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偽りの魔女になれなかった君と、反逆の剣  作者: ダメお
第1章 偽りの魔女

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第1話 魔女になれなかった日

十八歳——契約の儀。


それは少女が魔女になる日だった。


魔女とは、契約者と共に在る存在。

契約者が近くにいなければ魔法は成立しない。

それはこの世界において疑う余地のない常識だった。


「……リゼル・アストレア」


名を呼ばれた少女は、静かに前へ出る。


名門アストレア家。

火属性の魔法において王都でも随一とされる家系。


失敗など、あり得ない。


「契約者、カイト・ノクス」


対する少年は、場違いなほど気の抜けた様子で歩み出た。


周囲の視線が刺さる。

それでも彼は気にした様子もない。


魔法陣が足元に展開される。


契約は成立している。

距離も問題ない。


すべては完璧なはずだった。


——だが。


何も起きなかった。


風も、炎も、精霊の気配すらも。


ただ静寂だけが広間を支配する。


「……もう一度」


神官の声が硬くなる。


再び魔法陣が輝く。


だが結果は同じだった。


何も起きない。


「……どういうことよ」


リゼルの声が震える。


怒りではない。

崩壊寸前の感情だった。


契約は成立している。

距離も問題ない。


なのに魔法だけが発動しない。


そんな事例は存在しない。


「……知らねぇよ」


カイトの言葉は軽かった。


その一言で、何かが切れた。


「ふざけないで!!」


胸ぐらを掴まれる。


「なんで私が……!」


その叫びには、すべてが詰まっていた。


誇り。

期待。

未来。


すべてが、この瞬間に崩れた。


——その夜。


「……どうするのよ」


人気のない部屋で、リゼルは呟いた。


「このままじゃ、終わる」


その言葉は現実だった。


魔女になれないということは、この世界ではすべてを失うことと同義だ。


カイトはしばらく黙っていた。


そして、ゆっくりと口を開く。


「一つだけ方法がある」


取り出したのは黒い杖。


《アルカナ・コーデックス》。


「……何それ」


「魔法を使う道具」


リゼルの目が鋭くなる。


「あり得ないわ」


「だろうな」


続いて剣を抜く。


《ネメシス・リベリオン》。


「俺がこれで溜めて、お前がそれで使う」


意味が分からない。


だが。


「……使えるの?」


「試せば分かる」


沈黙。


選択肢はない。


「……やるわ」


リゼルは杖を掴んだ。


その瞬間。


すべてが始まった。


偽りの魔法。

二人だけの秘密。


そして——


世界を覆す物語が。


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