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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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皆で生き残るの

 冷静に深雪は報告する。だから姫として、咲希も冷静に対応しようとしていた。

「そうか、分かった。ではぎりぎりまで粘るよう伝えてくれ、私のあの城は渡さない。あそこは、私の物だからっ」

 そう言う咲希は、怒りに震えていた。可愛らしい顔が台無しになってしまうほど、怒りの籠もった凄い形相であった。

「えっ、分かった。伝えておきます。では」

 咲希のその表情に、深雪は少し驚いたような表情を見せる。しかし直ぐに我に戻り、急いで城に戻ろうとする。いなくなる寸前に、その手を咲希が軽く掴んだ。

「ちょっと待って、もう一つあるんだ!」

 呼び止めた咲希は、少し恥ずかしそうな顔だった。いつもの咲希に戻ったと、深雪も安心する。

「はい、何で御座いましょうか」

 でも、自分はいつものふざけた深雪に戻ってはいけない。不思議そうな表情だが、忍びとしての深雪で振り返る。

「お前へ、そして一葉への伝言だ。絶対に死ぬなよ。死んだりしたら、許さないから……。命令だ、城を守れ。皆に伝えろよ」

 小さな声で呟くように、咲希は言った。しかしその言葉は確かに深雪に、いや一葉にももう届いていた。城に残る、全ての人に届いていた。

「はい、分かっております」

 そう言って微笑むと、最後に深雪は笑った。微笑みではなく、笑顔を咲希に向けてから去って行った。

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