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第18話

 気がついた時、姫花は誰かの意識の中にいた。

『こ、ここは?』

『姫ちゃん・・・』

『お母さん?』

『うん』

『わたしできたの?』

『そうよ』

『できた!? シェアマインドを、わたしが・・・?』

『おめでとう』

 姫花は母の祝意が嘘であることをすぐに読み取った。

『っていいたいけど・・これであなたはシェアマインドの定めを背負って生きていくことになったね・・・お母さんを許して』

『なに、なにが言いたいの、お母さん?』

 姫花は母がこの技を娘に継承したら涅槃《ねはん》に旅立つつもりであったことを知る。皮肉にもシェアマインドで最初に見たのが母のこの悲壮なる決意だった。

『もうわたしに教えることはない』

『お母さん、やめて』

『・・・げんきで・・』

『だめ! お母さん!!』

『・・・』

『行っちゃだめ!!!』

 母の意識が途切れた。

『お母さ~ん!』




『姫花さ~ん!』

 かすかな意識の中で、姫花は自分を呼ぶ声を聞いた。それは母の声ではなかった。

『姫花さん。姫花さん』

『だれ?』

 姫花は自分に囁きかけてくる声に話しかけた。しかし、その声はそれきり聞こえなかった。

 さっきまでの母とのやりとりは姫花の意識の中で再現された追憶だった。

 姫花はボールをオデコに受けて気を失っていた。その間に過去の記憶が蘇っていたのだ。

 姫花は目を開いた。目の前に雅臣の顔があった。

「おお、気がついたか」

 雅臣は安堵の息をついた。

「俺が見えてるかぁ、姫花?」

 オヤブンが雅臣の後ろから声をかけた。その横から村上が濡れたタオルを持って割って入った。

「あんた、避《よ》けなさいよ。あれくらい」

 そう言うと、冷えたタオルを頭にあててくれた。

 姫花は一気に目が覚めた。

(そっか、わたしボールを頭に受けて・・・)

「どや姫花、立てるか? あかんかったら選手交代しよか?」

 姫花は頭のタオルをつかみ取り、オヤブンの胸に押し付けるや否や、勢いよく立ち上がった。

「選手交代? 冗談でしょ。大丈夫! できるわよ、わたし!」

 そう言うと姫花は1塁ベースに向かって走り出した。途中足がもつれたがどうにか踏みとどまった。

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