襲撃
終わりにしない理由を考える。考えられる限りは終わらない。
「吼えろ、凍えよ、未開の星屑…氷」
凄まじい氷の嵐が迫り来る。
「煌めけ、奏でよ、葬送の調べ…響」
美しい旋律とともに、バタバタと倒されていく。
2人の憑鬼払い達からの襲撃だ。いよいよ、俺達の動きは察知され、駆逐対象として処分されるようだ。
氏名票まで付けているところは、公務員らしいが、何しろ、2人ともに、統括憑鬼祓いを含め本庁所属のエリート憑鬼払いだ。
すでに、こちらの教諭達は、ほぼ壊滅だ。しかも先輩達が調査で留守のこの隙を狙ってくるとは、やはり統括の言った通りらしい。…先輩達の留守…ね…。
しかし強い。強すぎる。統括憑鬼祓いとその部下だが、その辺の校長が束になっても敵わないだろう。自分が行くかね、うーむ。
おっ⁉︎
うちの体育会系教諭が、踊り出て叫ぶ。
「ここは、自分に任せてください。この間みたいな無様は見せないっす!」
おお!がんばれ!
「弾め、集まれ、不屈の海流…濁」
濁流が氷を砕き流しさる。濁流の轟音が、美しい旋律を消しさる。
「くっ、引け。」
「はっ!」
させるかよ「寄れ、剥き出せ、贋作の人形…吊」
「踊れ、廻れ、操りの糸…絞」
でかしたぞ、よくやった!主任教諭が2人を拘束した。
戦いは、相手との相性が大切だ。
実力で言えば、うちの体育会系教諭は相手の2人とでは戦いにならないほどの差がある。しかし、言霊の相性が今回は抜群によかった。…ということは、監視人はうちの体育会系教諭の言霊を知らなかったことになる。…となると、同期の2人、俺のパーティは除外。あとは主任憑鬼祓いと………先輩……か。
どちらにせよ、拘束した2人が何か話すとは思えないが、どうするかね。




