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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第二章 壊れたる者
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シズクの過去⑥

次回が過去編最終回と言ったな?あれは嘘だ!!


……


すみません!すみません!予想以上に文章ボリュームが膨れ上がってしまったんです!次回は必ず過去編最終回にします!本当にすみません!!

では、一か月ぶりの更新です。どうぞ。

 あの後、なんやかんやあったが結局両親は私を許し、またこちらも申し訳なかったと謝られた。

 また見舞いに行くよと言われた時には、人目を気にせず飛び上がりたくなるくらい嬉しく、心が跳ねた。


 要件を終えた私はホールの看護師にお礼を言いながら電話機を返却し、そして今までの事を謝罪した。

 それからは私は、迷惑をかけてしまった看護師や医師を見つけてはごめんなさいと頭を下げた。

 一度成功したからだろうか。拒絶される恐怖に物怖じしなくなり、面と向かって行うことが出来た。

 勿論、謝罪を軽んじているわけではなく、常に誠心誠意を籠めながら頭を下げている。謝罪とは相手に気持ちが伝わってこそ成立するものだと理解したから。


 我を取り戻し今までの行いに対しての謝罪を繰り返す内に、私が謝るべき人は殆どいなくなった。

 しかし、殆どであってすべてではない。

 私がまだ謝りきれていない人がまだいた。


 それは、私の友達だ。


 恐らく幾ら待とうとも、彼女達が私の前に姿を現すことはないだろう。彼女達を傷付けた私が謝らない限り。

 だけど、私は彼女達に連絡する手段がない。謝罪の念を伝える術を持ち合わせてはいない。

 謝りたい。仲直りしたいと思ってもどうすることもできない。

 もどかしい気持ちが募り、過去の行いに対しての後悔が押し寄せる。


 実際、彼女達に謝らなくたって今後の私の人生になんら支障はない。だって私はこれから一生入院生活で、再び私達が通っていた学校に戻ることは出来ないのだから。彼女達と出会うことは今後二度とないだろう。

 それでも、私は謝りたかった。今では喜怒哀楽を共有した彼女達に。私の心が弱いばっかりに傷付けてしまった彼女達に。

 傷付けてごめん。怒鳴ってごめん。罵ってごめん。物投げてごめんーーー。

 出しうる言葉を全て発して私の気持ちを、後悔の念を彼女達に伝えたい。


 どうにかならないのか。

 宛もなく院内を散歩していると、ふと入院患者の雑談が耳に入った。


「最近の若い子はインスターとかファスブックとかっていうSNSみんなやってるらしいのよ。何が面白いのかしら」

「いやいや奥さん、SNSの魅力っていうのはーーー」


 そうだ。私達にはlime以外にもSNSがあった。

 私はlime以外のSNSをやっていなかったが、学校でそのことを話すと友達は大いに驚いていた。珍しいとか、やっといた方がいいとか。

 そんなことを言っていた彼女達は当然やっているだろう。

 私は早速、入院場所に当てられた病室に駆け込み、スマホを探そうとバッグの中を漁ろうとした。

 そして気付く。


「そうだ。今はスマホ壊れててないんだった」


 折角活路を見出だしたのに……。

 そう思って落胆しかけた時、神がまだ諦めるべきじゃないと言っているかのようなタイミングで救いの手が訪れた。

 朗らかな笑みを浮かべながら私のお父さんがある品を持ってやって来たのだ。


「雫。新品のスマホ買ってきたぞ」

「お父さんナイスタイミング!!もう帰っていいよ」

「酷くない!?」

「冗談。でも半分本気。今日はちょっとやらなきゃいけないことがあるの」


 私は真剣な眼差しでお父さんの目を見つめた。

 真剣度合いが伝わったのだろう。お父さんは緩んだ表情筋をキッと引き締めて、静かに私を見据えながら尋ねた。


「……そうか。それは今やらなきゃいけないことなんだな?」

「うん」

「わかった。だが一つ忠告しておく。今のままじゃいけないよ」

「……どういうこと?」

「それは、自分で気づくべきだ。お父さんが雫に助言をするべきではない」


 そういうとお父さんは私にスマホを手渡すと、何も言わずにその場を去っていった。

 言葉の意味があまりピンとこなかった私は思考を切り替え、スマホを受け取った私はすかさず手元に引き寄せると電源を入れる。

 ストアを起動し、知る限りのSNSを片っ端からインストールしていく。

 ファスブック、インスタ―、トウイッタ―。

 簡単な初期登録を手早く済ませ、彼女たちの名前、学校名、思い出など検索でヒットしそうな単語を何度も何度も何度も何度も打ち込み、見当たらないようなら他のアプリを起動して同じ動作を行う。


