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第五話

宜しくお願い致します

 満月の夜が明け、朝日が顔を出し始める。ヒューは、急いで、パン屋に戻ると、皆が目覚ざる前に店の前に到着する。


「わんっ、わんっ、わんっ」

2階の窓から、サラが顔を出す。

「ヒュー?」

急いで、部屋を出ると、店のドアを開ける。

よっぽど、急いで走ってきのか、ハアハアと息を切らせている。そして、ヒューを抱きしめると

「心配したんだからね.....」

と涙を浮かべる。

ヒューは、くぅ~ん。と鳴くと、サラの顔をペロペロと舐める。

「もう、勝手にいなくならないで....」

ステラとロビンも目が覚めたようで店に降りて来る。

「ヒュー、戻ってきたんだね。いったいどこ行ってたんだい?」

ヒューは困ったような表情をする。

「サラ、良かったね。これで安心だ。

朝ご飯でも作るから、部屋へ戻っておいで」

「はい、お母さん」

サラと、ヒューは部屋へ戻る。部屋へ戻ると、ヒューはサラがいつも大事に身に付けいるネックレスが落ちていているのを見つける。


この紋章は...確か、ベル伯爵家の紋章。ルパートが亡くなり、長女も失踪したと聞いていたが、まさかその娘がサラだというのか?ベル家のサラの美しさは、とても有名で、年頃になると、あまり皆の前に姿を現さなくなったが、失踪したと聞いた貴族達からは、とても残念がられていた。それと同時に義母から、殺されたのではないかと言う黒い噂も出回っていた。


ヒューは、ネックレスを咥えるとサラの元へ持っていく。

「落としてしまっていたのね。ヒューありがとう」

大切そうに、ネックレスを付けると

「ヒューにだけは、教えるね。これはお母さんの形見なの。私の持ち物はこれだけ。でも今は、母さんも、父さんいるしヒューだっている。前の家よりずっと幸せなの。だから、ヒュー、どこへも行かないでね....」

ヒューは、くぅ~ん。と泣き、サラをペロペロと舐める。

「くすぐったい....」

ラッセルは、サラがどんな仕打ちをされていたのかを理解しており、怒りに震えるが犬の自分に何が出来るのか?ずっと、考えていると

「ヒュー?何か考えているの?」

サラには、何故かお見通しのようでこんな心の綺麗なサラをと、また怒りが沸いてくる。


「サラっ、ご飯が出来たよ。降りといでっ」

ステラが呼んでる声がする。

「ヒュー、行こうっ」

サラとヒューは、下に降りていく。

「さあ、沢山お食べ」

ステラは、元気が戻ったサラをニコニコして見つめる。

「お母さん?」

「良かったよ。サラが元気になってくれて」

「ごめんなさい....」

「謝る事はなんてないよ。でも、サラ少しずつでいいから、強くなんるだよ。サラは何も悪い事なんてしてない。だから、決して何があろうが俯くんじゃないよ。その為なら私はなんだってしてあげるさ」

ステラは、サラの弱さを心配していたのだ。もしも、自分達に何かあったら、今度こそサラは死んでしまう。


「はい。お母さん。ありがとう....」

サラの表情は、少しだがしっかりとした強さを見せる。ヒューもわんっと泣き

「ヒューも応援してるのかい?皆サラの味方だね。さあ、冷めないうちにお食べ」

「おい、俺を忘れてないか?俺もサラも味方だぞ」ロビンが加わる。

「ははは、ごめん。すっかり忘れてたよっ」

食卓に皆の笑顔が戻る。


朝食も食べ終わり、

「さあ、今日から、忙しくなるよ。なんてたって皇太子様のパレードの日も近いからね。遠くの町からも、人が街に泊まりがけで来て沢山の人が賑わうんだよ。家のパンも沢山売れるかね。サラも忙しくなるよ。手伝っておくれね」

「はいっ。お母さん」

少し、強くなったサラは元気に返事をする。


「サラ、パンが焼けたから、並べておくれ」

「はい」と返事をするとパンを並べ始める。ヒューは、店の中をうろうろと歩き落ち着かない様子だ。

「ヒュー、どうしたの?」

ヒューは、パレードの日が近いと思うとじっとしている事が出来なくて、店の中をうろうろと歩き回る。


今城はどうなっているのか?と心を痛めどうにか、側近のカイルだけでも我の事を知らせい。と考える。そうだ。街の外れに、東の魔女、ハンナがいるはずた。ヒューは、サラに

「わんっ、わんっ」と吠え、出掛けたいとアピールする。

どうか、伝わってくれ....

サラが、首を傾げ

「ヒュー?どこかに行きたいの?」

「わんっ」と返事をする。

「いいよ。行っておいで。私も強くならなくちゃいけないから。でも必ず帰って来てね...」

それを見ていたステラが微笑む。


ラッセルは、ありがとう。と心の中で呟き店を、出て街の外れのハンナの館に急ぐのだった。


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