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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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戦いの気配

 深雪が心配で心配で、咲希は修太郎のことを急かした。しかし修太郎は冷静に返す。

「恐らく大丈夫だと思うのですが、万が一という事もあります。咲希様、少し静かにしていて下さい」

 しっかり正確に診察する為、修太郎は咲希にもそう言い集中した。修太郎が治療をしている間、咲希はずっと心配そうに深雪を見ていた。

「えー、問題ありませんね。ただの疲れでしょう」

 暫くして、修太郎がそう言った。その言葉を聞いた咲希は、心から嬉しそうな笑顔を浮かべて深雪に抱き着いた。薄ら涙まで浮かべ、深雪のことを抱き締めた。

「深雪ちゃん、どうかしたのか!?」

 扉が思いっ切り開け放たれ、和輝が飛び込んで来た。ボロボロの深雪を見た、そんな話を聞いて急いできたのだ。

「ジュッキー、遅いぞ! 心配ならもっと早く来いっての。にししし」

 かなりボロボロの状態だったが、深雪はいつも通り笑って見せた。強がって、心配させない為に笑って見せた。その様子を見た和輝は、悲しげな笑顔を浮かべた。

「深雪ちゃん、ごめんな。でも元気そうで良かった」

 心配させない為の深雪の行動。そのだけあって、素直な和輝は安心してくれた。

「変態、どっから情報仕入れてんの?」

 元気になった深雪が嬉しくて、咲希は笑顔でからかうように聞いた。

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