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〜第7章〜remember me

プラチナムマウンテンの前に着いた。


と言うコトはアタシが光に導かれて如月と合流する前?


「お部屋に戻りましょう、妃杏様」


如月に促され、ゆっくり歩いて戻った。


2人とも無言で。


如月もきっとドキドキしてるんだろう。


何も変わってなきゃイイけどな。


みんな、如月のコト分かってるよね?


また“誰?”なんて言わないよねぇ。


緊張する。


心臓、飛び出しそう。


如月がずっと手を握ってくれている。


“きっと大丈夫ですよ。”


って言ってくれてる気がした。


目の前から神楽が来た。


迎えに来てくれたの?


「何やってんだよ如月!さっさとセンターホールに行け!!って何でオマエマネージャーのスーツを着ているんだ?最後だからって」


ん?


神楽は如月のアタマをこついた。


何だか神楽、雰囲気違くない?


何だかフランク。


で、“何でマネージャーのスーツを着ているんだ?”


って、どー言うコト??


如月はマネージャーだもん、マネージャー用の黒と白のスーツを着てて当然じゃない。


アタマの中軽く混乱。


そして胸騒ぎもする。


如月もぽかんとしながらも走り去って行った。


ん!!!!!待てよ?????神楽、もしかしてアタシにも。


「妃杏様も参りましょう。如月の儀式の準備をしなくてはなりません」


ダメか・・・。


やっぱり“参りましょう。”だったか。


ちょっとガッカリ。


“敬語でもタメ語でも神楽は神楽”


ってさっき言ったばっかりなのにね。


どうせ変わるならココが変わって欲しかったな。


って、あれっ??


『如月の儀式って、何かあったの?』


皇女との婚約?


「何をおとぼけになられてお出でですか?如月の退官の儀式ですよ。妃杏様もお着替なさって下さい」


た、いか…ん??????????


『どうして!?』


すっとんきょうな声を上げてしまった。


「妃杏様、おかしいですよ?如月は今日で退官です。サルミナ星に婿に行きますからね」


婿???


そんな・・・。


『だってルアナ皇女には皇位継承権が無いからサルミナ星に嫁ぐ必要はナイんじゃないの?』


“まだ皇子が継承権をお持ちなんですから”


って言った時の如月の顔が浮かんでいた。


やっぱり如月と離れちゃうの?


ヤだよ。


「妃杏様!どうかなさいましたか?先程からまるで何も御存知ナイないかのような発言ばかり。サルミナ星の次期皇位はルアナ様ですよ?」


はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?????


目が思いっきりつり上がっていた。


“何も御存知ナイかのような”って、御存知ナイよ!!


『シュナ皇子は?』


「シュナ皇子は弟君ですから継承権はナイではないですか。妃杏様、脳に何か衝撃でも受けられましたか?」


そりゃさっきから衝撃受けっぱなしですよ。


神楽が言ってるのと意味はだいぶ違うケド。


あれっ?そう言えば。


『如月って、どうやって阻止したの?』


歩きながら神楽に尋ねた。


「妃杏様?さっきから一体どうなさったのですか!」


ん?


アタシ、もしかしていなくなったコトになってない?


迎えに来た時も至ってフツーだったね。


“「妃杏様ぁぁぁぁぁ」”


って、“感動の再会”的なモノもちっとも無かったしなあ。


『何だか時差ボケしちゃってるみたい』


「時差ボケ?ですか?どこかに行かれたのですか?妃杏様やはりおかしいですよ?妃杏様はずっとあの場におられたではないですか。如月は、1人でイグアス星に乗り込んで皇女とガイル様の婚約を解消するよう話を付けて来たのですよ」


ほほぉ。


そうなってんのか。


考えてみれば初めからそうすれば良かったのかもな。


なんてやけに冷静なアタシがいる。


やっぱりアタシがいなくなったコトは変わってるみたいだね。


実際、如月がどうやって阻止したかは聞いてなかったから何とも言えないね。


じゃ如月が過去に行ったのも違ってるのか?


『でも良くそれで婚約解消出来たね』


さりげなく聞いてみる。


「妃杏様が如月に託して下さったストーンのお陰です。妃杏様のパワーが通じたんですよ」


なにぃ?????


そこは合ってる。


歴史がかなり入り乱れてるぞ??


じゃあ如月が阻止出来たトコで終わってるってコト!?


如月が迷子になったトコから消えてる(変わってる)ってコト!?


・・・みたいだね。


にしたってシュナ皇子がルアナ皇女の弟って、そこ、変わる意味あるか???


