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11 戦いの後には

北西の砦滞在2日目の昼食後。


外では、学者先生が中心となりザクさんやヴィッグや非番の兵士さんたちが参加し、キングホワイトベアの解体が進められていた。

そして解体に参加していない討伐メンバーは砦内の大広間で全員正座させられていた。

具体的には僕、グラン、シリュウ、キャロル、ジークさん、メグさん、そして兵士数名とローランさん。


監督は母様と兄様である。姉様は部屋の隅でフブキとシズクと戯れている。もう仲良くなったのか君らは。


隣に座っているローランさんがため息をついて土下座をした。


「ウィンディ様、ルーク様、度重なるご無礼、申し訳ありませんでした。経歴に傷をつけるのは私だけにしていただき、他の兵士たちには温情を与えくださいませ」


今度は母様がため息をつき、言葉を返した


「ローラン。勘違いをしないでくださいな。今回のキングホワイトベア討伐はローランをはじめ、砦の兵の皆の手柄として夫と王都に報告をいたします。それと今の状況は別問題ですわ」


ローランさんは首を傾げた


「では出迎えのことが原因でしょうか?」

「それも副兵士長さんから話を聞いて私の誤解だってわかったから別にいいのよ。ローランは部下の兵士の隅々まで目を届かせて心配してるって」


ローランさんはさらに困ってしまった


「では我々は何故このようなことを?」

「実の愛する息子を危険な目に合わせたのだし、罰くらい与えたくなるのが親心なのよ」


ローランさんは僕の方を確認してきた。


「では、その愛する息子様も同じように罰を受けているのは?」

「グランから話を聞いたのだけれど、昨日の戦いの指揮をしたのはシオンなんですってね。見事な作戦だったけど、私は自分で自分を傷つける子に育てた覚えはないわぁ」


はい。反省してます。ローランさんは困惑の方が強いようだったがある程度納得したらしく黙ってしまった。

約1時間の正座の後、反省文を書きました。ちなみに足の痺れに自動物理防御は効かぬ模様。解せぬ。


母様も兄様も満足したのか罰から解放され、僕はフブキの事情を聞くことにした。

僕以外が聞いても鳴き声にしか聞こえないはずなのだが、興味があるのかアクア姉様も一緒だ。

近くにグランとメイミもいてくれて、シズクは僕の頭の上ですでにフブキのお兄様?気取りだ。

フブキ曰く、どうやら、家族とはぐれ、彷徨っているうちにキングホワイトベアの縄張りに入ってしまったらしい。

両親の気配は全く感じられなかったが、何やら優しい守ってくれそうな魔力を感じたので一か八か最後の力を振り絞り助けを求めに行くことに決めたらしい。


「その魔力の持ち主が僕だってこと?」

「アォン♪」


と、甘えたような声を出したので、なでなでしておいた。

学者先生曰くフブキは生まれたばかりの子供らしいので、目撃されたのは両親のどちらかだろうが、近くにいる痕跡はなくフブキは置いて行かれたようだった。ではテイムしてしまった手前、お世話をすることになるのだが、グランとヴィッグにはアイコンタクトで許可をとったものの、まだ母様の許可は取れていない。


フブキを抱き抱え、姉様と母様のもとに行き、フブキを飼っていいかの許可を求めたが、あっさりOKが出た。


「まぁ、グランとヴィッグが許可を出したのであれば、お世話方面は大丈夫でしょう。後で3人で学者先生にお世話の方法を聞いておくのよ〜」


ということで、明日の稽古はなくなり、代わりに学者先生によるフェンリルの飼い方講座が行われることになった。



夕食後、キングホワイトベアの解体の終了報告があり、僕のアイテムボックスに全て閉まったが、せっかくなので食べてみようということになり、明日ルドーにお肉を調理してもらうことになった。


お風呂の後、ルーク兄様が二人きりで話がしたいとのことだったので、メイミにシズクとフブキを預かってもらった。

部屋で二人きりになると、いきなり兄様に抱きしめられてしまった。


「シオン。無事でいてくれて何よりだ。シオンのギフトについては知っていたが、シオンがキングホワイトベアの攻撃を受けた時、僕は。いや、僕ら家族はシオンの死を覚悟した。またすぐ動き出したので安心をしたが、あの時のような思いをもうしたくない。くれぐれもあまりギフトの力を過信しないように」


