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#忍び寄る影

 その頃、リコッタはーー。


『好きな人にも会えなかったし、

 なんか散々な一日だったよー(泣)』


 空間の割れ目に向かいながら、歩きスマホをしていた。


『おつ! またチャンスあるよ! 

 そのときは、ウチが応援する~!』


 ラインでミルクとガールズトークする。


「ふふふっ」


 リコッタはすぐさま返ってきたミルクの返信を見てクスリと笑うと、顔を上げてぽっかりと浮かぶ満月を眺めた。

 魔界とは違う、明るい黄金色の月に思わず見惚れる。


『月がすっごくキレイ♡ 

 まだ明るいから、これから飲みに行かない?』


『いいね! 行こう行こう!

 ウチ、カルビ食べた~い!』


『決まりー! 

 じゃあ、魔界高校の前で待ち合わせしない?』


 スマホに目を戻し、ミルクとラインを交わす。

 下を向いてタップしていると、ふと自分の影に、薄い影が重なったことに気が付いた。


 影は距離を詰めるように次第に濃くなっていく。


「なに? 誰がついてきてるの? ザンギ?」


 怪訝な表情で振り返ったリコッタを突然、強力な眠気が襲う。


 (しまった! 眠りの魔法!?)


 術をかけられたことに気付いた瞬間、視界と意識が朦朧として、頭とまぶたが石のように重くなる。


「ううう……」


 反撃しようと呪文を口にしたが、唇を動かすこともままならない。

 かろうじて動く指先でスマホに少し触れたが、数秒後には、地面にヒザをつき力なく倒れた。


 カサッ。


 リコッタの手から滑り落ちたスマホが、静かに草陰に転がった。

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