イヤ、ナイだろうよ、間違いなく。


そのせいで如月と別れなきゃいけないんだよ?


『じゃ、アタシのマネージャーは?』


アタシの質問はとんでもなく奇っ怪だったようで、冷静沈着な神楽の顔色を一変させてしまった。


「妃杏様?ちょっと脳波を診てみますか?」


アタシ、そんなにヘンなコト聞いた!?


「妃杏様のマネージャーはもともとワタクシではありませんか」


ぁん??????????


『神楽は皇妃王教育があるから如月がマネージャーに変わ・・・っ』


嫌ぁ〜な雰囲気だぞコレは。


思わず言いかけて止めた。


神楽の顔色が急速的に赤くなる。


神楽とは思えないほど取り乱している。


「なぜワタクシが皇妃王教育を!そんな恐れ多いにも程があります。何をお戯れになっておられますか!!早く戻りましょう!!!」


神楽、尋常じゃなくうろたえてる。


何だかやっぱり嫌な予感。


核心をつくのはさすがに怖かったからその先は聞かなかった。


如月の記憶がみんなから消えてなかったコトをヨシとして。


部屋に戻りアタシは着替えを済ませ、センターホールに向かった。


如月が退官。


戸惑っているのはもちろん如月も同じだった。


アタシが入室するなりアタシに駆け寄ってきて嘆いてる。


「どうなってんですか?皇女が継承権って!」


『しかもどうやら如月がアタシのマネージャーだったコトも変わってるみたいだよ』


「何でこんなコトに?」


如月、泣きそう。


『何て顔してんのよ、今から如月の晴れの舞台が始まるんだから』


アタシは出来る限りの笑顔で言った。


内心、かなりフクザツだけど。


退官するエージェントは、退官式はbossが着る色である全身黒のスーツを着用する決まりがある。


デザインこそbossのモノとは違うモノの、何だか物凄く凛々しく見えるよ。


『カッコイイよ、如月』


目の前の如月の姿が涙でにじんでいた。


「妃杏様」


目を潤ませる如月に、思わず抱きついちゃった。


たまらなく愛おしく思えちゃって。


「何だかフクザツです」


弱気な如月。


『胸張りなさいよ。如月が幸せならイイから。今までアタシにいっぱい尽してくれたんだからこのくらいバチ当たらないよ』


アタシも確かにフクザツだけどね。


如月の男泣きは、とってもステキだった。


式の最中、如月はずっと泣いていた。


何だか実感湧かないな、如月がいなくなるなんて。


今までの如月との思い出が溢れ出てくる。


でも、如月にとってはウルトラスーパーハッピーエンドなんだよね。


だから笑顔で送らなきゃいけないのに、


涙が止まらなかった。


「妃杏様?」


声を掛けてくれた神楽は、今までの神楽じゃナイ。


ただのマネージャー。


それも涙の原因に、少しは絡んでいる。


史実的には別れてないのに実際は別れた別れたようなものだもんね。


「エージェントとしてはAランク止まりだったが、この上ない大出世が出来て、上司として誇らしく思う。オマエはエージェントの誇りだ。退官おめでとう」


神楽が如月に掛けたコトバがアタシと如月には違和感炸裂だった。


如月は“Aランク止まり”なんかじゃないよ!!


マネージャーに上がったじゃない!!


アタシは心の中で叫んでいた。




式の後、アタシは部屋に戻った。


現実に堪えられなくて。


如月のお別れパーティーが行われている中、体調が優れなくて帰って来ちゃった。


如月も顔色が悪かった。


如月も抜けたくて仕方無かったみたいだケド、さすがに主役は抜けれないよね。


ゴメンね、如月。


アンタはまだイイよ。


皇女と結ばれるんだから。


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


もしかして!?


如月が皇女と一緒になれる分、アタシが神楽と離れたってコト!?


だってアタシと神楽はストーンが導いてくれるんじゃナイの???


これからなのかなぁ。


どうしたらイイんだ?アタシ。


ストーンを見つめていた。


やっぱり過去は変えちゃいけないんだな。


マリアスさん、大丈夫かなぁ。


でもアタシのパートナーが神楽じゃなくなったら、マリアスさんもマリアスさんじゃなくなるのかなぁ。


アタシが見た未来は、確かにアタシと神楽は結婚してたのに。


やっぱりこれからなのかなぁ。。。。。


不安でたまらない。


考えれば考える程、吐きそうだ。


ダメだ、少し休もう。










「妃杏様」


目覚めると、目の前に神楽がいた。


「お加減、いかがですか?」


珍しく弱気な神楽だ。


アタシは何も言えなかった。


あまりにもごちゃごちゃし過ぎていて。


『如月は?』


整理が付かず、ボー然とした状態で尋ねた。


「如月もどうやら具合が優れないようで早めに終わってしまいました」


そりゃそうだ。


沈黙の空気が流れる。


「如月と妃杏様、何かあったんですか?」


そりゃあったよ、大アリだよ。


話してもどうしようもないコトだケドね。


アレは、“過去の話”になるの?


