第102話 私、チロル
私はエンシェントスライム。名前は、チロル。
ザクロお姉ちゃんにつけてもらえたの。可愛いでしょ?
名前をつけてもらうきっかけになったのは、私が種族であるエンシェントスライムになっちゃったからなの。
お腹が空いて、吸収のスキルをつかっただけなのに……ほかの、仲間を吸収しちゃった。そこから進化しちゃったみたい。身体がぶるぶる震えたのは今でも覚えている。
皆、みんな……吸い込んじゃってから、進化が終わったんだけど。皆がいなくなっちゃって、私はすっごく悲しくなっちゃった。さっきまでそこにいたのに、なんでいなくなっちゃったのかなって。
だけどそこに、お姉ちゃんたちが来てくれた。
スライムじゃない、大きな魔物なんだけど。優しく声をかけてくれたの。
マリンたちもいたけど、私には同じ魔物のお姉ちゃんの方が安心出来た。名前をくれたお陰もあるかもしれないが、とにかくほっとするの。
普通なら怖いと思う、頭に乗せてもらったりとか。
きれいな場所でいっしょに寝たりとか。
どれもこれもが新鮮で楽しい。ご飯も、マリンたちといっしょに作るから楽しいの。
(マリンたちも、人間じゃないって言ってたけど……)
【宝石族】っていうのは、すごい種族なんだって。宝石って石を司った力を持ってて、それに見合った魔法やスキルが使えるらしい。
マリンはラピスラズリ。セルシスはルチルクォーツ。
石についてはよくわかんないけど、強い力を持つものらしい。マリンと契約しているレシアムは、ラピスラズリの精霊なんだって。お姉ちゃんが『殿』ってつけるくらいだから、魔物よりも偉い存在。
だから、マリンは偉い存在かもしれない。普通にしていていいよって言ってくれるから、気にしていないけど。
『こーぅ?』
「そうそう。鱗を吸い込んで溶かして」
今私は、マリンに魚のお掃除を頼まれている。
私やお姉ちゃんはそのまま食べてもいいものだけど、マリンの作るご飯は美味しいから『ちょーり』っていうのを手伝うことになった。
私はスライムだから、だいたいのものは溶かすことが出来て吸収できる。それを使って、獲ってきた魚のお掃除をしたり、いらない部分を溶かしたりしているんだ~。味は特にしないけど、マリンの役に立てているのなら嬉しい。
美味しいご飯が食べれるんだもの。お姉ちゃんにもたくさん食べてほしいから、手伝いたいって気力が湧いてくる。
仲間を喪ったときは、悲しくて仕方がなかったのに。
誰かが居てくれることが、こんなにも嬉しいってわかったのはお姉ちゃんのおかげ。
マリンたちもいっしょだから、楽しい。
あ、お姉ちゃんが『男』っていうのはわかってるのよ? でも、女言葉使っているし、多分触れちゃいけないから黙っているだけ。マリンだけに打ち明けたら、『ああ、よかった』ってわかってもらえたみたい。
『骨も使うの?』
「スープの素材に使えるの。いい味が出ると思うわ」
それと、マリンの秘密も教えてもらった。宝石族だけじゃなくて、別のとこで生きていた『前世』っていうのの記憶持ちなんだって。難しいことはよくわからないけど、お姫様なのに料理ができるとかはその記憶のお陰らしい。
マリンはきれいで可愛いのに、汚れ仕事もなんでも出来る凄い女の子。
でも、最近になって今の姿になったから、本当は五歳なんだって。セルシスも大人の見た目なのに、十二歳……宝石族って色々凄いんだと思うしかなかった。
私もまだ一歳かどうかなってとこだから……一番年下?っていうのかな。可愛がってもらえるのはすごく嬉しいけどね!!
チロルとして生きていくから、皆と一緒にいたいもん!!
次回はまた明日〜




