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初依頼

前話の変更点ですが

『最強』のフリッツ→『剣帝』のフリッツ

となりました。

冒険者組合に登録した翌日、俺は不死鳥ギルドに来ていた。


「「「お帰りなさいませ、マイマスター。」」」

「ああ。」


ギルドにいる人は全員俺が創り出した魔人だ。そのおかげで外聞や体裁を気にする必要はないのだ。ちなみに周りで聞き耳を立ててるものや覗き見されてることがないのは虫や動物型の魔物で確認済みだ。予備として風魔法の防音結界と光魔法の幻影も張っているので安心安全である。


「マスター、こちらが現在不死鳥ギルドに届けられている依頼でございます。どの依頼に参加されますか?」

「うーん、そうだな。この『王国騎士団への指導』に付いて行こうかな。これは『剣帝』と『不死鳥』の剣術使いに要請するって書いてあるから俺も参加できるよね。王国騎士団と実際に戦えるだろうしちょうどいいでしょ。」

「そうですね。よろしいかと。」

「じゃあこれにしよう。いつからだ?」

「1週間後です。」

「わかった。準備しておこう。」


一応『王国魔術師団への指導』という『不死鳥』に在籍している『魔帝』へ向けた同じような依頼もあったのだが、それは魔法を教えるだけで実際に戦う場面は少ないと思われるのでやめた。



1週間が経過した。今日から依頼開始だ。王国騎士団の実力はほぼ分かっているが、初めての依頼だ。少しドキドキする。


と、ここで魔物と生き物の違いについて説明しようと思う。魔物には自然湧きしたものと魔王が創り出したものの2種類いるのだが、この2つの違いは簡単だ。能力が全てランダムなのか全てカスタマイズされているのか、これだけだ。ここまではいい。本題はここからだ。魔物とは何か。魔物は魔素と魔素に混じった不純物によって生まれる生物だ。人間の心臓にあたる部分に魔力の塊である魔核と呼ばれるものを持っている。魔核は魔法陣に繋げば魔力を供給してくれるし、魔法を発動する際に足りない分を補ってくれたりする。魔物は死ぬと少しの素材と魔核を残して、あとは魔素となり消える。なぜ全身の死体が残らないかと言うと、魔素に混じった不純物が固まっている場所しか残らないからだ。魔物の体に対してこの不純物の割合は少ない。であるから全身の死体は残らないのだ。次は生き物だ。これは地球にいた生物とほぼ同じであった。しかしこの世界に存在する魔素によって少しずつ変質し、魔法やスキルを使えるようになったのだ。スキルは魔物の特殊能力の下位互換と言ってもよい程度のものだったのだが、それに目をつけた邪神がスキルの強化をしたのだ。それによってスキルの能力が向上し、特殊能力と同等か、ものによっては遥かに効果の良いものへとなったのだ。特に異世界から召喚されているもの達はその(スキルが強い)傾向が強く、魔王とその軍勢が敗北したのはほぼこれのせいであると言われている。


特殊能力やスキル、身体能力などは使えば使うだけ成長する。が、それは微々たるものだ。あまり気にしなくていいだろう。


さて、ここで重大発表をしようと思う。それは魔王は特殊能力もスキルも持っていないということだ。()いて言うならダンジョン作成や魔物作成、魔物召喚などが特殊能力であるのだが、これは魔王の体質などに近い。だが、安心して欲しい。特殊能力がなくても魔法は使うことが出来る。それが魔法陣だ。シンは魔素で魔法陣を描くことで魔法を発動している。本来は魔核を砕いた粉で魔法陣を描き、それに魔力を流すことで発動するのだが、魔素を操れる魔王はそんなことしなくていいのだ。もちろん魔法陣を即座に描かなければ実戦で使えないので普通は不可能なのだが、シンには頭脳がいる。魔法陣を一瞬で描くなど朝飯前なのだ。


なぜ突然こんな話をしたかと言うと、王国騎士団に所属しているほぼ全員が肉体系や剣術系などのスキルを持っているからだ。スキルは遺伝や祈りなどによって決まるので、何かと強いスキルを持っているものが多い。つまり全員そこそこ強いのだ。


「剣帝様と不死鳥の方、ようこそおいでくださいました。騎士団の訓練所まで案内させて頂きます。」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。」


フリッツは粗野な見た目だが、見た目通りの振る舞いをすることはない。なぜなら貴族や王族にも気に入られるように俺が設計したからだ。相手が不快に思わず、かつ冒険者の(たくま)しさを感じて貰う。少し乱暴な物言いなのは、計算され尽くした上なのである。


「着きました。ここです。教官殿!不死鳥の方々を連れて参りました!」

「おう。全員一旦訓練をやめ、集合せよ!」

「「「はっ!!!」」」

「この御二方が不死鳥ギルドから来てくださった方だ!しばらくの間、剣術の鍛錬の時間は御二方に見てもらうことになる!心得よ!」

「「「はっ!!!」」」

「あー俺が『剣帝』と呼ばれているフリッツだ。こっちはギルドメンバーのシン。とりあえず素振りを見てやる。やってみろ。」

「「「はっ!!!」」」


「お前は脇が甘い。もっと締めろ。お前は肘が伸び切りすぎだ。もっと自然に振れ。お前は軸がぶれすぎだ。重心を落とせ。それから、、、」


フリッツと一緒に騎士団のメンバーの型を直していく。最初と比べると幾らかはマシになったな。


「よーし次は模擬戦だ。シン、相手してやれ。順番に1人ずつシンと戦え。急所に一撃が入ったら終了だ。シンに勝てたら俺が相手してやるから頑張れよ。」


ちなみに今訓練所にいるのは100人程だ。騎士団の全員が訓練している訳ではないのだ。他の多くの団員は仕事をしている。


『ちっ剣帝様と模擬戦出来る訳じゃないのかよ』と言う声が聞こえて来そうではあるが、シンが戦い始めれば一瞬でその考えは消え去った。


『『『はっ?』』』


勝負はすぐについた。対戦相手は何をされたのか分からないまま、自分剣が手を離れていて、シンの剣が頭に当たっていたのだ。


「どうした?次早く入ってこい。模擬戦を見るのが飽きたなら筋トレでも素振りでもしてていいぞ。」


果たして騎士団員はシンから一本を取ることが出来るのだろうか。



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