第四十七層
朝食を済ませたリュクスはさっそく46層に突入する。サーチエリアで砂に少し潜った場所に魔物の反応を見つけて近づく。どうやら纏まった数がいるようだ。
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対象:マウンテンデザートポイズンスネーク
山にある砂漠地帯にすむ毒をもつ蛇
砂地の中に身を潜め獲物を待ち、練り上げた毒を発射する
相手が弱ったところで、毒の牙で仕留めて食らう
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一番近くのを識別したリュクスだが、周囲に12匹もいるのを感知している。識別には出なかったが、群れているということは集団能力も高いのだろうかとリュクスは悩む。
リュクスの片脚ほどはある蛇だが、蜥蜴と違ってとびかかってくる様子もない。気づかれていないのか、慎重なのかとさらにリュクスは困り、いったん戦闘を避けれないかと考えた。
「ここの集団が多いだけかもしれないよね。気づかれてないならゆっくり退散できそうかな?」
「ば、ばぅ。」
ベードはすごい警戒した様子で少しずつ後ろに下がり始めた。合わせて蛇たちもゆっくりベードに寄るように動いてきている。完全に気がつかれてるようだ。襲わなかったのはもっと近寄るのを待っていただけだろう。
距離が縮まらないのを見てか、蛇たちが一斉に飛び出してきて、口の前に黒緑の球体を溜め始める。
「モイザ!粘土壁をお願い!炎とか水の壁で毒の球を防げるイメージがしない!」
「――――!」
モイザが粘土壁を展開し、同時にベードは後ろにと飛びのく。壁で防ぎきれなかったことを考慮してのベードの行動だったのだろうが、予想が的中し、黄色い3発の球が粘土壁をあっけなく突き破ってきた。
突き抜けてきた箇所は溶け出してる様にも見える。空いた穴からさらに紫の毒の球が2発だけ抜けてくるが、後ろに大きくのいていたこともあり、リュクス達に届くことはなかった。
始めに抜けてきた球とあとぬけの球の色の違いに、リュクスは違和感を覚える。毒で溶けたなら毒の球も全て突き抜けてくるはずだと。改めてリュクスは12匹全てを識別する。
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対象:マウンテンデザートアシッドスネーク
山にある砂漠地帯にすむ酸をもつ蛇
砂地の中に身を潜め獲物を待ち、練り上げた酸を発射する
相手が弱ったところで、酸の牙で仕留めて食らう
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識別で違う種族が3匹いることに気が付く。蛇の体は12匹全てクリームと茶色の2色構成だが、体の模様が毒はまだら模様。違う3匹はストライプ柄のようだ。
壁を回り込み、リュクス達を見つめて、威嚇するようにシューと荒げる蛇。戦闘は避けられそうにないが、数が多いのがリュクスの不安要素である。
モイザの締め上げる操糸術は一体に対しての攻撃らしく、複数相手に練り上げるのは相当時間がかかることは聞いている。もっとも他の攻撃手段もあるのだが、事前に戦った蜥蜴の頑丈さが頭に残っていた。
「とりあえずやるしかないか!できれば始めに酸を出す奴を倒したいけど、まずはフレイムウェーブ!」
砂地を這うように炎の波が立つ。全て巻き込むつもりのリュクスだったのだが、蛇たちは体を縮めたかと思うと、バネのような要領で空中にと飛び上がって避ける。
「まじかよ!」
「バゥ!」「――――!」「コ!」
従魔たちは飛んだ隙を狙い追撃を行う。ベードは地面から影の槍を出し、酸を使う3匹を貫いた。モイザとフレウが空に向かって前足と翼を広げると、二種の矢が空中に大量に現れて、蛇たちにと降り注ぎ無数に貫く。
「なるほど、複数戦を見越した技も覚えてきたんだ。それにしてもかっこいいねそれ。こんな感じかな?」
リュクスは扱いやすい炎で二匹の真似を考える。空中にいっぱいの矢をイメージしたが、より太いほうが良いだろうと、フレイムランスが降り注ぐイメージに切り替え左手を掲げる。空中にフレイムランスのような槍先の形をした炎が50本ほど現れた。
「よっし!ふりそそげ!」
リュクスが手を振りかざすと矢が突き刺さって蠢く蛇たちに、追撃とばかりに降り注ぎ、12匹の蛇たちはすべて消滅していた。
「うまくいったね。フレイムランスレインって名付けようかな。」
「――――…」「コ…」
「ん?どうしたの二人とも?そんな目で見て?」
どうしてそんなと言われたように聞こえたリュクスは、どういうことだろうかと悩むが、リュクスを挟んで二匹がお互いに目を合わせ、首を横に振っていた。
「どういうこと?二人だけで分かりあってないで教えてよ。」
「――――。」「コ。」
「え?気にしなくていい?わかったじゃあわすれるよ。」
これは教えてくれないだろうと、リュクスは蛇の反応を感知するためサーチエリアに集中する。周辺の反応は完全に消えた。遠くに蛇の反応を感じたが、遠すぎて気にする必要のない位置だと軽く息をつく。
「今のは平気だったけど、酸と毒っていうのはあんまり戦いたくない相手だね。落とした素材も毒と酸の牙か。モイザは使う?」
「――――。」
「やっぱり興味なしか。それじゃあ集める理由もないし、ベードには悪いけど、少し避けながら行こう。」
「ばぅ。」
階段方面を目指しつつ、真っすぐ進むと気づかれそうな場合は迂回していく。それでも時折蛇たちに気づかれる範囲に入ってしまうこともあり、明らかによけられない近さに2つの集団が出来ていたりと、戦闘する機会も少なくなかった。
大体は蛇から出てきて攻撃してくるが、ベードが素早くよけて、リュクスがフレイムウェーブで空中に誘い、モイザとフレウの粘土と風の矢の雨で動きを止めて、リュクスの炎の槍先の雨でとどめを刺していき、46層を突破した。
47層では途中、フレイムウェーブを潜って回避しようとする個体が数体いたが、モイザが砂中から砂壁を作ることで空中に押しだし、ベードが影で拘束、モイザは簡易的な糸術で拘束する。
絡まって動けなくなった蛇もしぶとく抵抗し、毒の球や酸の球を出そうともがくが、口まで塞がれて発動できず、炎の槍先の雨に倒されていた。
大回りすることも多く、戦闘数もそこそこあり、47層を越えるころには昼飯時を過ぎていた。遅めの昼食を済ませたリュクスは、48層のある階段上を見つめるが、モイザとフレウが消耗気味の様子であり、急ぐこともないと休憩を挟むことに決めた。




