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第14話:『常識のゲシュタルト崩壊。佐藤カズマ、悟りへの一歩。』

読んでくださっている皆様いつもありがとうございます。

pcの不具合で投稿時間が遅くなってしまいました。


これからもお付き合いいただけると嬉しいです。

「……ああ、朝か。……今日もいい人工太陽の光だな」


カズマは、拡張された201号室の真ん中で目を覚ました。


かつてのボロアパートなら、隣の大家さんの目覚まし時計(という名の、壁を叩く音)で飛び起きていたはずだが、今は長官が設置した「精神安定フィールド」のおかげで、小鳥のさえずり(未来の合成音)と共に優雅に起き上がる。


だが、カズマの「普通」は、確実に壊れ始めていた。


「おはよう、レオン君。……また浮いたまま寝てるね。風邪引かないように、重力設定下げておきなよ」


「ふぁ〜あ……おにぃさん、おはよ……。……お腹空いた。シリアル(未来の)、出して……」


かつては腰を抜かすほど驚いた「子供が宙に浮いている光景」も、今のカズマには「寝相が悪い」程度の認識だ。


カズマは、高級ホテルのような洗面台(蛇口からプロテインとボルヴィックが出る)で顔を洗う

『……おい。カズマ、お前、鏡を見てみろ。……以前の「今にも消えそうな影の薄いニート」の顔じゃねぇぞ。……なんだその、全知全能の神みたいな「悟り切った微笑み」は』


猫――未来の俺は、カズマの足元で不安そうに尻尾を振った。


最近のカズマは、どんな異常事態が起きても動じない。


店長が筋肉で空を飛ぼうが、白雪が新種のドラッグで客をトランス状態にしようが、「はは、みんな元気だなぁ」で済ませてしまうのだ。


「……猫ちゃん、何か言った? ……あ、朝ごはんだね。はい、長官が置いていった『最高級・細胞活性チュール』だよ」


『……(食べるけど)。……これじゃねぇんだよ。お前の「正常なツッコミ」が聞きたいんだよ、俺は!』


 コンビニ『マッスルマート』への出勤途中。


カズマの前に、いつものようにJKの結衣が現れた。


「佐藤さーん! 今日もカッコいい……って、あれ? 佐藤さん、なんだか最近、神々しくないですか? 後ろに後光が見えるっていうか……」


「そうかな? 多分、長官さんの部屋に住んでるから、ナノマシンが服に付いてるだけだよ」


「ナノマシン!? ……キャー! よく分かんないけど最先端!」

以前なら、JKに話しかけられただけで顔を赤くしていたカズマだが、今は全く動じない。


未来人たちの「個性の暴力」に晒され続けた結果、彼の精神防御力レジスタンスはカンストし、ついに天然の『スルー・パッシブ』状態に到達しつつあった。


一方、猫は気づいていた。


カズマの首に下がった耳栓『スルー・パッシブ』が、以前とは違う、鈍い銀色の光を放っていることに。


『……おい、カズマ。その耳栓、もう電池が切れてるはずなのに……なんで光ってやがる。……まさか、お前の「悟り」を吸収して、新しい機能に進化してんのか……?』


かつての「現実逃避」のための道具は、今や「現実そのものを変質させる」依代よりしろへと変わりつつある。


そして、その「平穏すぎるカズマ」こそが、次にでやってくる「未来の不動産王」にとって、最も計算外の障害になることを、まだ誰も知らなかった。


 夕方のシフト中。  店長が、涙を流しながらカズマに抱きついてきた。


「佐藤君……。最近の君のレジ打ちは、もはや芸術だ。……無駄な動きが一切ない。……まるで、時間が止まっているかのような……」


「店長、それは長官さんに『指の筋肉の連動効率が0.2%低い』って怒られて、練習しただけですよ」


「違うんだ! 君からは、筋肉を超えた『無』の波動を感じるんだ! ……君、もしかして、もうこっち側(マッチョの向こう側)に来てしまったのかい!?」


「はは、大袈裟ですよ店長。……あ、ハスハラ君。その100kgのダンベル型おにぎり、棚の奥に並べといてね」


「はいッ! 承知しました、師匠!!」


ハスハラにまで「師匠」と呼ばれ始め、カズマの周囲の空気は、完全に「聖域」と化していた。


だが、その聖域を監視する長官の目は、冷静だった。


「……佐藤カズマ。貴様の精神波が、臨界点に達している。……このアパートの拡張空間が、貴様の意識と同調し始めている。……このままでは、貴様自身が『特異点』になるぞ」


「特異点? よく分からないけど、晩ご飯はオムライスでいいですか?」 「…………。……ケチャップ多めで頼む。」


その夜。


猫は、カズマの寝顔を見守りながら、確信した。


『……こいつ、もう「普通」じゃねぇ。……未来から来た俺たちが、こいつを狂わせたのか、それとも……。……いや、どっちでもいい。……ただ、次に来る奴らは、今までの連中みたいに「おじや」や「筋肉」で懐くような甘い奴らじゃねぇぞ』


猫は、棚から落ちた「不動産王」からの予告状を前足で踏みつけた。


【物件No.201:次元拡張空間の強制収用通知】


 201号室の秘密と、カズマの変貌。


すべてが混ざり合い、物語は最強の敵を迎え加速する。


カズマが手に入れた「最強のスルー」は、未来の経済すらもスルーできるのか。


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