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村人Aと天下布武

数日が経った。

が、未だに友達がルサルカしかできていないのはどうゆう事だろうか?

女子生徒に話しかけると逃げられ。

かといって男子生徒に話しかかるのは躊?躇われる。

近付くと粗か様にビビられている気がする。

否。

これは気のせいでは無いだろう。

思い当たる節は幾つかある。





◆◇◆◇◆【回想1(vs筋肉集団)】





――お昼の食堂――


ここは、バイキングの様なシステムになっており、各自配膳していく。

私は食事は好きだ。

一日の中でも至福の時間と言えるだろう。


そんな中、奇妙な一行を目撃した。

あれがうわさに聞く筋肉中毒(マッスルアディクション)と言う集団か。

彼らは、筋肉に恋し依存する末期患者と言う。

杜撰な白色筋肉だ。


「おい、貴様。俺の筋肉が見えないのか?」


筋肉の集団が列に来ると生徒たちが道を開けていく。

不気味だから、道を譲ってしまうのも分からなくもない。


そんな筋肉たちに気付かなかったのか、そのマッスルロードを一人の女子生徒が遮った。

何故か憤慨する筋肉その1は女子生徒に意味不明な事を叫びだした。


「ひぃぅ…」


縮こまる女子生徒に複数の筋肉たちが囲んでいく。

気の弱い女子にしてみれば悪夢だろう。


だがそんな女子生徒を助けようとるものは誰もいなかった。

見て見ぬふりとは情けない。

そんなにあの筋肉たちが怖いのだろうか。


仕方ないと呟きつつ私はその集団にへと近づいて行った。


「失礼。集団の男が女子生徒を取り囲むような変態行為は如何なものかと思いますよ」


「何だと!貴様。俺の筋肉が見えないのか!」


どうやら、第一セッションは失敗に終わったらしい。

同じ言語を使っているのにコミュニケーションがとれないことも良くある事だ。

私は気を取り直し再び接触を試みようとした。

が、


「ゆけぇ!!」


「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」「マッスルマッスル!」


…これは威嚇なのだろうか?

ワサワサと筋肉たちは私の周りをうごめきながら同じ言葉をリピートし続ける。

正直、ゴブリンの方がよっぽど理性があるように思えた。


(ワズラ)わしい…。


パァアァァン!!


「あッ」と思った時には遅かった。

つい、目の前の大胸筋に向けて裏拳を当ててしまった。

当てられた筋肉は数㍍転がり、壁にぶつかると止まった。


「キ、キンニク!?」


仲間の筋肉達は狼狽えながら距離をとると、倒れて気を失った筋肉を担ぐと逃げていった。

野性らしく一発で実力差を理解したらしい。

もっとも野生の動物ならば私に近付くことは殆ど無いのだが。


「大丈夫?」


私は呆然としている少女に近付いて手を差し出した。

少女はぽぉーっと私を見上げると我に反った様に声をあげる。


「は、はぃ。アリサ様はお強いのですね」


「ん。あれ、私の事知ってるの?」


私の記憶が確かなら目の前の少女は初対面の筈だ。

名前も名乗った覚えは無い。


「えっと……。アリサ様は有名でいらっしゃいますから」


「初耳。悪名で無ければ良いのだけど」


私は、苦笑しながら、いつまでもオドオドと宙をさ迷う小さな手のひらを掴むと、ぐいっと私の方へ引っ張りあげた。

「ひゃあっ」っと小さな悲鳴を上げ私の胸に収まる。

何故か周囲がワァッと歓声に湧いた。


「す、すみません!本当にありがとうございました」


少女はバッと私から離れ、顔を真っ赤に染め、頭を下げながら早口に捲し立てると、逃げる様に走り去って行った。


私はフローゼの元へ戻る。


「どうしたんだろうね?」


「………知らない。自分で考えれば?」





◆◇◆◇◆【回想2(vsゴーレム)】





――校庭――


ここの校庭は広い。

どのくらい広いかと言うと、ウィルソン・キプサング・キプロティチが30分走っても一周出来ないほどだ。

そんな校庭で行われる模擬戦闘訓練授業。


最近気付いた事がある。

マリィちゃんを基準にしていたせいで気付かなかったが、周りの子ども達は私の思っている以上に弱いのではないか、と。

先日の筋肉の件でも、あれがマリィちゃんならば、避けるないし受け流す位はしただろう。


目の前てま愚直に木剣を振り回す少年をみながら考える。

前世の私が12歳の頃はどうだったろうか?

………知識が曖昧だが少なくとも目の前の少年よりは動けただろう。


それに、ラナなんかは年下であるが初めから良い動きをしていた。

上手く育てれば美味しく実るだろう。……フフッ。

思考が逸れた。


「止めぇい!!次は魔術を併用した戦闘を行う。アリサ、モヒンダー前に」


教官に呼ばれ前に出る。

どうやら私達からのようだ。

目の前の少年は何やらブツブツ言っていて少し気味が悪い。


「フ、フフ。僕の事を馬鹿にして。な、泣かせてやる…ブツブツブツブツ」


「よろしくお願いします」


「初め!!」


ドゴォオォォ!!


