第十章 最後の謎解き
西の森へ向かったのは翌朝だった。全員で行った。
リオン、セイヴァン、ヴィサラ、ガラン、ウォルド家の母親、コウ、リオンの父親。タルム村の村人たちも何人かついてきた。
もう一人のケイが先頭を歩いた。ガルド・ヴェインの体を借りた老人が、杖をついて静かに歩いた。
誰も話さなかった。私は列の中ほどを歩きながら考えた。
謎解きをするとしたら今だ。剣でも魔法でもなく。言葉で。じいさんが選んだ方法で。
森の中心部の開けた場所に出た。紋様が地面に広がっていた。朝の光の中で、紋様の線が微かに光っていた。
もう一人のケイが紋様の前に立った。私も向かいに立った。二人の間に紋様があった。
「始めよう」ともう一人のケイは言った。
「始めましょう」と私は言った。「その前に聞かせてください。あなたは何のために生きてきたんですか」
「生き延びるために」と彼は言った。
「それだけですか」
「じいさんの記憶があるはずです。あの村の家族の記憶も。小さな女の子と星を見た夜の記憶も」
もう一人のケイの目が揺れた。「ある」
「その記憶があって、それでも生き延びることだけが目的ですか」
「あなたはじいさんが間違えた部分だと思っていますか」
「そうだ。私はケイ・サヴァの失敗だ。切り捨てられた部分だ」
「違います」と私は言った。「じいさんはあなたを切り捨てたのではない。沈めたんです。泉に。この森の泉に」
「同じことだ」
「違います。捨てるならどこかに放り出せばよかった。でもじいさんはこの森に沈めた。この森はじいさんを招き入れた場所です。じいさんにとって一番大切な場所に、あなたを沈めた」
「あなたを消したかったのではない。あなたと一緒にいたかったんだと思います。ただ世界に放つことができなかった。だからここに沈めた」
「…戯言だ」と彼は言った。しかし声が低くなっていた。
「じいさんの独白を受け取りました。じいさんはあなたのことを一度も憎いと言わなかった。恐ろしいとは言った。しかし憎いとは言わなかった」
老人はしばらく私を見ていた。「何が言いたい」
「あなたはじいさんの失敗ではない。じいさんの苦しみです。じいさんが一人で抱えた、一番重いものです」
もう一人のケイは紋様を見た。長い間見ていた。
「この紋様が何か分かるか」
「選択のための場所だと聞きました」
「そうだ。二つの選択肢がある」と彼は言った。「一つは私を完全に封印する。この紋様に全ての宝石を置けば永遠に封じることができる。私は二度と蘇らない」
「もう一つは」
「宝石を紋様に置き、お前が解放を選んで紋様を起動する。私はこの体を離れて宝石の中に戻り、ガルド・ヴェインは元に戻る。ただし完全には封じられない。いつかまた蘇る可能性がある」
「じいさんはどちらを望んでいたと思いますか」と私は聞いた。
「私に聞くのか」
「あなたが一番分かるはずです。同じ記憶を持っているから」
「あの男は」と彼は静かに言った。「消すことを望まなかったと思う。何であっても、誰であっても、消すことを選ばなかった人間だった」
「ならば」と私は言った。
「ただ解放すれば私はまたいつか蘇る。それでいいのか」
「いいです」と私は言った。迷わなかった。
「なぜだ」
「じいさんが言っていた。力は奪うものではなく生まれるものだと。あなたを消すことで平和を作るのはじいさんのやり方じゃない。あなたがいつか蘇った時に、また向き合えばいい。その時はもっとうまくやれると思う」
もう一人のケイは私を見た。長い間見ていた。
「お前はケイ・サヴァに似ている。本当に似ている」
「よく言われます」と私は言った。
もう一人のケイは小さく笑った。初めて見る笑い方だった。じいさんの笑い方に似ていた。
私は懐から宝石を出した。じいさんからもらった宝石だった。
リオンが父親から受け取った宝石を持ってきた。領主から隠し守り抜いてきた石だ。ウォルド家の母親も宝石を持ってきていた。
三つの宝石が並んだ。紋様の中央に置いた。
全ての宝石ではない。領主の家に伝わる石が、ここにはない。だが構わなかった。たとえ全てが揃っていても、私は封印を選ばなかった。私は解放を念じて、紋様に手をかざした。
光が広がった。柔らかい光だった。温かい光だった。
もう一人のケイが光に包まれた。彼は目を閉じた。その顔が少しずつ変わっていった。
老人の顔だった。じいさんの顔ではなかった。しかしどこかじいさんに似た顔だった。同じところから来た人間の顔だった。
「セイラ」ともう一人のケイは目を閉じたまま言った。
「何ですか」
「一つだけ教えてくれ。ケイ・サヴァは最後まで笑っていたか」
「怒らなかった」と私は言った。「いいんだ、と言っていた。それがじいさんの笑い方でした」
もう一人のケイは小さく頷いた。「そうか。そうか」
光が強くなった。そして静かに消えた。
地面にガルド・ヴェインが倒れていた。リオンが駆け寄った。「生きてる。ただ意識がない」
「しばらく眠るでしょう。目が覚めた時には何も覚えていないかもしれない」とセイヴァンが言った。
私は紋様を見た。宝石が三つ並んでいた。光は消えていた。しかし宝石は温かかった。
もう一人のケイはどこかにいる気がした。じいさんと同じように。どこかに。
森の外に出た時、全員で空を見上げた。青い空だった。雲一つなかった。
「終わったのか」とリオンが言った。
「一区切りついた」と私は言った。「終わりではない」
「もう一人のケイはいつかまた蘇る。領主の問題もまだある。やることはたくさんある」
「それでもお前は笑っているのか」とリオンは言った。
私は自分の顔を触った。笑っていた。気づかなかった。
「じいさんの影響かもしれない」と私は言った。
リオンは小さく笑った。
セイヴァンが近づいてきた。
「ケイ・サヴァ様に、少しだけ近づけた気がします」と彼は言った。
「私のおかげじゃない。じいさんのおかげです」
ヴィサラが来た。「私はどうすればいい。これから」
「一緒に来ればいい。やることはたくさんある」
「信用していいの?私を」
「できない」と私は言った。「だからそばに置く」
ヴィサラは笑った。本物の笑いだった。最初に山道で会った時の笑いとは違う。ずっと柔らかい笑いだった。
── 第十章 終 ──




