#城中の男子、#リコッタ、#メロメロ
リコッタの快進撃は続く。
我が昼頃に目覚め、カフェオレとクロワッサンでこじゃれたブランチをしている間に、国王や側近だけでなく、城中の男を魅了していたようだ。
「入るぞ」
作戦会議ために国王の部屋に行くと、国王をはじめとする、グッドルッキングガイをはべらかせたリコッタが、長椅子に横たわり優雅にくつろいでいた。
ガイたちは、甲斐甲斐しく巨大な扇でリコッタをあおぎ、グラスに高級そうなワインを注いでいる。サイドテーブルにはフルーツやらスイーツが山のように積まれていた。
「すごいな。国王を操れればいいと思っていたが、まさか城の男全員言いなりにするとは……」
目の前の光景に圧倒されている我に、リコッタはワイングラスを回しながら答えた。
「男は全員、私のことを好きじゃないとイヤなの」
さすが、ヒエラルキーの頂点にいらっしゃる方は言うことが違う。
人払いをお願いすると、リコッタは左手を数回振った。男たちは一礼して、ズラズラと部屋を後にした。
「おい、オタク。リコッタ様によからぬことをしたら、ただじゃおかないぞ!」
なぜか、退出途中のグッドルッキングガイにすごまれた。
「すごいな。魅了の魔術って、どんな男にも効くものなの?」
関心しながら話しを続ける。
「そうね。男に僅かでも下心や隙があったら魅了できると思う。でも、強い信念や信仰を持っていると効きにくいかな」
リコッタの差し出したグラスに、ガイが高級ワインのロマネコンティを注ぐ。
「まぁでも、男だったら、たいてい私の言いなりよ」
そう言うとワインを口に含み、舌舐めずりしながら妖艶に笑った。
非常に恐ろしい女だが、味方ならこんなに心強いことはない。
今回の計画の要はお前だ。遺憾なく実力を発揮してくれたまえ。
「あ、そうそう。大臣が城からいなくなってた。ショックで出て行っちゃったのかもね」
リコッタがケラケラと笑った。
想像はしていたが、やはりそうなったか。ちょっぴり心が痛んだが、同情している場合ではない。
今回は運が悪かったとして諦めてくれたまえ。
勇者到着まであと2日。
呼び寄せた『ブラッディ』の連中も続々と到着している。
決戦ムードが高まってきた。