教官の合図と共に地面から私の倍ほどある3体のゴーレムが飛び出る。

確か、この魔術の詠唱には時間がかかったハズだが。

成る程、フライングか。


だが、正道のみが試合ではない。

それに、一度に3体のゴーレムの生成。

魔術の才能が無い私には真似の出来ない事だ。

只の軟弱者だと思ったが。


「おぃ!貴様!!」


教官が静止をかけるがもう遅い。

ゴーレムが止まる様子は無かった。


さて、どうしたものか。

筋肉を相手にならまだ分かる。

だが、私のようないたいけな少女が、これ等のゴーレムをぶっ壊すのは如何なものか。


この程度の相手、マリィちゃんならば容易に破壊できると思う。

しかし、マリィちゃんが普通ではない事がわかったのだ。

 ※アリサが鍛えました。


そういえば魔術学で学んだ事を試す良い機会ではないだろうか?

魔術なら誤魔化しが効く。

得意では無いが、基礎くらいは私でも可能だ。


火系統、初歩の初歩。

エクスプローションの威力を全て範囲、音にまわし展開する。


ゴーレムと交差する。

私はゴーレムの力を数倍にして返す。

ゴーレムが吹き飛ぶタイミングに合わせて魔術を発動した。


ドゴォオォオォォオォォォォン!!!


けたたましい音が鳴り響き一瞬で3体のゴーレムは粉砕した。

見た目は凄い爆発に見えるが、中身は只の柔術だ。


周囲の、教官含め皆呆然としている。

バレていないようで何より。


私は普通の足取りで座り込む少年に向かう。


「続ける?」


目の前にいるのに気付かなかったのだろうか。

私が声をかけると、「ヒィッ!!」と情けない悲鳴を上げ気絶した。


やはり軟弱者だ。


「…怪我はないか?」


「はい。お気遣いありがとうございます」


近づいてきた教官に一礼し私は下がる。

それよりも、今更ながら思うが、十分に訓練もしていない生徒に模擬戦を行わせるのは如何なものだろうか。

このような事態は十分に想定できることだろう。

実践に勝る訓練はないというがいきなりそれを行うのは荒療治だと思う。

それは、身心ともに基礎が出来上がっていて効果を発揮する。

国の教育レベルから考えれば致し方ない。

この手の無能な上司はどこにでも居る。

かつての私を含めて。


フローゼは大丈夫だろうか。

気の乱れは感じていないが、私は注視する。


フローゼの前に倒れる女子生徒。

難なく勝利しているようだった。

フローゼはああ見えて何でもソツ無くこなす。

潜在魔力測定もAA(ダブルエー)ランク(アリサはCランク)だったし、勉強面では先日の小テストの結果クラスで1位(アリサを除く)だった。

幼馴染としては将来が楽しみである。

文武両道を実践するその姿勢は十分恭敬に値する。

夕べも遅くまで勉強を手伝った。

彼女のそこまでする、理由はなんだろう。

そう思いながら、私は配給品のドリンクを片手にフローゼの元に向かう。


「お疲れ様」


「あ、ありがとうアリサ。アリサのところ凄かったね」


「そうですか?」


フローゼは「うん」と言って思い出したかのようにクスリと笑った。


「アリサ、凄い威圧感だった。極東の鬼みたい」


「鬼…ですか」


どんな、相手でも真剣に取り組んでいるがまさかそんな風に見えていたなんて。

正直にショックだ。


「私はカッコいいと思うけどみんなは、少し引いてたんじゃないかな?」


「ひ、かれた」


そんな、馬鹿な。

この閑麗な私を前にて引くなど、あり得るのだろうか。


「ちょっと心配だったけど、安心したよ」


いや、まだあわてる時ではないだろう。


――この時はまだ、そんな風に思っていた。





◆◇◆◇◆





時は既に遅し。


以前は明るく挨拶してくれたリチャードが、廊下ですれ違いうときに、目を逸らしてサッと道を譲られた時に少し焦り始めたが、手遅れだった。


心配していた、フローゼの方が人気がある始末。

ルサルカには『君は、女子の人気はスコブル高いから安心しなよ』と言われて慢心していたが。

私は孤立している。

これは、非常に望ましく無い。


『打開策は無いだろうか。こうなった責任は、ルサルカ、君にもある』


とルサルカに相談したところ、読んでいた本からチラリと顔を覗かせると。


『ん、あぁ~。んじゃ、手助けか何かしてみたら?執事なんだし。無償の奉仕はかくも美しいってね。幸い君には武力も知識も備わってるしね』


適当に言ってはいたが、意外と的は射ている気がする。

無償の奉仕。

いきなり見ず知らずの人間に理由もなく親切にされては、感謝よりも困惑が勝ると思うが。

活動という事にすれば理由も出る。


私の退屈も紛れて、一石二鳥かもしれない。

そうと決まれば動くまでだ。

設定補足

魔術

例えるとプログラムの様な感じです。

1~10まで指示し魔力に指向性を持たせる事を魔術と言います。

魔方陣を読み解くのはバイナリを解析する程度の難易度なので学園では教わりません。

精々既存の基礎魔術の発動を教わる程度なので、アリサがなんとなしに行ったのはデータの書き換えに近い技術です。

ですが、それが出来るのは研究職等に就いてしまうので、アリサが行った事に気付く人はいませんでした。


潜在魔力

最終的に到達出来るであろう魔術師のランク。

魔力量、魔力伝達速度等から算出。

平均はB。(魔術師は血筋的なモノが有り、基本的に裕福な家系しか行わないので平均は高め)


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