それとも“夢の話”になるの?


涙が出ていた。


「妃杏様?」


動揺する神楽。


ホントに覚えてないの??神楽ぁ。


アタシは気持ち、変わってないのに。


やばっ!涙止まらないよ。


「妃杏様!!」


ますますあたふたしている神楽。


「コーヒー、お持ち致します」


いるに堪えなかったのか、神楽は出ていった。


アタシは無意識のうちに、またストーンを見つめていた。


どうしちゃったの?


どうしたらイイの??


ストーンに問いかけて。



「妃杏、イイか?」


お父様!?


慌てて涙を拭う。


『どうぞ』


アタシ、あたふた。


「神楽がいたんじゃないのか?」


キョロキョロするお父様。


『コーヒーを用意しに参りました。お父様の分もお願いしておきますね』


ん?デジャヴか???


何か見た事あるぞ?この光景。


ちょっとだけ違うケド。


『お父様にもコーヒーをお願いします』


「かしこまりました」


何のためらいもなく即答。


「気分は大丈夫か?」


アタシの顔をジッと見ている。


目を見られちゃ泣いてたコト、モロバレだよね。


『何とか』


ごまかしてもごまかし切れないのにうつ向いて答える。


「失礼致します」


神楽登場。


やっぱりデジャヴだよな。


「神楽も座れ」


ん?


「失礼致します」


何??


新たな展開だ。


「しかし、如月は大出世だな。妃杏より先に決まってしまったのが何だが」


とか言いながら、嬉しそうなお父様。


「で、だ」


おや?


アタシは無性にイヤな予感を感じていた。


お父様の表情が物言わぬ何かを感じさせていて。


来たか?


そんな不安と期待が交錯した状態で、


「妃杏は想う相手はいるのか?」


来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


前の展開がイッキにフラッシュバックする。


アタシに迷いは微塵もなかった。


『ハイ、おります』


お父様をジッと見据えて。


今度こそ言ってやったぞ。


かなり自己満足。


「そうか。それは相手は分かっているのか?」


?????↑→↓←え゛ぇぇぇ?????


ある意味前回より強引じゃないか?


えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?????


答えに困る。


心臓が破裂しそう。


『分かりません』

「分かっております」


やっと口を開いたアタシと神楽の、2人の声が重なった。


え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???????????????


心臓、物凄い速さ。


回数計測不可能。


わかわかわかわか。


アタマの中真っ白。


“分かっております”


今神楽、そう言った?


言ったよねぇ???


言ったよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!


「そうか。ならば構わん。邪魔したな」


お父様は含み笑いで帰っていった。


それだけ?


前回よりあっさりしてるぞ?


やっぱりお父様、気付いてるのか!?


そこは変わってないってコト?


アタシは“『分かりません』”って言ったのに?


何なのこのぐちゃぐちゃな過去(過去?)。


神楽の顔が見れないよ。


「妃杏、様」


ドキ→→→→→→→→→→ン↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑


神楽。


胸が苦しい。


神楽の方を見れない。


「先程は大変失礼致しました。身分違いと言うのは十分承知致しております」


おぃおぃ?


前回と全然違うじゃないかぁぁぁぁぁ!!


「自分にウソはつけない、、、から・・・」


んんん???


頑張ってタメ語で話そうとしてないか?


きゃあああああ!!!!!


神楽がタメ語ぉぉぉぉぉ→→→→→!!!!!


こんな展開ならアリだよ。


大歓迎!!!!!


「妃杏・・・さ、ま」


アタシ、嬉し泣き。


神楽の顔がにじんで見える。


嬉しくて嬉しくて嬉しくてたまらない。


『様はいらない。2人の時はマネージャーモード止めて!?』


言いたくて言いたくて仕方無かったコトバ。


時を越えて、やっと言えたよ。


今思えば、どうして言えなかったんだろう。


たったコレだけなのにね。


「ずっと、好きで、、、だったよ。妃杏・・・」


ぴゃぁぁぁぁぁ→→→→→!!!!!


Oh my God!!!!!


