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目覚めはラビットガールの膝の上  作者: あたまポンチョ


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第四話-エト-

初めての感触だった、現世(あっち)では感じたことのない異質の、でもいやな感じではない神秘さえ感じた

「やっと異世界って感じだな」

自分の部屋で呟くが別に誰に聞いて欲しいわけでもない、やっとここからが俺のスタートライン

「よーし、明日から頑張るぞ!」


ん?


そんなことを考えていると隣の部屋から微かに声がするのに気づいた、たしかこっちはシィミルの部屋だったような


んぅ、、、ふぅ、、ぅ


「え」

俺は瞬時に理解した


いやいやまさかアレですかこれ、"一人遊び"ってやつですよね、そうだよなシィミルだって女の子だ、それぐらいする

やっぱり獣人だから結構溜まるのかな、ここは男として聞かなかったことにしよう、うん


俺は枕で耳を塞ぎながら興奮を抑えてなんとか眠りについた

-残り二十八日-


「おはようショータ」

重い瞼を開けると枕元にシィミルが座っていた、朝日に照らされた金色の髪が眩しい、昨日の夜あんな事をしていたなんて微塵も感じさせない純真な姿に俺は目を離せなかった


「おはようシィミル」

「朝ごはんできてるからはやく来てね」

「すぐ行くよ」


俺は朝ごはんを食べてすぐにアルスへ元に向かった

まだ危ないかもしれないが一人で行くのにも慣れたい、なによりいつまでもシィミルに迷惑はかけられない


「おはようございます、、、」

「ああ、おはよう」

この重っ苦しい空気には慣れそうにない、すぐに階段を上がって練習を始めた


今日からはシィミルの教え通り"塞ぐ"を意識してみようと思う、だがどこをどう塞げばいいのかはイマイチわからないので本にも頼ることにした


「まずはカラダ全体でマナを感じる、それから頭、胴、手足と部位ごとに意識を持っていきマナがカラダに流れる事を意識すべし」

なんだこの抽象的な説明は、世界観を意識しすぎたゲームのガイドブックかこれは、でもやってみるしかない


「まずは頭から」

マナの出し方はなんとなくわかっている、強い感情や思いを考える、イラつくこと、泣きたいこと、楽しいこと、なんでもいい、俺のいま一番強い気持ちを思い出せ


「シィミル」


思わず言葉にしてしまった、無意識にシィミルの事を考えてしまった

ふぅ一人でよかった、誰かに聞かれてたら恥ずかしいなんてもんじゃないからな


「ほう、続けろ」

俺はビクッとなり慌てて振り向いた、するとアルスが立っていた

「なっ、あ、、なんでアルスさんが、、、」

「俺の家だぞいて当たり前だ」

「そうですよね、あの、いまの聞こえてました?」


沈黙

アルスは何も答えずただ黙り込んだ、この押し潰されそうな空気に耐えられない

「なんでもないです、、続けます」


こんな状況で集中できるわけもなく、冷や汗も止まらない、アルスは試しているのか椅子に座りながらただ俺を見ている、するといきなり口を開いた

「お前シィミルが好きか?」


「え!?いきなりなんなんですか!」

突然の問いに思わず大きな声を出してしまった、なんのつもりで聞いてきてるんだこの人は!