お風呂上がりの兄様の匂いが〜とか一瞬考えた僕を叱ってください。

素直に兄様に謝罪をしたが、でも自分の性格上、同じことが起こったら同じようにするだろうなとも思った。

これは自己犠牲ではなく、適材適所だし。僕だって傷つく誰かを見たくはないのだ。

と考えて苦笑いになってしまった僕の顔を見て兄様は何かを悟ったのか優しく頭を撫でてくれてそのまま何も言わなかった。

ベットは昨日よりも少し近づけ、手を繋ぎながら寝ました。お互いの生を実感するように。



次の日。砦滞在3日目である。

予定通り、朝食の後、学者先生によるフェンリルの飼い方講座が開かれることになった。

生徒は僕とグランとヴィッグの他にルーク兄様とアクア姉様。その他暇な面々(《赤き竜の爪》のメンバーと3兄弟の専属執事たち)。

講義は学者先生の自己紹介から始まった。

名前はキジム。30代後半で、王都の魔物研究の第1人者の博士の1番弟子らしい。

ヨレヨレの白衣とグルグル眼鏡がいかにも研究者っぽいが、髪の毛も髭もさっぱり整えられているところは研究者っぽくない。ところどころに若白髪があり苦労していることを伺わせる。


フェンリルは普通の犬よりも気高く賢く危険な生き物であるが、テイムした状態でお世話をするだけならばむしろ普通の犬より飼いやすいらしい。

というのも犬に与えれば毒になる可能性がある人間の食べ物も、フェンリルには耐性があり食べても問題がない。体も丈夫なので病気にもかかりにくいし、滅多に怪我もしないというかフェンリルに怪我を負わせることができる生物の方が少ない。極め付けは人間の言っていることが理解できるので、ブラッシングや歯磨きやお風呂も説明をすれば大人しく従ってくれるらしい。


キジム先生の説明をメモしていく生徒たち。

教卓の横にいるフブキは褒められて胸を張っている。

キジム先生の説明が一通り終わったので、キジム先生にお礼をいい講義が終了する。

グランとヴィッグと打ち合わせを行い、帰りのフェルンタウンでフブキ用のブラシや歯磨きセットを買うことにした。そして、ルーク兄様に頼んだことを思い出した。


「兄様、父様への手紙の件はどうなりました?」

「もう書き上げたよ。今朝、手紙を届けるために僕の専属護衛に一足先にケルテクラウンに帰ってもらったよ。母様とジュストとキャロルには内容を確認して連名の署名をしてもらったから、フェルンタウンとフロストタウンには丸1日ずつ滞在できるね」


流石兄様、仕事ができる!

姉様も喜んでいたので、兄弟3人で輪になりハイタッチをした。


晩御飯はお楽しみのキングホワイトベアの料理である。

この世界では熊肉はあまり好んで食べられないらしいが、魔物肉は魔物の強さとしてのランクが高ければ高いほど美味しいらしいので、問題ないらしい。大きさもシリュウの倍以上あったので3メートル以上はあり4メートル近いくらいか。それならば侯爵家一行と砦の兵士、合わせて約100人の胃袋も満足させられるだろう。


ルドーが人数分焼き上げたステーキに舌鼓を打ち、兵士たちは討伐メンバーを称賛するのであった。

牛肉と違った独特の風味はあるが、変な臭みがあるわけでもなく、上質な肉質なので、普通に美味しい。

付け合わせのジャガイモやニンジンもいい感じだ。流石ルドー。

晩御飯の後には母様とローランさんの許可が出て宴会になったが、子供陣営には関係がないので、お風呂に入って自室に戻りフブキを湯たんぽ代わりにして寝ました。


父様に手紙が届くのは明後日だろうか、今頃寂しくて泣いてるんだろうなぁ。

次回投稿予定日は3/21(土)です。


次回12話のタイトルは「立つ鳥跡を濁さず」です。

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