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「……欲しい物、ですか」
アキルは意外そうに目を瞬かせた。
「ええ、そうよ!」
もちろん、私個人の力であげられるものの範囲内で、という注釈はつくけれど。
「それでしたら、一つ、ございます」
アキルは、とてもすごい薬師だから、要求も高そうだ。私に応えられるかしら。
「あら、何かしら?」
若干不安ではあるものの、続きを促す。
「それは、私が、ずっと探し求めているもの」
「!」
そういえば、アキルは探し物をしてるって言ってたわね。
「私が探しているのは」
アキルは、私を見つめた。なぜだか、急にアキルの言葉以外の音が遠ざかる。
「——私の唯一になりうるもの」
「アキル殿の唯一になりうる、もの……」
そういえば、半端では意味がないとも言っていたわね。
「はい。ですが、それをいただく——のは、今は道理に反しておりますので」
「道理に反する?」
「はい。私が見つけなければ、意味がないので」
そこで一度言葉を切り、アキルは微笑んだ。
「王妃殿下には、それを探す手伝いをしていただきたく」
「それは……構わないけれど。どう手伝ったらいいの?」
だって、アキル自身が見つけなければ意味がないという。
「そうですね、具体的には、王妃殿下には一日ひとつ、私の質問に答えて頂きたく。もちろん、お忙しい日はできない、という答えで構いません」
「アキル殿の質問に答えることが探し物に繋がるの?」
まるで、謎かけみたいね。
「はい。そう、信じております」
「……そうなのね」
よくわからないけれど、それならば、こちらの答えは決まっている。
「わかったわ」
「ありがとうございます。この目で薬の効果が持続しているかも確かめたかったので、嬉しいです」
……薬の効果。恋心を消す薬の効果は、一年間恋心を消すけれど、一年以内に他の人を好きにならなければ、またあの恋心が復活しちゃうのよね。
「ねぇ、アキル殿」
「はい」
「薬を飲み続けることは、できないの? ほら、一年後にまた同じ薬を飲んで、また復活した恋心を消せば……」
思ったのだ。ずっと薬を飲み続ければ、もうあんな苦しい思いをしなくてすむって。
「少しずつ効果が薄くなりますし、心がすりへってしまいます」
効果が薄くなるってことは、つまりどんどん薬を飲む期間が短くなり、飲まなければならない薬の本数が増えるってことよね。
「心がすり減ると言うのは?」
「あるものをなくす、というのは、心に負担をかけるのです」
……なるほど。
「なので一番おすすめなのは、そんな相手から離れることですね」
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最近更新が不定期になってしまい、申し訳ないです。




