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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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まだ何も

「どうもこんにちは、案内に来たのにゃ。日良様からの命令なので、仕方がないからアズに着いて来てもいいにゃ」

 和輝と咲希が笑い合っていると、猫少女がどこからか現れた。勿論、上野梓である。和輝だけでなく咲希に対しても不機嫌な顔を見せ、それだけ言うと彼女はもう歩き始めてしまった。案内だと言っているので、二人は素直に後に続いた。

 普通の国の姫ならば、この態度には失礼を感じ怒ることだろう。むしろ、姫としてはそうするべきとも言えるだろう。しかし和輝の失礼を許しているだけあり、咲希はそう言うところに疎いようだった。

 そして日良も失礼などを気にしないせいだろう。梓は、他の国では信じられないほど礼儀を失っていた。海人に教えられた間違った礼儀だけは覚えているようだが……?

「おい変態、変態にしか見えないぞ? あんまり、女性の後ろをニヤニヤ歩くのはよくないと思う」

 それよりも咲希はピッタリと梓の後ろを歩く和輝の方が不快らしく、手を繋いだかと思えば、少女とは思えないほどの力で握り締めた。ただ咲希の言う通り、和輝が変態にしか見えないのは確かだった。

 それでも本人にはその自覚がないらしい。どうして咲希が怒っているのかと、納得がいかないらしく不満気だ。

「俺はまだ何も言ってないし何もしてないじゃん」

 それが和輝の言い分らしかった。

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