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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

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25/65

正確な効果

 乾いた音を響かせて、思いっきり平手打ちをおみまいした後、私は走って食事の間を逃げ出した。

「……っはぁ、はぁっ……っは」

 自室に入り、荒い息を吐く。

「リュゼリア様?」

 マーサが驚いた顔で私を見ている。それはそうよね。仮にも王妃が走って部屋に帰ってきたのだもの。

「……っマーサ!」

「は、はい!」

「理由は後よ。とにかく消毒薬を早く持ってきてちょうだい!!」


 

「……お待たせいたしました!」

 マーサが持ってきてくれた消毒薬をありがたく受け取り、ガーゼに染み込ませ、唇を消毒する。


「りゅ、リュゼリア様?」

「大丈夫、死守したわ。ただぎりぎりだったから……一応」

「一体何があったのですか?」


 消毒も無事に終わったし、マーサに理由を話す。

「……というわけなのよ」

「無理矢理だなんて、酷いです!」

 自分のことのように怒ってくれたマーサにありがとう、と微笑んで、ふと思い出した。



「ねぇ、マーサ。お願いがあるのだけれど……」

◇◇◇


 マーサが手配してくれた、その人物と再会する。

「王妃殿下、昨日ぶりですね」

 そう言って恭しく礼をして、微笑んだのは異国の薬師——アキルだった。


「ええ、アキル殿」


 昨日城下町で偶然会ったアキルに、聞き忘れていたことがあるのことを思い出したのだ。


「あなたを呼び出したのは、あの薬の正式な効果と名前について聞きたかったから」

「正式な効果と名前……にございますか」


 アキルは、顎に手を当てた。

 その一つの仕草さえ、様になる。


「正式な名前はそのまま『恋心を消す薬』です」

 ……やっぱりそうよね。ここまでは想定の範囲内だわ。


「では、効果は?」

「恋心を、条件付きで消します」


 条件付き、ということは……。

「一年以内に誰か別の人物に恋をすれば、完璧に前の恋心は消え去ります。しかし、それができなければ、一年後、その恋心は復活します」

「!!」


 一年後に、またあの苦しい思いをしなければならない……?

 そんなのごめんよ。


「元から完璧に恋心を消し去る薬はないの?」

「ある……といえば、あるのでしょうが。私が作れるのは、『心』そのものを消す薬になってしまいます」


 やっぱり、そうよね。そんなに上手い話はないか。


「わかったわ。ありがとう。それから、もう一点、あなたに尋ねたいことがあるの」

「何なりと」

「あなたのおかげで、今、私、とても楽しいの。そのお礼として、何か欲しいものはある?」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] 汚物(陛下のキスの跡)は消毒だ~!
[一言] 頑張れっ! 頑張れっ! 一年ガッチリ逃げ切ってぇ〜(((((((((((っ・ω・)っ ブーン
[一言] 一年逃げ切って欲しい〜 新たなヒーローは誰だ 陛下に盛大なざまぁが欲しいなー幼なじみにも いや、陛下にとっては最愛の妃が自分への恋心どころか興味も無くなったのが一番のざまぁかな。プライドの…
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