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outline of the RIOT NOTE act 1

第一幕の、復習の時間です

 陽気に触れれば正と成り、陰気と合えば邪に落ちる。

 九星気学の一亜流派である白楼講において、最強無二、最奥義として秘されてきた『六角白楼陣(ろっかはくろうじん)』。この布陣を、何者かが街に印そうと動きだす。無論、狙いは邪。

 時は、五黄土気の年。負に染まるなら「壊乱」「死滅」を呼ぶ『五黄殺気(ごおうさっき)』に転ずる、危険に満ちた年である。

 若い白楼講伝承者は、その企みの未来を読んだ。

 凶悪な布陣はいずれ、全てを破壊へと導く運命の布陣『太破の合』を呼び寄せるだろうと。

 それは人が作る布陣ではなかった。人の愚かさを嘆き、人の世界を根底から覆そうとする、天の采配である。


 悪意ある存在は、手始めの布陣に『白楼陣』を求めた。

 まず四方に血の標を立てる。即ち、四人の命と引き換えに成す陣である。

 第一の事件は2月14日に起きた。尼園二丁目にて、老婦人がビル建築資材の落下に巻き込まれ死亡。

 4月9日。楠一丁目にて中年サラリーマンが、殺傷力を増したエアライフルにより死亡。第一の無差別殺人事件の発生となる。

 6月26日。再び、久瀬光輝なる青年が無差別殺人の犠牲者となる。

 8月20日。稜明学園北門において、上坂智規が無人トラックの暴走により事故死。

 事件を巡って、四人の学生が真実の解明に乗り出した。

 一人は『太破の合』の予見者、藤井香瑠。藤井はこれらの事件の発生時刻、場所、手段から、奥義の一つである『白楼陣』を狙う意図を読み取った。

 阻止の為に藤井は、駿河、隠岐に捜査を依頼する。過去に、飛鷹彩子、賀島を含める四人で『四神王』と呼ばれ、犯罪捜査には実績のある二人だった。

 駿河は同時期に、騎道若伴なる転入生も、この事件を追っていることを知る。

 旧知であった久瀬光輝の死の真相を知る為に、騎道はこの街に来たのだ。優れた超能力者であった光輝が、なぜやすやすと射殺されたのか? 追及する騎道の前に、もう一人の不安定なサイキック、秋津数磨が現れた。

 騎道に全幅の信頼を抱けないながらも、藤井の勧めを受け、事件究明の為に騎道と手を組む駿河と隠岐。

 だが事件は新しい展開を迎え、首謀者と目される秋津統磨は、騎道に想いを寄せていた佐倉千秋を拉致する。

 佐倉の姿を探し、手掛かりもつかめず苦悩する騎道。

 藤井は彩子の説得を受けて、隠していた一つの事実を騎道に告げる。上坂智規の事故は布陣には無関係だと。

 騎道は希望を得て、再び街に飛び出してゆく。

 事実であれば、白楼陣はまだ成されずにいる。だが、佐倉千秋が生け贄となるならば完成してしまう。

 阻止できなければ、この街には葬られたはずの闇と怨念が解き放たれる。人は人を呪い、光は闇に蝕まれ、穏やかな街は凶悪な都市に変貌し、衰退するだろう。

 騎道と統磨は全てを賭けて激突する。騎道は光輝の『弟』として、統磨は数磨を庇わんとする『兄』として。

 決着は、醜聞を恐れた秋津家の刺客の手によってつけられる。騎道にとっては、痛恨の極みな横槍であった。

 騎道の誠意を受け止め、統磨が改悛した直後に凶弾は放たれたのだ。同時に、騎道も生命の危険に晒される。

 事件の全貌は統磨の残した告白の録音によって明るみになった。

 騎道たちの読み通り、三件の事件に手を下したのは秋津統磨。久瀬光輝の超能力に対抗したのは数磨であった。

 自分の持つ制御できない強大な超能力と、それがもたらす孤独感に、数磨は打ちひしがれ鋭敏になっていた。

 騎道は彼に、怯えが創り上げた凶悪な別人格の存在を感じた。統磨を操ったのも、その存在ではないかと。

 その異質に時折飲み込まれ畏怖するばかりの数磨に、騎道は強くなり乗り越えろと諭す。彼を庇い、罪を引き受けて逝った兄統磨を想い、数磨は強くうなずいた。

 統磨の願いをかなえるために、数磨の行為を伏せて、騎道は事件を終結させた。

 一週間の入院と自宅療養を終え、騎道は、一つの願いを胸に稜明学園に帰ってゆく。


 そして、新しい騒乱が幕を開ける。

 深まりゆく秋の中で……。



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