放課後
午後の授業をそこそこに、帰宅の準備を始める。
テスト返却が続く為、解説やら訂正やらでこっちはゲッソリした気分だ。
リュックに荷物を詰めていると、佐藤から声をかけられた。
「俺委員会あるから、また明日な!遅刻気にすんなよ!」
「忘れかけてたのに、思い出させんな」
「バーイ」
互いに手を振り、教室を出る。
田中が後を着いてきていた。
「佐藤君なりに気を使ってるんじゃない?元気無いから」
「元気はあるんだぜ?徹夜で眠たいだけだよ」
「それならいいけど」
俺を追い越しながら、田中が振り返って「私も図書委員行ってから帰るわ」
図書室に向かっていった。
今日は寄りたいところもあったし、1人が楽だな。
駐輪場に向かっていると、目印の鉄筋が見えてきた。
誰か居るみたいだ。地面でも見つめてるのか、俯いていた。
駐輪場の端の方、帰宅生徒が数人いるぐらいなのにあそこで、何してんだ?
俺みたいな偏屈なやつしか、ここには来ない。
転校生がいた。
「月森さん?何してるの?」
「おお!同じクラスの方!」
元気があってよろしい。
斜めに切った前髪を整えながら
「いやー転校してきたばっかりだから、ほら、緊張してて…。」
「1人になりたかったとか?」
「そんな感じ。名前!教えてください。」
転校初日は色々と大変なんだろ。名前やら質問やら、緊張もしてたし。
「ゆうと、優しい人って書く。パンが好き」
「私はお米の方が好きかな。教えてくれてありがとう。頑張って覚えるよ!」
自転車のロックを外しながら
「何人か着いてきてなかった?同好会の勧誘とかで」
「引越しの荷解きがあるからって断らせてもらったんです。みんなの名前でパンクしそうで」
「名前覚えるの大変だよね。顔と一致しないし。」
「解る!」彼女は150センチほどの身長でバタバタと手を動かしながら、
「みんなと仲良なりたいけど、それとこれとはまた別問題で」
「1週間もしたらいけるんじゃない?覚えるの」
「1ヶ月はかかると思います。頭悪いので」
「テスト回避するための転校とか?」
「違いますよ!親の転勤」
そう言うと彼女は笑いながら、「また明日!優人君!」と手を振り校門の方に歩いていった。
自転車に跨り足をペダルにかける。
帰る前に猫のマスコット方を振り返り確認する。
無くなっていた。
誰か拾いに来たんだ。
ふー。良かったぁ。嫌な想像も消し飛んだ。
変なもの見たと思って過剰に反応してた。
俺も校門の方に向かう。




