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第14話 「悪かったよ!」


「いやぁ、悪かったよ!」

 

 委託先のKが、わざわざ私に電話をしてきた。

 てっきり信用を失ったかと思ってたのに……

 電話口の声は意気揚々としている。

 

「実はあの後、うまくいったんだよ!」

「え!本当ですか!?」

 

 私も思わず、つられて声を弾ませた。

 

「でも、どうしてですか?

 私の製品に、何か問題があったのでは?」

 

 いや、とKは応じる。

 

「どうも希釈の倍量を間違えてたみたいでさ!」

「……え?」

 

 私は眉をひそめた。

 

「私、真っ先に言いませんでしたか?」

「ええ?そうだっけ?」

 

 電話口のKが、首を捻るかのように呟く。

 

 言った。

 絶対言った。

 

「まぁとにかくさ」

 

 Kは機嫌良く続けた。

 

「君の製品、よかったよ。

 これからも使わせてもらうから。

 追加分、発注お願いね」

 

 そして、電話は切れた。

 

 ……結局、人為的なミスが原因だったわけだ。

 

 私は白衣のポケットに手を伸ばし、スマホを取り出す。

 画面を点けた。

 隅には相変わらず、Geminiのロゴマークがいる。


 ――希釈ミスは、候補に上がっていなかった。


 私は、ふとある予感を抱いた。

 

 AIは、もしかすると……

 人間の揺らぎから起こる意外性には、

 咄嗟には対応できないのかもしれない。

 

「うわぁ、マジか!」

 

 遠くで、Aの悲鳴が聞こえた。

 

「そこ汲み取ってくんないんだ!

 意外に融通効かないなAIってー!」

 

 私は小さく笑って、スマホをポケットにしまった。


 じゃあ、私なりのAIとの向き合い方は……

 私は、ひとつの答えを導き出していた。

 

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