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スケルトンはガチャスキルで強くなる  作者: 一時二滴
第一章 ダンジョン攻略
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肉の仮面

宣伝用にTwitterアカウント作りました。昔も一回作ったことあるんですけどエタった時に消しちゃったんでまた作り直しました。基本宣伝ですがたまに自我を持ちます

 凄まじい脱力感を身に味わいながら俺は目を覚ました。

 身体は骸骨のありのままの姿であり、服は着ていなかった。デイルに身体を粉々にされた時当然のように脱げてしまったのだろう。

 力がいつもより全く入らない。限界までパンプアップした筋肉が急にトレーニング以前に戻された様な違和感がある。よく小説で与えられた力を奪われる描写とかあったが、こんな感覚だったのか。これも強制進化のせいだろうな。

 実は暴走を起動しても俺の意識はあった。身体を動かしたり思考に介入したりすることは出来なかったが。

 例えるなら映画鑑賞しているような感じだ。俺自身は見ているだけで何もできなかった。

 だから強制進化の事も知ってるし、デイルが死んだことも知っている。


 ただ映画鑑賞しているだけならまだ楽だったのだが、干渉している間よくわからない黒い手の様なものが俺の邪魔をしてきた。本当に邪魔でしかなかった。映画のクライマックスに喋りかけてくる奴くらい煩わしかった。その手たちは暴走が止まったと同時に消えていった。

 暴走が何故止まったかはよくわからないが、俺が見ていた限り首にかけていた破精守りの耳飾りがちょうど眩いくらいに光り輝いていた。暴走を止めたのはこの耳飾りのお陰だと思われる。そう考えるとあの黒い手たちは精神崩壊へといざなう因子だったのかもしれない。

 っと、そういえばどのくらいステータス持っていかれたか確認するべきだったな。


 名前  :

 種族  :ガシャドクロ

 状態  :平常

 ポイント:724


 LV:1/1

 HP:200/200

 MP:200/200


 攻撃:200

 防御:200

 俊敏:200

 魔攻:200

 魔防:200


 スキル:《視認の瞳》《投擲》《糸操作&放出》《気の支配》《煙象強促》《空庫》《装化纏》《擬骨生成》《影縫い》《立体機動》《初級火属性魔法》《魔力操作》《並列思考》《暴走(封印)》《スキル結合》《剣術》《掃除》《自爆》《連撃殴打》《竜爪》《炎熱耐性》《書物記憶》《痛覚遮断》《裏面傷害(ステータスダメージ)》《精密時計》《速読》《先見の明》《姿隠し》《鉄塊生成》《異常治癒》《不動》


 ユニークスキル:《ガチャ》

         《運試し》

         《叡智(改)》

         《繋がる思考(シンクリンク)


 ステータスからは混沌の項目は消えていた。だがそれよりも気になるところがいくつもあった。

 強制進化の影響でステータスが下がるのはまだわかる。本来時間をかけて果たす事象を省くのだからそれなりに代償があることは覚悟していた。

 だがそれにしても下がりすぎなんじゃないか?オール200とか恐ろしく低い。仮にも進化したのに進化前より断然弱い。しかも最大レベルがたったの1。既にカンスト状態だから成長は全く見込めない。それにそれに、進化先のスキルが一つも増えてない。

 最悪、俺このダンジョンから出られないぞ?デイルが消えたところで吸血鬼の血を与えられた魔物が消えるわけでもない。

 やばい、詰んだかもしれない。

 お先真っ暗に見える未来に頭を抱える。


 いやまてよ?もしかしたら、もしかしたらだが転移用の魔法陣とかがあるかもしれない。ほら、よくゲームでダンジョンクリアしたら入り口に戻れる機能あったじゃん。あんな感じのどっかに……。


『ないです』


 ……え?


『だから、ないです』


 希望を砕くようにきっぱりと告げる叡智。叡智の知識は人類全員の知識の総合。それがないと言い切るということは。

 終わった。俺の二度目の人生完全にゲームオーバーだ。俺が生きている間に最終階層に都合よく人が来て助けてくれる可能性はかなり薄い。ボス部屋に魔物が入ってくることは無い。崩れた天井も目覚めた時にはダンジョンの力で自動修復されており、上から降ってくる心配もない。だが代わりにボスがリポップしてくる。吸血鬼の血を吸っていないからと言って今のステータスで勝てるほど軟弱なボスとも思えない。


『今まではデイルがリポップする度に倒していましたが、今は時間もかなり経っていますしいつ姿を現してもおかしくありません』


 だそうだ。装化纏を駆使すればもしかしたら倒せるかもしれないが、ステータスが上昇しない以上現状維持でしかない。万が一のミスが起こって死ぬ可能性もある。それにボスリポップは時間帯がランダムらしい。あまり速く復活することは無いらしいが、もしはずれを引いて装化纏のデメリットである気絶中に襲われたらもう終わりだ。

