表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの魔女になれなかった君と、反逆の剣  作者: ダメお
第1章 偽りの魔女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

第四話 隣にいる理由

朝の光が訓練場に差し込んでいた。


昨日の戦闘の熱が、まだ体に残っている。


「——遅い」


リゼルは腕を組んだまま立っていた。


「時間ぴったりだろ」

カイトが軽く返す。


「余裕がないのよ」


ため息をつく。


「昨日ので分かったでしょ」


リゼルは杖、《アルカナ・コーデックス》を握る。


「距離、まだ甘いわ」


カイトは剣、《ネメシス・リベリオン》を肩に担ぐ。


「詰めすぎも危ねぇけどな」

「それはあんたが合わせなさい」


即答。


「俺かよ」

「当然でしょ」


一歩、近づく。


「……ここ」


最適距離。


昨日の戦闘で自然と身体に刻まれた位置。


「分かるだろ」

「ああ」


言葉はいらない。



「いくわよ」


リゼルが構える。


カイトが踏み込む。


「今」


炎。


滑らかに発動する。


「……いいわね」


昨日より速い。


昨日より正確。


「次、風混ぜる」


「また無茶言うな」

「できるから言ってるのよ」


杖が振られる。


剣が動く。


風と炎が重なる。


少しだけ揺れる。


だが、崩れない。


「……できた」


小さく呟く。


その声には確かな実感があった。


「やるじゃん」

「当たり前」



だがその直後。


リゼルが一歩下がる。


「……あ」


魔法が途切れる。


「だから言ったろ」

カイトが言う。


「距離だ」


「分かってるわよ……!」


すぐに詰める。


再発動。


「……安定する」


リゼルは小さく息を吐く。



繰り返す。


何度も。


距離を測る。


動きを合わせる。



気づけば。


二人は無意識に同じ動きをしていた。


「……気持ち悪いわね」


リゼルがぼそっと言う。


「何が」

「動き」


カイトも少し考える。


「まあ、分かる」


自分でも分かる。


意識していないのに、合う。


「でも」


カイトが言う。


「楽だろ」


一拍。


リゼルは何も言わない。



もう一度構える。


今度は、何も言わずに。


剣が動く。


杖が応える。


炎が走る。



完全に揃う。



「……いいわね」


リゼルが言う。


その声は、少しだけ柔らかかった。



「なあ」


カイトがふと聞く。


「なんでそんなに詰めるんだよ」


リゼルは少しだけ考える。



「理由なんてないわ」


そう言ってから。



「ただ」


少しだけ視線を逸らす。



「離れると、やりづらいでしょ」



それは、事実。



だが。


それだけではないことを、二人とも分かっていた。



訓練が終わる。


「……悪くないわね」


リゼルが言う。


「だろ?」


カイトが笑う。



二人の距離は、変わらない。



必要だから。



そして。


それ以上の理由が、少しずつ生まれ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