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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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大塚修太郎

 そのまま何事もなく、一か月ほどの月日が流れた。和輝ももう、この生活にもすっかり慣れてしまっていた。

「咲希、豚が!」

 息を切らして、深雪が咲希の元に駆け寄って行く。傷だらけのボロボロの状態で、深雪は咲希に伝えた。

「おい、どうした!? 大丈夫か!?」

 大親友深雪のそんな様子を見て、咲希は心配そうに駆け寄って行った。

「深雪が預かってた城に、豚が来たんだ。いや、楓雅が来たんだ。まんまと嵌められちゃった。城も奪われて、御免なさい」

 優秀な深雪としては、それは何よりも恥であった。もう少し精神が弱かったら、自害しても可笑しくない程の恥だった。

「謝らなくていい。それよりも医者をっ! 一葉、医者を連れてこい!」

 しかし咲希は、そんなことを責める筈がなかった。咲希は深雪を座らせ、一葉に医者を呼ばせた。

「咲希様、お呼びですか?」

 一葉は数分後、城下町で見つけた医者を連れてきた。

「おお、じじい! 深雪を頼む」

 咲希がじじいと呼んだ医者は、大塚修太郎おおつかしゅうたろうと言う名医だ。全国でもトップクラスの名医だが、修太郎は咲希のことを気に入っている。だから、基本的には咲希の城の近くにいることが多い。

「咲希様、布団まで運んで貰えますか? 寝かせておいた方が良いでしょう」

 ボロボロな深雪の姿に驚きながらも、修太郎は冷静に頼んだ。

「ああ、分かった」

 低い声で咲希は答え、心配そうな表情ながらも指示をする。やがて部屋に布団が敷かれ、深雪はそこに乗せられた。

「あっ、ここに布団を持ってくるんですか……。その発想はありませんでした」

 ここで話をしながら、深雪のことを診て欲しい。そう思った咲希の行動だが、修太郎は素直に驚いた。彼は、咲希のこんなところを気に入っているのである。

「じじい、深雪は大丈夫なのか? 早く診てくれ」

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