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小話:チル、チル、ミチル

いつもありがとうございます!

気づいたらブックマーク100名に評価30名超えました!

ううっ感激ですヾ(。>﹏<。)ノ゛✧*。

今回は記念にちょい小話です。

 散る


 散る


 さらさらと


 薄紅が舞い落ちる



 今は遠き故郷の花が散っている。

 庭に咲いた”桜”の花は美しく咲き誇り、仄かな香りを漂わせている。

 テラスに腰をかけ、のんびりと懐かしい故郷のお茶を飲みながら、只々それを眺める。



 散る


 散る


 満ちる



 散った花びらが地面を満たす。

 ほんのり色づいたそれは風に乗って地面へと舞い落ちる。

 地面は桜色に染まりその色で満ちる。

 ひらひらと舞い散る花はこの世界にはない。

 それは2人の神からの贈り物。


「(神様ズも気を使ったのかなぁ……)」


 この世界に桜はない。

 ここより遥か東にあるアマテラス大陸は”梅”はあるらしいが”桜”はない。

 前世の日本によく似た文化を持つその大陸にすら存在しない花。

 この世界でその花があるのはこの家の庭と【空間農園】だけである。



 散る


 散る


 でも満ちる


 在りし日の記憶が満ちる



『今日は晴れてよかったね! 雨女ちゃん(笑)』

『ちくしょお! 当たっているだけにヲタク姉ちゃんに言い返せないだとっ!?』

『ママも○○ちゃんもアホ言ってないで早く食べようよ!』

『バカ2人放っておきなさい○○君。花見に来たんだからお祖母ちゃん早く食べたい。てか放置で食べましょうね』

『『バカちゃうもん! あと食べるから‼』』

『花見なのに食い気が先なウチのバーちゃん達にオレ何ともいえない……』

『黙れ息子』『黙れ甥っ子!』

『わお。息ピッタリ! あ、桜の花びら落ちてきたや』



 散る


 散る


 満ちる


 でも散る



 この世界に来た時に記憶の中から前世の知人友人……そして家族の名が散った(きえた)

 自分の名も散った(きえた)

 覚えている。けど覚えていない。

 覚えている。けど思い出せない。



 散る


 散る


 散ったそれは愛しさとほんの少しの寂しさとして心の中へ舞い落ちる










「……さ……ル……さん。ルゥさんってば‼」

「うおっ!? ビックリしたぁ!」

「ぼぅっとしてどうしたん―――」

「う? どしたのリアたん?」

「それはこっちの台詞ですよ! 何で泣いてるのですか!?」

「へっ?」


 自分の頬を触ってみれば何かで濡れている。


「あ、あれ? 目にゴミでも入ったみたい」

「ああ、ずっとあの花を見てましたからね。ほら拭いて」


 渡されたハンカチで目元を拭う。


「いや〜ゴメン、ゴメン。花見に夢中で目を見開いていたのかなぁ?」

「もう……でも食い入るように見てましたからね。これだけ綺麗だと分からないでもないですが」

「そだね〜桜は春の醍醐味の1つだからね」

「”さくら”?って言うのですか?」

「そう……桜」

「初めて見ましたがとても美しい花ですね」

「まあね……そうそう、花見といえば団子なんだけど……食べるかい?」

「何ですかそれっ!? 新作? 新作スイーツですね!」


 出会った頃は表情が死んでいた少女は、今やスイーツと聞くと顔を綻ばせる。

 そんな彼女の変化は喜ばしいものだ。見ていて嬉しい。

 辛い日々を過ごしていた彼女には是非とも幸せになってもらいたいものだ。


「リアたん楽しい?」

「はい! ルゥさんと一緒だから楽しいですよ」








 散る


 散る


 ひらり、ひらりと舞い落ちる


 でも満ちる


 風に乗って散ったそれは新しいなにかになって舞い上がる


 散る


 散る


 舞い落ちたそれは新しい記憶として満ちる



 愛しさも寂しさも彼女にはヒミツ。

 だってそれは”ルティア”でなく、以前の()だけのモノだから。








 散る


 散る


 でも満ちる


 散る、散る、満ちる……散る、満ちる




 新しい生活で満ちていくのだ。



いつも読んで頂きありがとうございます!

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作者のモチベーションがあがりますヾ(。>﹏<。)ノ゛✧*。

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