王様はつまりバフ要員〜強いのは配下ですが、別にいいですよ、もう〜

俺は多分【異世界送り】という都市伝説的なそれを体験したんだと思う。理由は分からないし、ついでに言えば帰り方も分からない。
噂通り、剣も魔法もある。ゲームみたいだ。けれど、その世界はネットで考察されるほど甘く楽しいものではなかった。 甘くない世界で、日本と変わらず酒場でバイトしていただけなのに、ある日突然、死にかけた。
どうやら俺は向こうの世界から弾かれ、勇者に選ばれず、この世界にいる意味を失ったらしい。
死にかけた俺を助けてくれた少女は、キスをしてこういった。「わたくしが貴方を王にします」

次に目が覚めたのは魔界の端の滅亡寸前の国。住人は4人と1匹のみ。

だからって……俺が魔界の一国の王様？人間界との境を守る？……ははは、何言ってるの、ムリムリ。

俺の目の力(バフなんだけど)で配下はどんどん強くなるし、無双するし、王の剣に住む精霊はチートなんだけど。
当の俺は全然強くならないし、剣は死ぬほど重いし、ははは、泣きたい。

俺に、他国の侵略をどうにかしつつ、消えかけの国を守り、栄えさせることはできるのか。
………とりあえず目下の目標は、俺のお世話係の態度を改めさせることです。

※0章は割とシリアスっぽいですが、本編はそうでもないです。ほのぼの展開になるといいな！