㉚
馬車を見送ったランルーサとダーイは二人で村に戻るべく歩き出した。
「ランルーサ…本当によかったのか? 俺余計なことしちまったんじゃ…」
ランルーサの後ろを馬をのたずなを持ち馬を連れて坂道をのぼりながらポツリとダーイが言った。
「なにいってるのよ、もうさじはなげられたのよ。今更やっぱり行きますなんて言えないでしょ。言いたくないし、未来は私達の力で切り開いていくのよ。あの砂嵐を納める方法をなんとしても見つけて必ず祈りの塔って所にあの人と母さんを迎えに行かなきゃ。それに砂漠を緑に戻す種子は絶対あのグリの実だと思うのよね。まだ砂漠で育つように改良は必要だけどね」
「それ本気でそう思っているのか?まあ、砂から見つけた種子を育ててくれって言われた時は驚いたけど、何だかうまそうな実がつくから育ててたけど」
「まだ想像の段階よ、でもきちんとある一定の所まで育ててから砂漠に植える必要がある気がするの。でも成功すれば、緑が増えるわ。これからが大変よ。のんびりしていられないんだから、子育てもしなきゃいけないしね」
「そうだね。えっ?それって」
ランルーサの発言で真っ赤になって口ごもってしまったダーイにランルーサも真っ赤になりながら小さな声で言った。
「もう女も私から言わすの?」
「あっ、いや、その・・・ランルーサ、好きだ! 俺の子どもをたくさん産んでくれ!」
「もう任せなさい」
ランルーサはギュッとダーイに抱き着いた。
「でもグリの実も私達の未来の子ども同様に大切に育ててね。何て言っても子どもたちの未来がかかっているんだから」
「ああ、どんと任せろ! ランルーサが隣で笑っていてくれるんならなんでも頑張れるさ。そうだ、帰ったらおじいに結婚の許しを貰わないとな」
「ええ、それに、嵐の夜の砂集めもみんなに頼まなきゃいけないし、いろいろ村会議が必要だわ。忙しくなりそうね」
「みんなに協力してもらえば大丈夫だな。あいつらお前の大ファンだしな」
「あら、一番のファンはあなたでしょ」
ウインクしながらいうランルーサにダーイは頭をかきながら頷いた。
「そうだな、一番は譲れないな。まあみんなを巻き込むか、ある程度育っている苗があるからさ、それをサイレントの騎士団に持って行って砂漠に植えてきてもらおうぜ、そうだ。俺達も同行するっていいんじゃねええか、提案者としてさ」
「あらいいアイデアね。サイレントの騎士団への連携依頼はおじいにお願いすればなんとかなるかもしれないしね。忙しくなりそうね」
「そうだな…でもよかった。お前が行かなくてさ。あいつに感謝だな」
笑顔に戻ったランルーサにダーイが後ろを振り向きながら小さな声で囁いた。
「ダーイ早く来なさいよ。おじいに早くこの思い付き話さなきゃ、ついでにきっと結婚の申し込み挨拶してくれるんでしょ。まあ、したら殴られるの覚悟しなさいよね。そうだ、おじ様にも一発なるられるかも」
先を歩いていたランルーサは後ろを振り向きダーイに向かって手を振って手招きした。
「ああ…そうだろうな。俺明日顔原型とどめているかな。ああっいっけねえ! 俺、何もいわずに飛び出してきちまった。馬勝手に持ち出してきちまった。おっかあにどやされる!」
思い出したように慌ててダーイも走りだした。
ランルーサに追いついたダーイにランルーサは舌を出して笑った。
「クスッ、ダーイ、私のせいにしないでよね。私は関係ないからね」
「なんだよルーサ、大体なあ」
「ふふっ、大好きよダーイ」
そういうと、ランルーサは突然ダーイの頬にキスをした。
「ほら、早く戻ろう。昼になっちゃうわ。明日から忙しくなるんだから」
その後、この谷がどうなったかはまだ先のお話、ランルーサとダーイの挑戦は始まったばかり。
だけど、風の噂で、砂漠がこの20年後も少しずつ緑が増えて緑の民がすむルーアルーアも存在し続けているという。
そして、この場所以外にも人が住む場所が存在していたことを突き止め、この星に再び光の道が蘇ったという。
人々はこの砂漠に咲き誇る緑の木をこう呼ぶ。
ランルーサとダーイの愛の木と




