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備え
自動車にエアバックがついているのは
事故を起こしたいからではなく
パイロットが水上着陸の練習をするのは
墜落したいからではなく
災害に備えるのは
災害が起こって欲しいからではない
誰しも備えることを
望んではいないのだろう
人は体験したことも
見たこともないことを
恐れ、備えるのだ
そして人が恐れたことは
往々にして現実になり
それを克服したとき
また新たな懸念、恐怖が生まれるのだ
それらをなくすことは
おそらく叶わないであろうが
人は恐れることで
生き抜いてきた
恐れは決して敗北ではない




