても、まだまだ人間では子どもでしかない。
セルシスちゃんの外見は整っていても、街中に出ても常識が通じないのは当然。
あの子たちは、【宝石族】。
人間や魔物とは縁遠い存在だったのに、本人たちの意志でこの山で生活している。
でも、マリンちゃんの外見がもう少し成長したら……お別れでしょうね?
それまでに、この山での攻略法を保護者のレシアム殿が覚えてて損はないはず。魔法はマリンちゃんたちも使えるけど、コカトリスとかは簡単に仕留めれるかわかんないもの。
『レシアム殿? あの子たちに甘々じゃない?』
『ふふ。特にマリンは見ていて飽きないんだ。自分で攻略法を編み出すくらいは出来そうだけど、契約したからにはぼくも学び直しておきたくてね』
『なるほどね?』
保護者だけじゃなくて、たしか契約してたんだったわ。あたし、そこんとこ忘れてたわね?
翌日の明け方前に、行動に移ったんだけど。前に見つけたあいつらの痕跡はとっくに消えてたから、少し遅くなってもいいだろうと慎重に探すことにしたわ。
『視線だけで相手を石化させる。それを防ぐ方法を君はどうやっているんだい?』
『簡単よ。糸であたしの目のほとんどを『塞いじゃう』の』
『見えないんじゃ??』
『隙間から覗きみるくらいに薄く張るのよん。だから、ちょっと手間いるんだけど』
気配からそれらしいのを見つけたときには準備を整え。目を塞ぐのとは別の糸とかを周辺に張り巡らせていく。
じわりじわり、範囲を縮めて囲んで……出来たら、一気にぐるぐる巻き!! この時に、目以外にも石化の魔法のブレスみたいなのを吐くから、目の保護は重要なのよね? 盾がわりというか仮に固まってもパリンっと割れるくらいで済むから。
実際目の回りの二、三個は割れたわ。
『へぇ? 効率よく急所を突くだけでもダメなんだ?』
『首落とせば……とかもあるでしょうけど。マリンちゃんのことだから、あますことなく利用してくれると思ってね?』
『たしかに。オークの臓物も毒素を除いて、美味しく食べさせてくれたし』
『そうねん。あたしもまた食べたいわぁ』
一回食べさせてもらったんだけど。焼き肉って方法だと、ぷるぷるとかとろとろして美味しかったの。臓物は『コラーゲン』とやらが豊富だから美容にもいいんですって。
だったら、今仕留めたコカトリスとかはどうなのかしらん? バジリスクは今回獲りに行かないけど……カラアゲには美味しいかもって言ってたし、ありかもしれないわぁ。
とりあえず、複数のコカトリスを確保してから分身体といっしょに拠点に向かうことにした。
次回はまた明日〜




