ハナの記録⑧ 休日とルームメイト
先日のコンベア事件を受けて、今日は工場全体が休止になった。
なので朝から部屋でぼんやり座って過ごしている。
これといって、やりたいことが思い付かないのだ。
特に理由もなく、ルームメイトを眺める。
ハロは、前に頭から垂らしていた古いコードを手に持ってなにやら考えていた。
「ハロ、なにしてるの?」
「うん…これ、捨てた方がいいか考えてる…やっぱりちょっと髪には見えないから」
なるほど、まだ髪の話を引きずっていたとは…。
もしかして、ロナさん作のウィッグはハロにあげた方が良かったのだろうか?
そう思ったけど、あれはもう捨ててしまったのだからあとの祭りだ。
ハロから視線を少しずらすと、ハハが両手を高く掲げていた。
「ハハ、なにしてるの?」
「あやとりだよ!」
なるほど、確かに手の指をよく見ると、紐が絡まっていた。
しかし、あやとりは手を高く掲げる必要があっただろうか…?
そんな疑問も、夢中になっているハハの表情を見るとどうでもよくなった。
そしてハハからも視線をずらし……またハロを見た。
「ちょっと!?アタシにも聞いてよハナ!なにしてるのって聞いてよ!!」
「ハク…私は今、ルームメイトについて考えてるんだよ」
「そっか、残念……じゃなくて!アタシもルームメイトなんだけど!」
なにか聞こえたが、そっと目を閉じて思考の世界に逃げた。
私はハクが苦手だ…別に嫌いではない。
ただ、どうにもテンポが合わないのだ。
そして、それは私だけが感じているようで、ハクはお構いなしに距離を詰めてくる。
私がハクを無視するのも、スルー芸だと受け取られているようだ。
なので、最近は半ば諦め気味である。
他者との付き合いというのは難しい…人類もそうなのだろうか?
「じゃあ、ハクはなにしてるの?」
「んー、別に??なーんもしてないよ♪♪」
「………」
ふぅ…危うく放電しそうになった。
今日は早めに休眠しよう。
そして、今の無駄な記憶は消去するんだ。