「答えろ」

その一言で思考が止まる、上下関係をハッキリさせてくる命令に近しい言葉に俺は焦りながら答えた

「好きというか、少なくとも意識はしてしまいます」

なにがこいつの地雷になるかわからない、気をつけて答えなければ


「なるほどな」

アルスはそれだけ言い残しまた下の部屋に戻って行った

「なんだったんだ」

でもこれでハッキリした、シィミルを考えたときまたマナが湧き出てきた、これなら後は練習あるのみだ


しかし今日はそれ以降なにも進展がないまま日が落ちていった、もしかするとあんな姿やこんな姿のシィミルが脳内で生成されていたせいかもしれないが


「はぁはぁ、なんにも掴めなかった」

床に倒れ込むように倒れ込む、一日あらゆることを試したがマナはただ漏れ出すだけでコントロールはできなかった


「今日は帰れ」

アルスが階段を登って来て俺に一言だけ言った

促されるまま帰路についた、トボトボ歩いているともう家についていた

「ただいまー」

「おかえりショータ!」

エプロン姿のシィミルが迎えてくれた、この世界唯一の癒し枠だ、しかし今日アルスに言われたことを思い出すと目を合わせられない


シィミルはいつもと違う様子の俺を気にかけてくれているのか大丈夫?何かあった?としきりに聞いてくるが俺ははぐらかしてなんとか切り抜けた

俺はご飯を食べた後すぐ寝ることにした

今日の月は少し明るかった気がした



それから三日ほど経つが俺はまだなにも分からずで途方に暮れていた

「なんでだ、本に書いてあること全部試したのに」

この間に俺は本に載っている方法を片っ端試してみたがどれも効果がなくコントロールすることはできなかった


「これじゃ間に合わない、どうするか」

窓から入ってきた風がぺらぺらとページをめくりはじめあるページで止まる、そこは初級魔法の使い方が載っているページだった、俺はひらめいた

「飛ばしてやってみるか」


魔法を使う、そうすればなにか分かるかもしれない、これは逆転の発想だった、それから俺は一番初めの魔法に目をやる

「初級水魔法ウォーターホール、詠唱があるのかどれどれ、流れ落ちる滝の如く、その清流を名もなき我が手に、ウォーターホール」

いきなり体からマナが吹き上がる、そして手の中に水滴が集まり水球になっていくがまだコントロールすらできない俺には制御ができない

「やばいやばい」


ドシャ!


そのまま水球は部屋中に飛び散った、やってしまった、ドンドンと階段を登る足音が響く


「なにがあった」

慌てた様子のアルスが現れた

「すみません、部屋で詠唱を唱えてしまいました」

「はぁ」

呆れた顔のアルス、ひょいっと杖を振ると部屋が片付き、撒き散らされた水がどんどん乾いていく

「すごい」

息を呑んだ、無詠唱で魔法を使っている、無詠唱魔法は選ばれし者のみが使える希少なものだと本に書かれていた、もしかしてアルスは本当にすごい人なのかもしれない


「これからは外でやれ」

「は、はい!」


それから俺は外で魔法を唱えることにした、新しい練習方法として魔法を詠唱している間にマナコントロールをするようにした、これならマナを可視化できて魔法にも慣れることができる、本にはないオリジナルの練習だ


