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はいらなきゃ?SF研究会  作者: 如月霞
そのサークル危険につき
9/13

言いだしっぺの法則

おまけ。

 とある大学の、ある部室。そこは和室。かといって、茶を点てるわけでもなければ、そこにいるものたちから和を感じるわけでもない。

 部室の入り口である扉の横には、サークル名が書かれたプレートがはめられており、そこには「SF研究会」と表記されている。

 そんな部屋の中にいるのはどんな人物だろうか。特徴をいってしまわば、なかなかに容姿の整ったイケメン・大学生なのか疑わしい幼さにケモ耳を生やしたロリ・学校を間違えているのか、なぜか軍服・机・ホログラム・生気のない白髪。この6人。

 机を人数にいれることにとやかくいうのは野暮というものだ。この空間では。


 「今日はみんなで集まって何をしようっての?」


 言葉を発したのは“イケメン”である。彼ほどのルックスなら、芸能界が黙っていないだろう。


 「あ!わかった。新学期だから、パーッと飲み会ってわけっしょ?Foo~!あ、そうそう、いいお店見つけてるぜ。肉専門店なんすけどぉ、世界中の美味い肉が無限に食えるらしいんすよ」


 突然、机から声がするが、それに驚くものは誰一人いない。


 「ちげーヨ、バーカ」


 机に驚かないのだ。ホログラムに驚くはずもない。ややノイズの混じった合成音声だが、ここにいる人間?たちは聞き間違えることもないだろう。


 「は?じゃあ何なんですかね~」

 「……なんでそう口論になるんだ……まぁいいか……今日のお題はこれだ」


 “白髪”が手を挙げると、地面からホワイトボードがせり出してくる。当然、それにも誰も驚かない。

 姿を現したホワイトボード。そこには。


 「『サークル紹介』?ああ、そんな時期でしたか……早いものですねぇ」

 「え?何?新入部員集めんの?それマジ?去年なーんもしてないのに?」

 「部長。お主、前にもう部員はいらないって言っていたがの」


 “ロリ”が“白髪”に対して問う。どうやら“白髪”が部長のようだが――“ロリ”は何故年寄りのような話し方をするのか、誰も気にしていない。


 「……あの時はな……いらないというより、いない……だったがな。……それに、紹介したところで誰も来なかっただろうよ」

 「じゃあなんで今?」

 「……さぁな……なんとなく、来そうな奴がいてな」

 「今年に限ってか。ふうん……しかし、そんなのどうやって判断するんじゃ」

 「……入学記念アルバム、今年版」

 「ぎえー、そんなん見て何が面白いんじゃ。えろす」

 「いや、他にやること無いんで、俺ト一緒に見てただけ」

 「いいんじゃない?俺もたまにするし。こういう中からアイドルの原石をだな……」

 「んん、ともかく、お題は理解しましたよ。しかし、我々を呼んだのは?」


 脱線しかけた話を路線に戻す“軍服”。着用している衣服は非常識だが、話し言葉や姿勢は常識的だ。


 「そりャ、あれだろ。来そうってコとは。バラすかどうかってことダロ?」

 「……ご名答。意義あるか?」

 「ありま……せんねぇ!」

 「ないぜ」

 「ナい」

 「ないぞよ」

 「ない……といいたいところですが」

 「……ん」

 「普通にバラすのもなんだが面白くない気がしますね」

 「……どうするんだ」

 「そうですねぇ……例えばこの腕時計のおかげってことにでもしましょうかね」

 「なんでごまかすんじゃ?」

 「ごまかすというか……なんというか、そのほうがSFらしくないですか」

 「じぇんじぇん。周りくどいぞ」

 「そうですか?しかし、少しは楽しんでもらえると思いますよ。何せ始めての新入部員ですからね。たくさん興味を持っていただかないと」

 「……まぁいいんじゃないか。……俺もすぐにバラすつもりはないしな」

 「いや、あなたの場合はちょっと……」

 「そうじゃそうじゃ」

 「失神するかもな」

 「あ、いっすね~!じゃあ俺失神するほうに3円賭けます賭けます」

 「じゃあ、しなかったら死ネ」

 「なんで!?」

 「……まぁなんでもいい。紹介するメンバーを決めてくれ」

 「部長は出ないのか?」

 「……誰が説明するんだ……俺は確定だ。……他に一人、まぁ立っているだけでもいいがな」

 「なるほドな。じゃ、じゃんけんで決めルか」

 「いっすね~!じゃ、負けた人が部長と一緒にするってことで。勝ちますよ~」

 「インチキなしぞ」

 「うーし、せーの」


 じゃーんけーん……。

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