 どのくらい時間がかかるかわからない。問題ない。どうせ暇だ。

 スワイプのし過ぎで指が痛い。気にするな。

 スマホ画面の見過ぎで目が眩む。我慢しろ


 脳の記憶を必死に掘り出し、出てきた中身を文字にする。

 幾百、幾千回も検索にかけた。思い出せる限りの単語は出尽くした。

 それでも、彼女達の名前はヒットしなかった。


 だがしかし、彼女達の本名ではないものの、彼女達のアカウントらしきものを発見することが出来た。

 実際はもっと早くにそれらしいアカウントを何個か見つけることが出来たのだが、その全てが鍵の掛かったアカウントだった。

 そしてやっとの事見つけたアカウントは私の友達の一人の名前をもじったユーザー名で、プロフィール情報や投稿内容がその子の性格に類似していた。勿論、鍵は掛かっていない。

 決め手となったのはその投稿に添付されていた写真だ。

 顔が映っていない写真だが、服装や体型から見て私たちの写真で間違いなかった。


 そして、私はその写真を見てホッとした。

 私の写った写真を削除されていなかったからだ。

 彼氏と別れたからその投稿をすべて削除したという話を聞いたことがあった。私もあんなことがあったのだから、そんな感じで削除されてしまっているのではないかと探している最中に心の奥底で感じていた。

 だからこそ私は安堵した。

 もしかしたら消し忘れの可能性もあるが、もし完全に記録を消したいという意思があったら一つ残らず消されていたことだろう。

 それなのに残されていた。これはあの男の人が言っていたように彼女と私の糸は完全に断ち切れていないということではないだろうか。彼女の心の片隅に私はまだいてくれているのではないだろうか。


 私は作り出したアカウント名を変更し、私の本名へと編集した。

 そして一息整えると彼女のアカウントをタップし、ダイレクトメッセージを開く。その後、文を打ち込んだ。


『この間はごめんなさい。本当はもっと早く謝りたかった。だけど事故が原因でスマホが壊れてて貴女達に連絡を取れなかったの。だから、謝るの遅れてごめんね。私達、前みたいにまた仲良くできないかな?』


 送信ボタンに指圧をかけようとしたその時、寸でのところで指が止まる。


 ……なんで言い訳している?


 いいや、問う必要なんてない。答えは出てる。

 私が……甘えているせいだ。皆の善意に。

 周りが許してくれるもんだから、彼女達も当然許してもらえるだろうという考えがほんの少し頭に過った。

 写真が残っていたから、彼女達の心に残っていそうとわかったから謝罪すれば簡単に許してもらえるだろうと打算した。

 今までしっかりと言葉に込められていた誠意が、今は一欠片とて無い。

 お父さんが忠告してくれなければ、気づかずにこの文をそのまま送っていただろう。


 私は自身の頭を枕へと必死に打ち付けた。煩悩を払いたくて、心の穢れを落としたくて。

 愚かな私は嫌悪した。醜い心を宿した自分自身に。

 こんな私が彼女達に謝る資格なんてあるだろうか?


 いや、資格云々の話じゃない。私は彼女達に謝らなければいけないんだ。これは資格や権利なんかじゃなく、私の義務だ。

 私は深呼吸を数回行い、濁り切った心にへばり付いたヘドロを洗い流し、誠心を取り戻すとスマホの文字を打ち直す。


『この間はごめんなさい』


 簡潔な文だ。言い訳も何もない。

 これ以上に謝りたいことはたくさんある。打ちたい言葉もいっぱいある。

 だけど、最初はこれだけでいい。もし彼女達に私を許す気持ちが無ければ、それは迷惑となってしまうから。


 私はただ返信を待った。他のアプリを起動することなく、暇つぶしに散歩することもなく、ただスマホの一画面をベットの上で凝視した。

 数分?数十分?

 いくら経ったかわからない。

 時計を一瞥すらしていない。凝視すること以外何もしていないから体感時間が途轍もなく長く感じる。

 だけど、私がこの行動をやめることは無い。それは醜い心を持ち合わせた私に対する。自分自身が科す罰なのだから。


 それから少しもしないうちに既読がついた。


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