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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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脱走

 なぜか嬉しそうな戦の言葉を聞いて、咲希は和輝のことも穴に連れ込む。そして戦の抜け穴を通って行き、二人は城の外に脱出することに成功した。

「咲希様、早く来て下さい。ここは危険です。日良様が暫く置いてくれるそうなので、隠れているといいでしょう」

 抜け穴を抜けると、近くで野乃花が待っていた。城から出る咲希を連れ出そうとしていたのだが、下から出たのには驚いた。しかし野乃花はそれを顔に出したりしない。

「しかし良いのだろうか。領主が城を抜け出すなどと……」

 ここまで来たが、咲希は行こうか迷っていた。それは咲希の優しさによる迷いだった。

「大丈夫です! 日良様は咲希様に降伏するそうなのです。だから日良様の城を、本拠地とすればいいのです。それならばいいでしょう?」

 野乃花のその言葉に、咲希はポカンと口を開けた。咲希がいくら考えても、その意図を掴むことは出来なかった。

「あいつ、何考えてんだか。まあいい、行ってやるよ」

 驚いてはいたが、他に道はないと野乃花の言葉に同意した。どうせ行かなくても死ぬなら、そちらの可能性に賭けるしかないとの考えだ。

「野乃花ちゃん、だっけ? 久しぶりだね、今日も可愛いよ」

 暢気な和輝に、野乃花は多少苛立ったような顔をした。しかし構うとめんどくさいので和輝を無視して走り出した。

「咲希様すみません、馬を用意はできませんでした」

 姫である咲希を走らせる。それが、野乃花にとっては信じられなかったのだ。野乃花にとっての姫というのは、馬車や籠での移動。だから、馬に乗せることすら考えられなかったのだ。

 しかし逆に咲希は、その扱いが気に入らなかった。姫だからって、特別扱いされるのを好まなかった。

「構わん、私をその辺の軟弱な姫と一緒にするな」

 そうは言うものの、咲希だって暫く走り続けて疲れ切ってしまった。そして咲希が休憩にと座った時、周りから兵が現れた。この状態で戦えるほど、咲希はタフじゃなかった。

「咲希様は休んで下さい。ここは野乃花にお任せを!」

 本当は野乃花も疲れているのに、咲希を守らなければと立ち上がる。日は沈み、暗くてよく見えない中の戦闘であった。

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