臨時収入
実は昨日投稿する予定でした。投稿し忘れていました。
結局、彼らの死体と骨が心配になりすぎて死の洞窟に潜らずギルドが開く朝方まで何もせず待ってしまった。
ほっといてもいいのだが彼らが個人ではなく組織で動いていた場合、死体回収とかされるかもしれない。
そうなると少し厄介になる。
だからこそ俺は留まるしかなかった。
それから朝となり、まだ誰もいないギルドにこの事実を伝えた。
最初は何言ってんだこいつ?的な顔をされたが現場を見せると謝罪と感謝をされ、この事件について調査が入ることになった。
第一発見者として協力要請を受けたが、俺は冒険者ではないし応じる義務はない。
加えて俺が持っている情報もたかが知れているため、全てギルドに頑張ってもらうことにした。
ついでにデイルが転移魔法で数多くの冒険者がいなくなっていた筈だが、全く話題になっていない事が気になり尋ねてみたところ、冒険者が死亡することは日常茶飯事で死の洞窟に潜っているような初心者なら尚更とのことらしい。
特段気にしている様子はなかった。
デイルの存在はロッド達から聞かされたために、ダンジョンが変異したのではないかと先の事件と同時進行で調査を行うつもりのようだ。
デイルはもう倒したのだが、倒した事を今のステータスでは証明できないため黙っておくとしよう。
忙しそうなギルドの人たちを尻目に俺とシズクは古の遺跡に向かうべく、業者の操る馬車に乗り街を出た。
古の遺跡との間にある道路の通った大樹林を抜けていく。
「ん……」
シズクは朝に弱いようでガタガタと盛大に揺れる馬車の中でもお気楽そうに眠っていた。
大樹林を抜けるには馬車を走らせようとも半日かかる。その間は彼女との雑談で時間でも潰そうと思っていたが想定外だ。
訪れるのは三度目の暇な時間。
暇な時間が頻繁に来過ぎじゃなかろうか。
ガチャポイントも使ったしやることは無い。
俺は暇つぶしに少し上昇したステータスを眺めることにした。
名前 :スケ(仮名)
種族 :ガシャドクロ
状態 :平常
ポイント:3046
LV:1/1
HP:366/366 +100
MP:200/200 +100
攻撃:475 +100
防御:200 +100
俊敏:526 +100
魔攻:292 +100
魔防:336 +100
スキル:《擬骨生成》《投擲》《暴走(封印)》《書物記憶》《繋がる思考》
ユニークスキル:《ガチャ》
《叡智(改)》
最後にステータスを見たのは肉の仮面を手に入れた時。その時と比べるとスキルの数がかなり減少し、寂しく感じる。
よくもユービシン!!
ステータスもMPと防御は変わらないが、攻撃と俊敏の値が二倍以上に増している。ユービシンから貰った服の補正値もかなり良い。
ありがとうユービシン!!
他に変わったことと言えば名前が追加されたことくらい……ん?
ステータス画面を下から上へと目を運び、最上段の名前の欄に目を向ける直前、違和感に気付いた。
ガチャポイントが……増えている!?
図書館でガチャを引き終えた時のポイントは確か24くらいだったはず。
あの後結局、魔神万歳さん達が居たせいで死の洞窟に潜ってはいない。大樹林に入ってから魔物と遭遇してもいない。
つまり、ポイントを手に入れる場面は無かったはずなのだ。
「あ……」
そういえば一つだけあった。あの時はまったく気にしてなかったが、人殺したんだった。
気にしてなかったところを見ると俺の心は少し魔物よりになっているんだなと改めて思う。
まあ、そんなことは置いておいて。たった二人を殺しただけで約三千ものポイントが手に入った。
彼らが俺を殺すことに対して躊躇が一切なかったところから初めての殺人という訳ではなさそうだ。
昨日の俺の様な邪魔者をよく始末していたんだろう。その始末された人々のポイントの合算だからデイル一人よりも遥かに多いポイントなのかもしれない。
そんな人々にはご冥福をお祈りする。
しかし、そう考えると地道に魔物を倒すよりも悪人を殺していった方がポイント効率的に稼げるんじゃ……。
そんな時、俺の頭に住まう悪魔と天使が姿を現した。
『殺しちまえよ。悪人なんだから別に困らねぇだろ?逆に世のためになるんじゃねぇか?世を綺麗にできてお前も得する。winwinな関係ってことだ。両者ともに正しく生きようぜ』
『そうだそうだ』
『駄目よ。たとえ今は悪人だとしてもやむにやまれぬ理由で犯罪に手を染めてしまった人もいるじゃない。彼らにも正しく生きさせてあげるべきだわ。更生のチャンスをあげる為に殺すのはやめときましょ』
『ブーブー』
なんか天使と悪魔の論争にガヤが居るんだが。しかも悪魔よりの……叡智さん?
『人殺し賛成意見の方が効率的に強くなれます。ですから私はこちらを推します。人殺しなんて私には他人事ですので。』
そんな殺生な。
確かに悪魔の方に着いた方が俺は強くなれるかもしれない。
だが、あの時は人殺しに対して何も感じなかった俺が更に人を殺してしまえば俺に宿る魔物の潜在意識に拍車がかかてしまうんではないだろうか。
俺は魔物になりたいとは思っていない。ならここは天使の意見を採用させてもらう。
しかし、それでもこれは臨時収入だ。この暇な時間はガチャで潰すことにしよう。
スキルは擬骨生成がかなり応用の効くスキルだからステータスを中心にガチャを引くとしよう。
馬を動かす業者とは布を隔てている。シズクも寝ていることだしこれは久しぶりにガチャガチャを出して引けるぞ!!
俺はそう思いながら特別ガチャ以外の三つのガチャガチャを具現化させる。
やっぱりガチャは頭の中で引くより実際に手で感触を味わった方がワクワク感がある。
このガチャガチャにコインを入れる必要はない。俺の手がPASMOやpaypayの役割を果たしている。
ひんやりとしたガチャレバーを握り、ステータスを二十回、スキルとアイテムを五回。計三十回全て回した。
その結果がこちら。
名前 :スケ(仮名)
種族 :ガシャドクロ
状態 :平常
ポイント:46
LV:1/1
HP:786/786 +100
MP:513/513 +100
攻撃:593 +100
防御:232 +100
俊敏:977 +100
魔攻:601 +100
魔防:446 +100
スキル:《擬骨生成》《投擲》《暴走(封印)》《書物記憶》《泥沼》《抜き足》《影撃ち》《竜尾裂断》《重圧迫》
ユニークスキル:《ガチャ》
《叡智(改)》
《繋がる思考》
排出されたカプセルを開封する度、飽き飽きするような機械アナウンスがガチャガチャを引いた数。つまり三十回も俺の頭の中で響き渡った。
流石に三十回にもなると頭が痛くなる。
そんな時、チリンッと小さな鈴の音が鳴った気がした。
クマでもいるのか?それとも、機械音声聞きすぎて幻聴でも聞こえるようになったのか?
もしそうなら少し休んだ方が良いかもしれない。
スキルやアイテムの効果についてはあとで確認することにしよう。
俺はガチャガチャをしまい込み、ガタガタと揺れる馬車の中で寝るわけでもなく横になるのだった。
知らない人のために、鈴は熊避けになります。




