60、模型船
大きさ三センチくらいの模型がたまたま家にあった。いつからあったのかは知らない。模型船が自分から空を飛んできたような気もする。
駿乃介は、自分の部屋にいつの間にか存在した模型船を、ピンセットを使って解体していくことにした。模型船は、それは精巧にできており、船の中身の通路や計器類まで、すべて完全につくられているのだった。
「これは、ひょっとするとたいしたものだぞ。相当な名工の作品にちがいない」
と思った駿乃介は、あちこちで模型船のことをみんなに話したのだけれど、関心をもつ人はいなかった。とんでもないことになった。天下の名作が、自分の手によって解体されているのである。あとで、もとに戻せるように、駿乃介は詳細な部品の配置を書き記し始めた。
やがて、駿乃介は、模型船には上下道水が完全に完備されており、操縦室の計器も見たこともない文字だけれど、ちゃんと規則正しく動くことに気づいた。
駿乃介は、ひょっとして、と思って話しかけた。
「ねえ、ねえ、宇宙人さん。もしかして、おれって、きみたちの宇宙船を壊してしまったのかな」
すると、模型船の中から青色のゼリーのようなものが出てきて、日本語を話した。
「おや、どうやら話の通じる方のようですね。そうです。我々は宇宙船が壊されてしまって困っているのです」
「きみたちみたいな宇宙人は他にもいるの?」
「ええ、世界中の模型船の中にかなりまぎれこんでます。友好を結ぶためには、ジャンプ空中三回転をしてください。あ、それ」
そして、青色のゼリーはジャンプして三回転した。
駿乃介も負けじとジャンプ空中三回転をする。見事、成功した。
「頑張って、宇宙船を元に戻すから、ちょっと待っててね」
そして、駿乃介は、模型船を修理する作業に入ったのだった。