 今抱いてる絶望感はデイルが復活した時に匹敵する。一日に二度も希望から絶望に突き落とされるとは思ってもみなかったな。


 俺は吹っ切れた表情で辺りを散策することにした。意味はないかもしれないが。

 ひとまず何か目ぼしいものが無いかと辺りを見回すと、白く煌めくひし形の小さな結晶が転がっていることに気付いた。

 とりあえずそれに視認の瞳で鑑定にかけてみた。


【デイルの結晶】


 デイルと名乗る魔物の強い意志が魔石を結晶へと変容させた。その結晶に込められた魔力は禍々しく、本来の用途以外に使用することが出来ない。

 破壊不能。結晶の元となるデイルを結晶になる以前の姿で召喚することが出来る。



 これは、うん。

 俺はひし形の結晶を手に取ると、ソッと空庫の中に仕舞った。

 こいつは絶対使わない。お蔵入りだ。一生使う機会なんて訪れないだろう。

 物騒な代物の事は置いておいて、次に目に留まるものが見つかった。

 それは仮面だった。俺が以前より被っていた物と全く同じく赤い亀裂の入った表情の弄れる道具。


【肉の仮面】


 仮面を持つ魔物から持たない魔物に進化を果たした時にドロップする貴重品。身に着けると肩まで疑似的な人の筋肉や皮膚などを作り出すことが出来、人として化けることが出来る。代わりに仮面は顔と同化し、取り外そうとしない限り偽装は継続する。

 肩まで思い描いた肉体生成。



 これは……俺、人になれるんじゃないか!?

 俺は鑑定結果を目にすると駆け足で肉の仮面が落ちている場所へと向かい、手をワキワキと動かしながらその仮面を手に取り、身に着けた。

 仮面から幾万もの肉の線が飛び出し絡み合い、徐々に徐々に顔らしきものを形作っていく。

 そして顔ができたのだが、一つ疑問を抱いた。

 そういえば俺、前世の事トラックにひかれたこと以外覚えてないんだった。前世がどんな顔だったかなんて全く思い出せないし、思い描いた顔ってどんな感じになってるんだ?


『以前遭遇したロッドという黒髪の爽やかな青年と全く同じ顔をしています』


 恐らく唯一の黒髪だったロッドが一番日本人に近かったから無意識に思い描いた顔になったのかもしれない。

 だが流石にこれはまずいな。もしまたロッドに出会いでもしたら全く同じ顔なんて絶対怪しまれる。もう合えないかもしれないけど。まあそれを言えば今人間になれたところでって話になってくる。

 いや、ネガティブな思考はやめよう。

 俺は邪念を消し去る思いで小さく頭を振る。

 そして今度は爽やかなロッドと、クールで紺色の髪を持っていたルーク、豪傑なアムスのいかつい顔を足して割った顔立ちを思い描いた。

 再び仮面は動き出し、絡めていた肉を全て仮面に引き戻すとまた同じように肉の線を放出し、顔面を覆いこむ。そうして出来上がったのは……。


『黒髪、良くも悪くもない、彼らとは似ても似つかないフツメンですね』


 らしい。いいところを全部合わせたつもりだったが、そううまくはいかないらしい。まあ、イケメンを目指していたわけでもないから問題ないが。

 仮面は鑑定結果通り肩より上しか形成していない。だから骨と肉の境目が生まれているというのに感覚的違和感は全くない。不思議だ。視覚的には違和感バリバリなのに。

 そして見た目人間になった俺だがもう一つ重要な事実を発見した。


「なんと、喋れる!!」


 言葉通り喋れるようになっていた滅茶苦茶喜ばしい事実だ。

 そんなウキウキ気分で辺りを見回すが、他に落ちているものは見当たらない。そのため辺りを歩き回ることにしたが、ボス部屋の扉から一番離れた最奥ともいえる位置に踏み入った時、背後でパサッと何かが落ちる音がした。

 ん?なんの音だ?……あ!そうだ!!


「ん?なんの音だ?」


 脳内独り言時間が長すぎてつい言葉に出すのを忘れてしまう。地上に行けた時のためにこの癖は直しておかなければ。

 そう思いながら音の下方向に目を向けると、学園祭などで配られるパンフレットくらい薄い厚さで雑誌のように大きな本が一冊落ちていた。


「本?中身は……」


 鑑定結果には本としか書かれていなかった。

 一枚一枚ページをめくっていくが知識にない言語が羅列されており、読むことが叶わなかった。叡智に読めるか聞いてみても読めないとのことだった。

 とりあえず羅列した文字に一通り目を通し、昔手に入れた書物記憶という今まで使たことすらなかったスキルの中に文字を記憶していく。今後わかることがあるかもしれない。

 目を通し終え、本を閉じると本は発火し、燃えてしまった。


「あ、ちょっと」


 熱くはなかったが、燃えるその本に多くの者に見せたくないという意思を感じた。気のせいかもしれんが。

 本は灰になる事もなく、欠片の跡を残すことなく燃え尽きた。

 読んだと言えるかわからないが本も読み終わり、何もすることが無く暇となってしまった。こんなのが続いてるといつか俺もつれづれなるままに~とか呟くようになってしまうかもしれない。随筆始めちゃいそう。あ、そうだ、ガチャでも引くか?

 そんなとき、俺の真下に一メートルほどの魔法陣が展開された。


「なにこれ?まさかボスさん俺の真下にリポップするの?マジで?てか、リポップするにしては魔法陣小さくね?ボスこんな小さいんかな?」


 内心に抱く今後の不安をかき消したいためか無意識に饒舌となっていた俺は魔法陣が光を強めたとともにボス部屋から姿を消すのだった。

 

なんと主人公、声が出せるようになりましたとさ。

次回、一章ラスト!!

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