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第4戦闘部隊~コア~  作者: きと
第1章 アリステル編
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40/60

第40話 準備

 ジパニックに行くのは、イニス、コア、そして第3戦闘部隊と第5戦闘部隊の数名である。少数精鋭で行くアリステル側にとって、イニスの護衛の要となるのは、王直属部隊であるコアであった。


「いいか。ジパニックとは、友好な関係を築いており、襲撃を受けることはほとんどない。しかし、だからといって、油断していいことにはならないんだ」


 『第4戦闘部隊待機室』では、珍しく全員が揃い、ルドルフの言葉に耳を傾けていた。

 ジパニックとの首脳会談が行われるのは、5年に1度。今年コアに入ったアスカだけでなく、ゼクスやニーナも首脳会談に付いて行くことは初めてだった。


「今年は、アスカのこともある。何が起こるか分からないから、心してかかるようにな」


 アスカがジパニックに行くことは、すでにタイヨウに伝わっている。タイヨウの子であるアスカがジパニックに行くことで、何が起こるか全く想像ができないのだ。


「あの、1つ聞きたいんスけど」


「なんだ? ゼクス」


 ルドルフが、ゼクスに顔を向ける。


「ジパニックにも、軍隊はあるんですよね?」


「ああ」


 ジパニックの内情は、各国にあまり知られていない。そのため、養成学校でジパニックのことを習うものの、詳しくは教えられていなかった。


「ジパニックは、元首をトップに据え、その下に軍隊長を含んだ四聖将。さらにその下に軍隊が控えている」


「四聖将?」


「軍隊の中でも、強い4人のことをそう呼び、戦闘服も普通の隊員とは区別されているようです。私たちも実際に会ったことはありませんが」


 ルドルフは今までに2回、レオは1回首脳会談に行っている。しかし、そのいずれも、四聖将と呼ばれる隊員は姿を現さなかった。タイヨウの周りで警護を行っていたのは、四聖将の下に控える隊員だったのだ。


「あの、お2人は、ジパニックでラークを見たことはなかったんですか?」


 アスカが、控えめに口にする。

 前回の首脳会談は、5年前。ラークが11歳の時だ。ジパニックの軍隊に入っていないかもしれないにしても、タイヨウの子供である以上、どこかしらで目に付く機会はある。

 しかし、2人は首を横に振る。


「見たことないな。軍隊にも、タイヨウ様を取り巻いている人の中にも、ラークはいなかった」


「そうですか」


 ジパニックに滞在するのは、約10日間。その間、ルドルフもレオも、ラークを見たことはなかった。


「他に、質問はないな? 俺たちコアは、イニス様を守るために存在する。それを、忘れるな。いいな?」


 ルドルフが、全員を見渡す。異論を発する者はいなかった。



 第5戦闘部隊は、首脳会談において、城の警護とイニスの警護、両方をこなさなければいけない。城の方にも首脳会談の方にも他の部隊はいるとはいえ、戦力を平等に分散しなければいけないのだ。そして、それを考えるのは、隊長であるセッカの役目だった。


「んー。どうすっかな」


 セッカは、紙の前で頭を抱える。紙には、セッカの名前を始め、第5戦闘部隊に所属する隊員の名前が書かれてあった。

 第5戦闘部隊に所属している隊員は、8名。その中から首脳会談に行くのは、3名と決められていた。


「隊長。どうするつもりで?」


 悩むセッカの前では、リアンが涼しい顔でセッカを眺めていた。


「お前も、一緒に悩んでくれねえ?」


「それは、隊長の仕事ですから」


 リアンは、セッカの仕事には手を出さないつもりだった。


「とりあえず、俺は行くだろ? 後は、やっぱり行ったことのないやつかな」


 セッカは、自分の名前に丸をつける。さらに、あと2人の名前に丸をつけた。


「よし、これでいいだろ。ほら、イニス様に持っていってくれ」


 セッカは、紙をリアンに渡す。リアンは、紙に書いてある丸で囲われた名前を見て、唾を飲んだ。


「本気で、言ってます?」


「ああ。反論は、聞かないからな」


「はあ。分かりました」


 紙には、セッカの名前に加え、ルカ・アックスとメディアン・ツナットの名前に丸がついていた。



 第3戦闘部隊は、守りに特化した部隊である。ジパニックにおいて、イニスを守る際に優先されるのは、敵を倒す強さよりも、必ずイニスを守り抜くこと。第3戦闘部隊の力は、不可欠であった。


「セル。今回は、お前が行くか」


「え、オレですか?」


 シュタインは、『第3戦闘部隊待機室』で、一緒に訓練をしていたセルに言った。セルは、嬉しそうな顔をしながらも、戸惑った表情を浮かべる。

 イニスに付いてジパニックに行くことは、戦闘部隊の人間にとって、光栄なことである。しかし、副隊長という立場にいるセルにとっては、重荷にもなる。


「隊長は、行かないんですよね?」


 セルの言葉は、問いかけではなく、確認だった。


「当たり前だろ。隊長と副隊長が揃って抜けるわけにはいかない。なんだ? 不安なのか?」


「そりゃ、まあ」


 セルは、しぶしぶ頷く。

 今まで第3戦闘部隊を率いてジパニックに行っていたのは、シュタインだった。セルは、一兵士の時に1度ジパニックに行ったことはあるが、副隊長として率いる側になるのは初めてだった。隊長がいないなら、指揮を執るのはセルになる。


「大丈夫だ。お前は、ちゃんとやれるさ」


 シュタインは、迷うことなく言い切る。セルには、それが頼もしかった。


「はい!」


 セルは、力いっぱい返事をした。


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