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47話 ソロキャン


ーー1ヶ月後、未開拓ダンジョン85層にて


 『グツグツグツ』

 「お、いい感じだな」


 俺は鍋に入っている沸騰したお湯を見てそう呟く。

 未確認ダンジョンモンスター"ヒューマン・スライム"との戦闘から1ヶ月が経った。

 俺たちの遭遇したあの人型スライムは、後日、村松さんの調査によってダンジョンボスではなく階層ボスという位置付けになった。

 最近の調査により明らかになったがこの未開拓ダンジョンは、俺のドローンによる探査で全95層ということが判明していたが、度重なる階層変動によりそのさらに下の階層が出現していたらしく、現在では推定130層以上と言われている。

 つまりーー


 「あ、千川さんだ!」

 「本当だ、おーい!」


 崖の上でソロキャンに勤しむ俺に手を振る攻略者の小隊の人達。

 あれから色々な事があった。

 まずこの未開拓ダンジョンが想定よりも未知の部分が大きかった事により、攻略者協会よりさらに小隊が派遣され、今では大和小隊と合わせて5つの小隊がこのダンジョンに入っている。

 手を振ってきたのは最近来た佐藤さんとこの小隊だろう。


 「やぁ君たち!これから攻略かい?」

 「はいそうなんです!これから90層に行く予定なんです」

 「90か、あそこは危ないモンスターが多いから気をつけるんだよー」

 『はーい』


 そう言って佐藤さんのところの小隊の子達は、ダンジョンの奥へと歩いて行ってしまう。


 「ふぅ、さてさて俺はカップ麺でも食べますかね」

 『ジュオオオ』


 俺はカップ麺に先ほど沸かしたお湯を注ぎ込む。


 『ガシッ』


 その時、俺のいる崖の端に小さな手がかけられる。


 「おやおや奇遇ですねソロキャン侍」

 「あ、美味姫さん」


 現れたのは配信者仲間の美味姫さんだった。

 この人、マジで配信者とは思えない身体能力してるんだよなぁ。


 「何を美味しそうな物を食べようとしているのですね同士よ?」

 「いやいやありふれたジャンキーフードですよこれ、他にもっと美味しいものなんて多いでしょ」

 「わかっていませんねソロキャン侍、ダンジョンで食べるカップ麺は通常よりも5割増し増しで美味しいのですよ」


 そう言って美味姫さんはよだれをじゅるりと拭った。

 こ、この人俺のカップ麺食べる気なのかよ。


 『キラッ』


 その時、美味姫さんの胸につけている金色のバッジがキラリと輝いた。

 "特別認定配信者"それは、俺と美味姫さんの2人のみに許された称号である。

 ヒューマン・スライムを倒した実績が認められ、俺と美味姫さんは協会から正式にこのダンジョンでの探索と配信を許されており、その証がこの認定バッジなのだ。


 『ササッ』


 素早い動きで俺からカップ麺を奪い取る美味姫さん。

 

 「あ、やめてくださいよ!まだ食べてないんだから!」

 「脇が甘いのですよソロキャン侍!私が至福の一口目を頂きますよ〜」


 あーんと口を広げる美味姫さん。

 ま、まずいこのままでは!


 『ジリリリ』


 その時、俺と美味姫さんのスマホから警告音が発せられる。


 「こ、この音は」


 その警告音は大和小隊の招集時のものであり、これはつまり俺と美味姫さんが仮所属してる大和小隊が任務に向かう合図なのだ。


 『スッ』


 俺と美味姫さんはポケットから特注のイヤホンを取り出して耳に装着した。


ーー大和小隊無線にて


ー(大和)こちら大和、太一先輩に美味姫ちゃん、今すぐに115層にきてくれませんか?助けが欲しくて……


ー(太一)大和か!どうした何があった?


ー(大和)あ、先輩!また階層ボスが出てきてしまって、今度のは混合獣っぽくて、ドラゴンの翼に巨大な獅子の身体をした凶悪なモンスターでして、2人の助けが欲しいんですよ〜


ー(美味姫)それは大変ですね、ズズー


 そう言ってカップ麺を啜る美味姫さん。

 お、俺のカップ麺が……。


ー(春一)こちら春一、現在80層フロンティアキャンプにいますが、すぐにそちらへ向かいます


ー(太一)お、春一君!今日から現場復帰かい?


ー(春一)千川さん!そうなんですやっと傷が癒えたので!あ、安達もあと数週間で戻ってきますよ


 良かった、春一君も大事なく現場復帰できそうなのか。

 安達も頑張ってそうでなによりだ。


ー(太一)そうか、本当に良かったよ春一君


ー(大和)えーっと、感動の再会のところ申し訳ないのですが、早く助けにきてもらえませんかね……


ー(太一)すまん大和!今すぐ行くから待ってろよ!


 そう言って俺は専用武器のガントレットを両腕に装着する。


 『ガシャ』

 「準備はいいかい美味姫さん?」

 『ズルルルル』

 「ふぁい!」


 カップ麺を啜りながらそう答える美味姫さん。

 お、俺のカップ麺……。


 「それじゃあいきますね」

 『ピィー』


 俺はとある乗り物を呼ぶため口笛を吹いた。


 『ドドドッ』


 そうして崖の下に2頭の巨大なダチョウのようなモンスターが出現する。


 「あれは一体……」

 「あの鳥は階層移動用のモンスター、迷宮ダチョウです、あれに乗って今から115層へ向かいます」

 「おお!面白そうですね!」

 「かなり早いし移動性能も高いので、すぐに115層に行けるはずです」

 「頼もしいですな!」


 俺はテンションが上がっている美味姫さんと共に、崖の下へと降りて迷宮ダチョウの下へと向かう。


 『ガシッ』


 そして俺と美味姫さんは迷宮ダチョウの上に跨った。


 「それじゃあ出発しますね」

 「はい!」

 「特別認定配信者千川太一、115層に向け移動を開始します!!」

 『ダッダダ』



 


 

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