もう、顔が崩れきってるよ、完全に。


でも、そんなコトどうでも良かった。


とにかく嬉しくて。


『もう一度言って!?何度も言って!!』


泣きながら。


「妃杏、好きだよ」


気絶しそう。


嬉しすぎて。


今までの“敬語神楽”が甦る。


こんなに嬉しくて泣くの、久し振り。


『ありがとう。ずっと待ってたよ』


アタシと神楽の唇が触れ合った。


アタシは初めてじゃ無いケド、神楽は初めてだから震えてる。


レジスタニアの丘で話した時の神楽も、サルミナ星を攻め込む寸前の神楽も、敬語だったのに。


戻って来たコトでまたトラップが現れたのかな。


神楽の心音が聴こえてきそうな雰囲気の中、アタシはノンキにもそんなコトを考えていた。


どうでもいっか、今は。


如月の願いも、


アタシの願いも叶ったんだから。


イイ方向に変われたってコトで、


イイんだよね。


そっとストーンに問い掛ける。


その時、ストーンから金色にも見える光が射した。


まっすぐに天まで延びたその光は、無数の星が降り注いでいた。


空を見上げる神楽。


「コレは?」


驚く神楽。


『やっぱりどんなに変わっても、コレは変わらないんだね』


アタシも降り注ぐ星に向かって呟いた。


「えっ?何?」


『何でもナイの!!』


そう言って、今度はアタシから神楽にキスした。


ほんの一瞬、かすかに触れたダケだったケド。


ありがとう、プラチナムストーン・プラチナムマウンテン!!


2回もこんな想いさせてもらえるなんてねっ。


ちゃんと元の時代に帰って来れたのも、未来を知れたのも、神楽を阻止出来たのも、ストーンやマウンテンのお陰です。


ホントにありがとうございます。










『如月?』


その日の夜中、アタシは如月を呼び出した。


如月は明日、旅立つ。


神楽が帰り、1人になったらまた如月のコトが復活しちゃって、どうしようもなく切なくなってきて。


いつもならもう寝ててもおかしくない時間だったけど、今夜は特別なのか、ソッコーで応答してくれた。


「妃杏様!!どうなさいましたか、こんな時間にっ!」


かなり慌ててる如月。


そりゃそーだよね。


『今夜で如月って呼ぶの最後だね』


ちょっとしみじみ。


「何を仰ってるんですか、これからもずっと、ワタクシにとっては妃杏様は妃杏様です。しみったれたコト仰らないで下さい」


照れ隠しなのか、如月はいつも以上に笑っていた。


『まさかこんなに早くサヨナラする日が来るなんてね。如月の願いが叶ったとは言え、フクザツだよ』


まだ整理が付かないよ。


そう簡単に付くワケないんだよね。


帰ってきたその日に如月とお別れだって知ったんだモン。。。


しかも明日。


お別れったって関係が変わるダケで、2度と逢えないワケじゃないけどさ。


涙を堪える。


「いつでも逢えますよ」


笑顔の如月。


ちょっとドキッとしちゃうほど爽やかだった。


『如月にはホントにお世話になったよ、最後の最後まで』


涙を堪えながらの笑顔はちょっと引きつり気味。


「最後の最後まで?」


すかさず聞き返してきた。


アタシは話した。


一番アタシと神楽のコトを気にかけていてくれた如月には言わなきゃと思って。


『きっと如月が勇気を出して、自分で皇女に気持ちを伝えたからだよ。ありがとう』


コレが一番言いたかった。


「違いますよ妃杏様!!」


へっ?


如月、メチャクチャ喜んでくれている。


「勇気を出したのは妃杏様ですよ。ワタクシはそうなるコトが分かってるから言えたダケです」


如月??


それ言ったらアタシだって…。


「妃杏様は、1度は“おりません”と御答えになられているにも関わらず、しかもそれでも結ばれるコトを知っていながらその事実を覆して“おります”とはっきり御答えになったからですよ。妃杏様ご自身のお力です。おめでとうございます!!コレでお互いの願いが叶いましたね」


如月。


でも・・・・・・・・・・


そうなのか?????


呆気に取られる。


“事実を覆して”


このコトバがヤケに心に響いた。


確かに言う時は“今度こそ”って思ったよ?


でも考えるより言う方が先だった。


だからそんなつもりは無かった。


「それにしても、お互いの結婚前にとんでもない秘密が出来ちゃいましたねっ!」


コトバとは正反対な、歓びの顔の如月。


“とんでもない秘密”・・・か。


そうだね。


言っても信じてもらえないだろうからね。


2人ダケの秘密だね。


お互いのパートナーにも内緒のステキな思い出。


神楽、ちょっと疑ってたケド!


