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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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295 頑張れ!弥八郎

 島田弥右衛門殿には、龍野を攻める浦上軍を無視して備前に攻め込む事を提案したが、実際どうするかまでは考えていない。

 あの時は勢いで言っただけだし、大分元の展開とは変わっているだろうからな。

 さて、どうしたものか…


 すると、高砂で別れた弥八郎が戻って来たとの連絡を受け、早速呼び出す。

 弥八郎は、見知らぬ男を連れてやって来た。


「殿、此方(こちら)は元高砂(たかさご)城城主、梶原平左兵衛殿に御座います」


「梶原平左兵衛に御座います」


 ああ!置塩の赤松宗家に味方した為に別所家に攻められ、別所家に降伏したら今度は赤松宗家の援軍に来た篠原家によって城を奪われた可哀想な人!

 弥八郎も何をしているのかと思ったら、こいつに渡りをつけていたのか。


「平左兵衛殿か、よく参られた」


 何で弥八郎がこいつを連れて来たのかは分からないが、弥八郎は役に立つと考えて連れて来たのだろう。

 取り敢えず歓迎しておこう。

 弥八郎に視線を送り、説明を促す。


「今、高砂城には別所孫右衛門殿が居られますが、平左兵衛殿が城を返すよう頼みに向かわれたところ、孫右衛門殿は拒絶なされたそうで…」


 ああ、城に帰れなくなったのね。

 城を返さなかった孫右衛門殿の気持ちも分からんでもない。

 だってこの人、この戦いで何の役にも立ってないもん。

 別所家側から見たら、初めは敵として対峙し、降伏させたら篠原家に城を奪われ、城の奪還も出来ずに篠原家に敗北し、戦が終わった後に城を返せとか…。そりゃ城を返すのは嫌だろう。


「それは気の毒と言う他ないが、儂に高砂城を平左兵衛殿に明け渡す様、孫右衛門殿を説得する事など出来ませぬぞ?」


 流石に孫右衛門殿も、俺が言ったくらいで城を返してはくれないよ。


()(あら)ず。何卒(なにとぞ)某を傳兵衛様の兵に御加え頂きたい」


 は?陣借りしたいって事?

 再び弥八郎の方へ視線を送る。


「平左兵衛殿は、此度の戦での汚名を返上する機会を頂きたいとの事に御座います。梶原家は瀬戸内にて力を持つ水軍。傳兵衛様の御役に立つ筈」


 おお!水軍!浦上家を海から攻められるか。


「平左兵衛殿、舟は如何程集める事が出来ようか?」


「関船が一艘、小早が三…五艘は、必ず掻き集めまする!」


 平左兵衛は、少し考えて答える。

 関船が1艘に小早が5艘か…

 う~ん、水軍に詳しくはないけど、こんなものなのかなぁ?

 城を奪われたばかりなのだから、これだけ用意出来るのを褒めるべきなのだろうか?


「宜しく御願い致す。先ずは室津の湊を攻め落とし、近辺で舟を掻き集める。然る後、海沿いに大きな湊を落としながら備前へ攻め込もうかと思う」


「望む所!必ずや傳兵衛殿の御役に立ってみせましょうぞ!」


 平左衛門は、やる気満々だな。

 うん、水軍の協力を得られたのは有り難いな。

 でも、もう少し兵力が欲しいな…


「弥八郎、今少し兵が欲しい。お主なら、何処に頼む?」


「そうですな…小寺家は如何に御座いましょう?」


 うん?小寺家?今まで戦ってたところだぞ?


「小寺家が受けようか?」


「分かりませぬが、先ずは話を通してみて、相手の出方を見ようかと。小寺家家老の小寺官兵衛の娘が浦上宗家の三郎九郎(誠宗)に嫁ぎ、男子を生んでおりますが、小寺家はその三郎九郎の子の身柄を押さえております」


 その子…久松丸だったか…の名を利用して備前に攻め込めという事かな?

 久松丸の母は、官兵衛の娘というが、年齢的に養女か妹じゃないかという話があったな。

 その娘は、浦上清宗との結婚の最中に赤松政秀に攻め込まれて、夫となる筈の清宗は殺されて、清宗の弟の誠宗と結婚する事になったんだっけ?

 その誠宗も、浦上宗景に内通した家臣に殺されたんだったよな?

 清宗と誠宗の嫁は別人という説もあるけど。

 どちらにしても、黒田官兵衛の関係者だから赤松政秀や浦上宗景の事を嫌っている可能性はあるな。

 その辺りも含めて、少し調べた方が良いな。


「分かった。小寺家に関しては儂が頼みに参ろう。弥八郎は備前に入り、国人共を唆して参れ。日和見で良い故、宇喜多、浦上に合力させるな」


「はっ!織田家に降らせなくとも良いので?」


「構わぬ。両家の拡大を防げれば良い」


 頑張れ、弥八郎!

 お前の働きを期待しているぞ!


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― 新着の感想 ―
[良い点] こういう泥縄式戦力増強はいい感じですね ロシアの泥沼から近代サッカーまで、どさくさ紛れに借りパクした戦力が次シーズンで何故か通常編制に組み込まれているのはよくあることw まぁ陣借りにせよ…
[気になる点] 宇喜多さん家にいる花房さん。調略するのに良さげ?
[一言] 官兵衛殿が藤吉郎殿のところでなく、傳兵衛殿の下へ来ると思うと 某胸熱でござる。
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