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起1

昨日ガラクタ山に何かが落ちてきたらしい。


ぶつけて痛むおでこに湿布をはりつつ。『母親』と朝食。とりとめのない会話をしつつ、後で堕ちた場所を探しに行こうと思い、そのことを先に『母親』に『少佐』が調べてるから行くなと止められる。

まあ、守る気なんてないけど。

昨日洗った赤い靴はまだしっかり乾いていなかった為、お留守番。代わりに『少佐』から貰った編み上げブーツ履いて、空っぽのリュックを背負い工具セットを腰に身に付ける。

ブーツは丈夫らしいけど、正直重いからすぐ疲れてしまう。だからあまり気に入っていない。

朝食の後片づけと簡単な掃除をして外に出かける。今日の予定は『商人』所に行ってから、ガラクタ山に行って、最後に鎧をしっかりと磨いてあげること。

最初の目的地は『商人』の場所。目的は、錆びた鎧を磨くための研磨剤を貰いに。

『商人』のいる場所は、家が沢山ある場所から少しはなられた、隅の一角。そこにぽっつり置いてある、四角い物体。私が近づくと、真っ黒だった画面に明かりがともり、鈍い機械音が聞こえ出す。そして電光装飾でいつものように「いらっしゃいませ」と表示された後、「おはよう」と挨拶。

「おはよう、商人さん。いつも思うけどどうしてこんな場所にいるの?」

すぐに電飾板が煌めいて「近くて遠いのが自動販売機くおりてぃ!!」と強調されて表示される。自動販売機って何だ、後『商人』の癖に人でなくて良いのかと突込みはしてはいけないらしい。

「あ、そういえば昨日は大きな音したけど大丈夫?頭から埃を被った?なら後で拭いてあげるわね。後、その代りお願いがあるんだけど、錆び取り用の薬品はないかしら?」

『商人』電飾板が悩むように数回点滅して、ガコンと下の隙間から未開封の缶が落ちてくる。隙間に手を伸ばして缶を取り出して見るとラベルは廃蜜糖と書かれている。何となく甘いイメージがする。

「これが錆びとりに効くの?なんとなく、使うとてかてかになりそうな気がするけど?」

『商人』が「錆び取りにはこれが一番効くってググって調べた!!」って表示したので、問題は無いかと思いありがたく缶をリュックにしまう。そしてお金を支払う代わりにきれいに磨いてあげる。

これが買い物のルール。お金で物を買う代わりにきれいに磨いてあげる。だから一度にたくさん買えないし、一度買うと最低一日経たないと買い物することは出来ない。その分商品は確実に手に入る。

『商人』曰く「品ぞろえだけなら某青狸のポケットをも凌駕する」らしい、よくわからないけど。

けど、『商人』が居なかったら私たちは、すぐに腹ペコで倒れていただろうと思う。そう思ったらこのヘンテコな自動販売機には頭が上がらない。念入りにきれいに磨いてあげる。

「よし、きれいになったよ。それじゃあ、錆びとりありがとう」

『商人』はピコピコと電飾板を光らせた後、画面がまた黒くなる。どうやらまた眠ってしまったらしい。

小さく会釈しそのまま、わたしも次の目的地に向かう。次の目的地はガラクタ山。目的は昨日に落ちた、不思議物体を見に行くため。


実は何となく、不思議物体が何なのかわかっている。


多分、私たちと同じなんだろうと思う。


そして、地面まで落ちなのならまだ運が良い。


堕ちてくるものは大抵、消されてほとんど燃え尽きて無くなって、忘れられてしまうから。


ここまで落ちて来れれるなのならそれはそこまで神様に未練があったってこと。


「それが幸せなのかわかんないけどね」

小さく呟いた後で、ばかみたいとまた呟く。もうすぐ不思議物体の答え合わせの時間がやってくる。

ガラクタ山には『少佐』がいて、こちらを見かけると敬礼を返してくれる。敬礼をくれるってことは、危ないものは無いのだろう。でも、敬礼を続ける『少佐』そんな堅苦しい姿に小さく苦笑いをもらし、そのすぐ傍で寝ている答えを見つける。


その姿は、遠目で見て少年でだけど、いたるところポンコツで存在の部品が足りていない。ちなみに血が飛び散っているとか、手が無いとか、首が取れてるとかそういったエグイ状態ではない。少年を維持している存在のかけらが足りていない。いたるところがぼやけてうすぼんやりしたような状態。

『少佐』所まで歩き少年の姿を改めて見つめる。

「その少年助かるの?」

「うむ、さての存在が壊れかけておるから何とも言えないな」

「その辺の落ちてきたかけらを混ぜても駄目?」

「うーむ、少年の存在が上書きされかねんぞ?」

「こんなところで消えるよりはましだと思うよ」

「うむ、では姫の意見を採用しよう」

「姫はやめて、わたしはわたしよ」

二人で、堕ちてきたかけらを探し。少年の体に吸収させる為押し込んでいく。多少別のガラクタも混ざったかもしれないが、気にしない。こういうのはその場の勢いでやったった方が良いのだ。そして、近くに落ちていた破片をあらかた少年に押し付けて、ポンコツなりにも何とかなりそうにまで回復させる。

「ねえ、少佐」

「うむ、どうした?」

「どうして、この神様はさ。少年を、世界を捨てたのかな?」

「……………………さて、な。それこそ、神のみぞ知るのではないかな」

「自分勝手なのね神様って」

「うむ、そういうものだ。……神様などそういうものだ、そして、私も姫も神の前では舞い散る木の葉も同然なのだろう」

その言葉は、酷く淡々としていて、乾いていて。その言葉を聞いた私はとても悲しくなった。どうして、諦めてしまうのか。

「ばかみたい。本当にばかみたい」

小さく呟く。『少佐』は何も言わなかった。


少年が目を覚まそうと、まぶたがわずかに震える。

この、ポンコツになってしまった少年は、この場所を見てどう思うのだろうか、『少佐』、『商人』、『母親』のように、納得して諦めてしまうのだろうか?

それとも、わたしのように理不尽に思って反抗するのだろうか?


まだ、分からない。

そして少年がゆっくりと目を覚ました。




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