表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花鬼  作者: KATSUKI
97/132

第七章  12

 

「オーマ――」

 花のような笑みを浮かべ、シアが腕の中に飛び込んでくる。

「おまえ――」

 有るか無いかの体重を抱きとめた。

「おれがわかるのか?」

「どうして?」

 わかるよ――くすくす、と笑ってシアが言う。

 子猫のように大きな眼が無邪気な光を放っている。

「人形を操るのは存外に面倒でね」

 シアの後ろからイツキが近づいてきた。

「食事もしない。眠りもしない。全部命令してやらないと動かない。こちらも付きっきりで世話をしていられるわけじゃない。なら、ある程度好きにさせていた方が楽だと思ってね。自由意志は戻したから、とりあえず兄さんに預けておくよ」

「連れて逃げたらどうする?」

「もちろん保険はかけてあるよ。僕から一定以上離れたらどうなるか、想像がつくよね」

「抜け目が無いな」

 口の中で軽く舌を鳴らす。

 二十四時間眠り続けた後、ドウマはガラスの部屋から出された。

 聞けば、教祖用の無菌ルームとして用意されたものだったらしい。半ば以上潰れたドウマの身体を、ターニャとイツキは無菌ルームに運んだのだという。救けようとしたのだ。原因を考えると、礼を言う気にはなれなかったが。

「ターニャは?」

「遠慮してもらった。兄さんと話がしたくてね」

 イツキが部屋のドアを開けた。

「ここは?」

「VIPルーム。しばらくここに滞在してもらう」

 地下の施設にしては、広さも調度も一流ホテル並みだった。

「監禁するにしては上等な部屋だな」

「ラヴィアも一緒だからね」

「ふん。チェックさせてもらうぞ」

「お好きに」

 言われて、簡単に見て回る。部屋の壁、天井、ベッドの影。監視カメラの類は仕掛けられていない。トイレ、シャワールーム、クローゼット、キャビネット、冷蔵庫。クローゼットの中には着替えが数着。キャビネットの中には酒のボトルとグラスが並んでいた。

「飲んでもいいのか」

「構わないよ。僕ももらう」

「シアも――」

 白い手を高く上げて、シアが言う。

「子供はだめだ」

「子供じゃないよ」

「僕はいいよね。兄さんも子供の頃から飲んでいたと聞いたよ」

 情報源はターニャだろう。

「好きにしろ」

 グラスとボトルに手を伸ばしながら、ドウマは言った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