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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
群青の空へ -Next Melody-
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第2話「久しぶりの帰郷」


翌朝。目を覚ましてすぐ、寝不足である事に気が付く。

久しぶりにライアーとの夜遊びをしていたせいで、寝たのは夜2時。そして今は朝の6時である。


「っ...眠い...」


ライアーは私より先に起き、玄関前で身支度を整えているのが見える。

そうだ。昨日ノートパソコンを展開したまま寝てしまったので、急いで片付けてバッグにしまわないと。

LANケーブルと電源、そしてマイクセットとゲーミングマウスをカバーの中に入れ、さらにバッグへ。

あとはライアーだ。


「おはようライアー、朝食行こ」

「ああ、おはよう。行くか」


ライアーに声をかけ、ホテル1階のレストランへと向かう。荷物は朝食後に取りに来て、そこから実家へ向かう。

服装はちょっとおしゃれを意識したもの。いつ友達に会ってもいいように、女性らしさを意識したものを友香に選んでもらった。


「いいな、その服」

「ふふ。いいでしょ」


私は少しだけ踊ってみた。アイドルステップも今練習中の為、最初の数秒のモーション程度しかできないのは悔しい。ダンスレッスンの量を増やそう。


朝食はいたってシンプル。私は和食より洋食の方が好きなので、トーストと紅茶をはじめとしたもの。

前の席に座るライアーは結構がっつり食べるようで、白米と肉多めにサラダとコーヒー。たぶん私の2食分くらいはある。


「いただきます」


スカイスタジオ株式会社のツブヤイターには、桜宮空奈の5日間のお休みのお知らせが投稿されている。

「ゆっくり休んで」や「どっかに旅行でも行くのか」など、そこそこの反響はある。

登録者数も2023年の6月後半で32万人まで行っているので、友香いわく上出来らしい。


「それはそうと、このホテルやけに設備がいいが...」

「そうだね...二人で12万くらい」

「は?」


ライアーが途端に周りを見回し、どういう事だよと私に尋ねた。


「いや、たまにはいいホテルに泊まりたいなって思って」

「だからって一人当たり6万って高すぎないか?」

「経費で使ってかないと税金で持ってかれちゃうから」


そう。登録者数32万ともなると1か月で250万程度稼いでいて、スカイスタジオ株式会社には6割程度を渡しているとはいえそれでも手取りは月65万前後。傭兵時代の月90~100万の手取りにだんだんと近づいている。


「寝る時間少なかったり時間押してたりで大変だけど、あの命がけの空戦よりはよっぽどマシだよ。それに」


私は続けた。すかいらいVのVライバーの中には200万人を超える登録者数を誇る人もいて、そのレベルになれば年商1億を超えると聞く。例えば白狐ミユキはまさしくその例の人だ。それに比べれば私はまだまだ。


「だから、登録者数100万が今の目標。夢と言った方が近いかも」

「はぁ」


ライアーは食べる事さえ忘れて呆気に取られている。そんなライアーの目の前の牛頬肉のグリーンカレーを勝手に食べてみた。


「あ、おい」

「これおいし」


その後も他愛のない話を繰り返しながら、朝食を食べ進めていく。

さすが12万かかるホテルだけあって、上品な朝を過ごす事が出来た。


朝食を済ませて部屋に戻り、一度ベッドにダイブする。

過去一ふかふかなベッドに飛び込んだかもしれない。お金持ちになるという事はこういう事なんだろうか。

いや、元々傭兵だったからお金はあったけど。


「で、何時に出る?」

「8時半くらいに出よ」

「ああ」


私は目覚ましを8時27分にセットして、少しだけ目を瞑った。

朝食を食べたとは言え、まだ寝足りない。


「あ」


寝ようとしたところで、ツブヤイターに朝の投稿をしていない事に気が付いた。

枕元に放り投げたスマホを再び手に取り、文字を入力していく。

「みんなおはよ」と入力後、一度友香にそのスクショを送る。こんな事で炎上はしないが、他の投稿の際に炎上しないよう他の投稿の時に投稿前チェックをしてもらうのが規定となっている。


数十秒後友香から返信が来る。「おっけ!投稿していいよ!」と元気のいい感じの返信。

この行程を経て投稿をする事ができる。ちなみに、これをやらずに投稿すると鬼電がかかってくるので気を付けないといけない。


「領収証は...あった」


昨日のチェックインの時にもらった領収証は来年3月の確定申告の時に欠かしてはいけないものなので、バッグの中にあるファイルにしまう。

ふと時計を見ると8時25分になっていて、寝る時間は消えてしまった。


「仕方ない...もう行こ」

「いいのか」

「うん」


バッグを背負い、ライアーと共に部屋を見渡して忘れ物が無いかチェックして退室する。

そのままフロントにカードを預けてホテルから出た。


今日はあいにくの雨で、傘を指してタクシーの所まで歩いていく。

そうだ。


私は空を見上げ、その後目を瞑り祈った。風よ、この雨雲を吹き飛ばして。


そう願うも、天気は変わらず。風も変化はない。

それも当然で、今の私に天空神の力は宿っていない。少し寂しいし、物足りない。


でももしも、またあの力が宿ってしまったらどうなるだろう?

またあの何も生まない、神との争いが起きてしまうのだろうか。


「ねえ、ライアー」


ライアーは無言でこちらを振り返った。そのまま私が何を言おうとしていたのか予感していたかのように首を振る。


「そうだよね」


世界から戦争が無くなる事は無い。でも、来てほしいと願ってしまう。

そんな矛盾の中で私たちは生きている。


世界が晴れる日を、願ってしまう。


はい。本当に久しぶりの投稿です。

一体この数年何をしていたかと言うと、仕事もそうですがVRC内でパイロットとしてアクロバットに邁進していました...。

それもようやく落ち着きつつあるので、また暇がある時に書いていきます。

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