『それにしてもwonderfulな夢だったね。』


「ハイ」


如月の顔も充実感に溢れていた。


しばらく2人で余韻にひたった。


過去に行って未来に行って。


そうそうこんな経験、出来ないよ。


“貴重”と言うにはおこがましすぎる経験。


2人で明け方まで話してしまった。




如月はたくさんの人達に見送られ、これでもかってくらいの満面の笑顔で旅立って行った。


アタシはいつまでも如月の跡を追っていた。


2人ダケのたくさんの思い出を浮かべながら。










『ねぇ神楽』


その日の夜。


「何?妃杏」


ぷぅぅぅぅぅ↑↑↑↑↑


鼻血出してもイイですか?????


まだタメ口神楽に慣れないモノで。


アドレナリンが全開なモノで・・・。


イヤ、そんなムードじゃないだろ。


心の中で深呼吸。


『1つ約束して欲しいコトがあるの』


神楽の目をジッと見て。


「えっ?」


引きつり笑いの神楽にアタシは大真面目に言う。


『もしもこの先、先にアタシが死んじゃったり、いなくなっちゃったりしても、バカなコトだけはしないでね』


一切笑顔は出さなかった。


呆れ気味に神楽は答えた。


「何を言い出すかと思ったら」


完全に失笑。


実際オマエがそう言う行動に出てるから言うんだろうがぁぁぁぁぁい!!!


と心の中で叫ぶ。


内心キレ気味のアタシに神楽はさりげなく微笑んで告げた。


「そんな心配いらないよ。妃杏が1人になるコトは絶対ナイから」


アタシを見据えて。


ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ→→→→→


気絶するぅぅぅ。。。


鼻血通り越して別のモノが出そう。


しかも全身から。


前の過去(?未来?)じゃ味わえなかった感動。


神楽の口からこんなコトバが出るなんて・・・。


そう来たか。。。。。


サイコーに幸せです!!!


皇女に継承権が移ったのはかなり意味不明だったケド、そこくらいかな。


未だに“タイムトラップ”に怯えてるケドなんとなく分かったよ。


どんな現実からも逃げちゃいけないんだって。


まっすぐ向き合って立ち向かっていかなきゃいけないんだって。


今回のコトで良くわかったよ。


過去に戻ってイグアス星がサルミナ星を侵攻するのを阻止したり、


星とアタシ以外のみんなの中から如月の記憶が消えちゃったり、


未来の神楽がレジスタニアになっちゃってて、ソレを変えちゃったり、


あちこちで歴史を変えたせいで戻ってくるのがイヤだったケド、


逃げずにちゃんと向き合ったら新しい歴史が出来上がってた。


...だから思うんだ。


どんな未来も過去も全て自分自身次第なんだって。


当たり前のコトだけど、つくづく思う。


一時は、“そりゃ時の迷子だって帰りたくなくなるよな…。”って思っちゃったけど、今なら言ってあげれるよ。


“どんな未来もどんな過去も、やり直せない人生はないんだよ。”


って。


“だから戻っておいで”


って。


みんなが言う程、タイムトラップは怖くなかったよ?


いや、怖かったか?


でも大丈夫。


このコトはアタシと如月の秘密。


お互いパートナーがいるモノ同士で秘密持つなんて、どうかとは思うけど、言ったトコロで“夢物語”にしか聞こえないだろうから。


でも、あんな夢、見たくても見れないよなぁ。


ホントなら神楽にも憶えてて欲しかったけど。


でも、あの過去があるから進める未来がある---


そんなステキな経験、もったいないからイッか!!


もしかしたらホントにアタシと如月の見た、“夢”かも知れない。


それならそれでもイイよ。


何にしてもそのお陰で明るい未来になったのは間違いないから。


そのうちいつか機会を見て、神楽や、いつか生まれてくる子供達に話してあげよう。


アタシと如月の夢の話を..........


ステキでリアルで素晴らし過ぎた時間の話を..........


だからずっと、そばにいてね、神楽。


『ずっとずっとずーーーーーっとそばにいてね』


「何当たり前のコト言ってんの?離れないよ。ずっとそばにいるよ」


タメ口神楽にはまだドキドキする。


だけど前の歴史じゃ、こんなドキドキ味わえなかったもんね♪


新鮮でイイわ。


神楽よりアタシが持っている2人の時間も記憶も多くてごめんね。


『ありがとう』


そう言ってアタシは神楽にキスをした。


いくつもの想い出を胸に秘めて。


如月とストーンだけが知る想い出を胸に...............





















...fin...

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