それからというもの一週間ほどで初級水魔法のウォーターホールをマスターできた、しかしそれ以降はあまり進捗がない


「今日はどうだった?」

ハッとなりシィミルに目をやる、最近は魔法のことばかり考えていてボーとしてしまうことが多い


「今日は他の魔法を試したけどどうもうまくいかなくて、合格できるか不安で」

愚痴をこぼしてしまう

「でもショータはすごいよ、一から魔法を自力で学ぶなんて、普通は誰かに教えてもらうことだから」

「そんなことないよ、最近は行き詰まりを感じるし、アルスさんやみんなに迷惑をかけっぱなしだ」


「なら明日はお出掛けしようよ!街は魔法で溢れてるからなにか分かるかもだし、なにより気分転換になるからね」

シィミルの気遣いだ、たしかに街に行けばなにか分かるかもしれない

「それはいいね、じゃあ明日はアルスさんに言って街に行こう」


そして俺は部屋に戻ると明日のために早く寝た、明日はシィミルとのほぼデート、楽しみで仕方ない


-残り十七日-


朝起きてご飯を食べるとすぐに出掛けた、まずはアルスのとこへ行き今日は街に行くことを伝えた、アルスは隣にいるシィミルをみて一言、楽しめよと言った


「もしかするとアルスさんに怒られるんじゃないかって不安だったんだ」

「心配しすぎだよ、ショータが頑張ってるのをアルスも知ってるから今日のこと許してくれたんだよきっと」

そうならいいが、街を歩いていると指輪屋さんを見つけた

「ショータみて!ちょーキレイじゃない?」

それは銀色の指輪で真ん中にはピンクの小さな魔石がハマっている、シンプルだがどこか目が惹かれるものだった

「シィミルに買ってあげたいけど、俺稼ぎないしな」

「あはは、ショータほぼニートだもんね」

いきなり刺されてかなりのダメージを受けたがなんとか顔には出さなかった


「シィミル、俺がお金稼げるようになったら絶対買ってあげるからそれまで待っててね」

言った後に気づいたがこれは告白なのか?いやただの約束事だ、シィミルが勘違いしなければいいが

「ふふ、ずるいねショータは、でもうれしい」

その笑顔に俺の心臓は早く、そして力強く鼓動する、


「ちょっとトイレ行ってくるね」

恥ずかしくなり逃げてしまった、俺はなんて意気地なしのバカ野郎なんだ、恋愛ゲームでもやっておくべきだったか


トイレを済ませて戻ろうと来た道を見ると人だかりができていた

その真ん中には赤く無造作に結ばれた二つのお団子髪の小さな女の子と何人かの男が言い争っているようだ


「ワタシが魔石泥棒だって?ワタシは矮人(ドワーフ)一族の誇り高き錬金術師、エト様だ、盗みなんてしたことないね!」

「ハハハ!小汚いドワーフのことなんか誰が信じるかよ、さっさと盗んだ魔石を返しな泥棒」

どうやらエトと名乗るドワーフの女の子が魔石を盗んだ犯人だと言われているらしい、あんな小さな女の子が盗みなんかするか?ただの言いがかりかもしれない


「証拠はあるんですか」

気づいたら前に飛び出していた

「は?誰だおめぇ」

「お前には関係ねぇよ失せな」


「そんなこと言われても引き下がれないな、証拠がないのに決めつけるなんて、お前たちの方が悪者だ!」

「うるせぇ!しゃしゃり出てくんなよ小僧!!」

ナイフを突き立てて向かってくる、いきなりのことで体が動かない、これはかなりやばい

逃げることも立ち向かうこともできずただナイフの矛先が近づくのを見るしかできなかった


「ワタシが相手だろうがぁ!」


少女が飛び上がり両手を上げた、その手からは雷のような光が出ている、するとビキビキと鋼鉄のハンマーのようなものが出来上がっていく


ハンマーを振り下ろし男達を吹き飛ばしていく、その姿は少女ではなくまさに戦士のようだった


呆気になっていると気づいた時には周りにいた人達は逃げていて、地面にはさっきの男達、そしてその横に立つ少女


「こっちこい」


少女に手を引かれ裏路地に連れ込まれた

「お前なんなんだよ、急に飛び出して来て」

「キミがあの男達に言いがかりを、、」

「キミじゃないエトだ!」

気の強そうな子だった


「それよりさっきのハンマー、あれはなに」

俺はそれが気になってしょうがない


「あれは錬金魔法だ、みたら分かるだろ」

「あれが錬金魔法か、すごいねあれ!」

「そ、そうか?」

エトは照れながら頭を掻いている


「じゃあワタシはこの辺で、次は変な奴に突っかかるなよ」

ニカっと笑い、身軽に塀を越えていく、その手にはたくさんの魔石があった

「あいつ!」

泥棒を逃してしまったがいいものが見れて俺は満足だ


「おーい、ショータ」

シィミルが走ってくる、待たせてしまっていた

「ごめん、ちょっと事件に巻き込まれちゃって」

シィミルは驚いてなにがあったのかものすごい勢いで聞いてきた、俺はエトのこと、錬金魔法のことを熱狂的に話した


「あぁエトちゃんね、ここらでは有名な盗人だよ」

「でも悪い子じゃないんだよね、両親が二人ともいなくて、ずっと一人で暮らしてるみたいなの、可哀想だよね」

「一人で!?だから盗んで生計を立ててるのか」

そんな事を話しながら二人で家に帰る


その夜はエトのこと、そして錬金魔法のことで頭がいっぱいだった

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