閑話:コッコのお世話係争奪戦
コッコちゃんの飼育をしてるモブの話です。第三者視点。
コッコ……コッコ……コカコッコォォォォ‼
ここ最近のギルドの朝は、この煩い鳥、いや鶏の鳴き声から始まる。試験的に始まったコッコという魔物の畜産。今日の世話係は最初にルティアから説明を受けたあの2人の職員である。
「ほら餌だぞ〜。いや〜今日もたくさんありがとう卵! 卵に感謝!」
「それ違うから。感謝する相手はコッコ。産んでるのコッコだから」
あれからギルマスから職員達にコッコの事が説明され交代で世話をすることになったのだが、やはり弱いとはいえ魔物というだけあり反対者もいた。当然この2人は賛成派である。ギルマスから「これも仕事だバカヤロー!」という怒鳴り声と「そうですね……話し合ってシフト制で世話して下さい」と副マスのメイガンからの指示。
この2人の職員は既に美味しさを知っているので”ずっと世話係でもいい!”と思っていたが、他の仕事もあるのでそれは難しかった。仕方ないのでローテーションを話し合うことになったのだが、意外と賛成者は少なかった。シフトどころではない。そこで頼れるのはギルドマスター……ではなくギルド食堂の料理長だった。
彼はあのコビットが渡してくれた数々のレシピを見て感動し、早速作って試食したのだ。(肉は試作用にとルティアがいくらか置いていった)その結果、彼も賛成者となり協力してくれたのだが……方法が問題だった。
「これを食ってみろ! こんな旨いものが作れるんだぞ! 肉は置いていってくれた分しかないから、暫くはまだ無理だが卵の方は手に入る! 他の素材もちょっと大変だが何とかしてみせる! 取れた卵で世話係には優先で卵を使って好きなものを作ってやる! コッコが増えたら肉としても捌ける! だからみんなでコッコを世話しようじゃないか!」
少量づつだが職員全員に試食させて説得したのだ。これにより反対者は消えた。いいのかそれで(笑)
今ギルドの食堂では数量限定で卵料理とスイーツ(コビットがいうには甘味をそう言うらしい)が販売されている。予約は受け付けない。また時間を決めるとその時間だけ人が殺到するので販売時間もバラバラだ。特に甘いものが好きな女性職員や噂を聞きつけた一般市民の女性陣達は……ガクガクガク! 恐ろしくてこれ以上は語れない。
そんなところに世話係は必ず手に入るというこの条件。当然、世話係をしたがる職員が増加。いやむしろ取り合いとなったのだ!
「お前、今日は隣の街で会議だろ? オレが世話が代わりにしてやるよ!」
「いやいやいや、世話してから行って間に合うし! むしろオマエ明日当番だっただろ? ダルいって言ってただろ? 代わってやるよ!」
―――とこんな感じである。その日の世話係は甘いものが苦手な職員は卵料理を、スイーツ目当ての職員はスイーツを調理長に頼んで堪能している。この2人は世話係から外れたことは今のところはない。最初に説明を受けたのが大きいのかギルマスと副マスの両方からコッコ世話係の指導役に任命されたのだ。
「いや〜ルゥちゃんがコッコを連れてやってきたあの時、ギルマスに呼ばれて”なんでオレなの?”って思ったけど行って大正解!」
「同感! ルゥちゃんが出してくれた照り焼き旨かったよなぁ……じゅるり」
「あのクリームブリュレも旨かったぁ……ああ、喰いてえ!」
「リアさん……あんな旨いもん毎日食べてるんだよなぁ……う、羨ましい!」
「ホントそれな! ”ゴレム”って名前の料理人だっけ?」
「そうそう。リアさんが「なんで内緒にしてたんですかぁぁゴレムさぁぁん!」って叫んでたし」
彼らは知らない。確かに普段の食事はゴレムさんが作っているが内緒にしていたのはルティアである。普段は主をいじるゴレムさん達だがそこはゴーレム。基本的には主に忠実なのだ。
『え? なんでナイショにしてたか? リアたんはね、ものにもよるけど、初物の時は最低でも5つ食べるの。アウトでしょ? 食べすぎダメ、絶対!』
「オレ今日はクリームブリュレと悩んだがカスタードプリンにする!」
「じゃあオレはエッグタルトにする!」
「お、いいな! そうだ半分ずつにしないか?」
「いいなそれ! 両方食べれる!」
コッコの世話を終えた彼らはウキウキと回収した卵を持って食堂へと向かう。楽しく料理をしている料理長の為に。自分達のご褒美の為に―――今日も元気に卵を運ぶのであった。
コッコ……コッコ……コカコッコォォォォォォォ‼
コッコ達も今日も元気だ。
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