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プロローグ

「ようこそ死後の世界へ、鈴木楓太さん!」


 星空の中のような部屋の中、俺は突然そんなことを告げられた。


 俺は訳が分からなかった……。


 部屋の中には椅子があり、死亡宣告をしてきた相手はその椅子に座っている。その相手をよく見てみると、透き通った銀色の髪に青い目をしている少女だ。年齢は俺と同じ17歳ぐらいだろうか……?抜群のスタイルに完璧な美貌は女神を彷彿とさせる。


 そういえば、何でこんな事になったのだろうか?俺はこの状況を分析すべく記憶を整理することにした……。


 たしか、俺はカエルと蝉の合唱にうんざりしながら学校の帰りにコンビニで新作漫画のトゥピースを買うところだった。俺はトゥーピースをカゴに入れてレジに向うと、美しい店員さんがいた。


 こんな田舎に都会のネオンが似合うような美人は不釣り合いだ。そんな事を考えながら無自覚に鼻の下を伸ばしてレジを去ろうとした所、後ろに包丁を持った男が現れたのだ。


 今思えば、これが俺の灰色の人生で最大にして最悪の事件だった……。


「おい、そこの店員。殺されたくなかったら、金を出せ……。早く!」


 男は持っていた包丁を店員さんに突き立てたその瞬間、俺は店員さんを庇う様に仁王立ちをした。なぜ仁王立ちしたのか自分でも分からない。だが、気付けば体が勝手に動いてしまった。当然、ぶすりと体に包丁が刺さり仏様ってわけだ……。


 色々と思い出せた所で一つ気になる事を聞いてみた。


「あの、俺が庇った店員さんは無事ですか?」


 俺の奇行で店員さんが無事ならいいが……。


「無事だと思いますよ、あなたを刺したことに驚いて逃げたみたいなので」


 それを聞いて俺はほっとした。どうやら俺の死は無駄にはならなかったようだ。それから少女は椅子から飛び降り、こちらに近づいてきた。


「……では。改めて、初めまして鈴木楓太さん。私の名前はダチュラ。この世界を導く存在よ。……早速ですが、あなたにはやって欲しい事があります。それは、あなたがこれから行く異世界にいる魔人王を倒してほしいの。」

「魔王じゃなくて?」


 少女は頷くと話を続けた。


「この世界には元々魔族という人間と同じように考え喜び愛を持つ異形の者達がいるの。彼らの王は魔族の王、略して魔王と呼ばれるわ。ただし、人間が心を闇に蝕まれて魔族になった場合は別。彼らは人の姿に極めて近いことから、魔人族と呼ばれるようになったわ。魔人王もその一人よ。彼は奴隷時代に愛する者を失い人間を激しく憎むようになったわ。そして、世界で初めて魔人となったの。それから、彼の闇に誘発されたほかの者たちと共に人類を滅ぼすための国を建国したわ。彼の過去には同情するけど、それが人類が滅ぼされていい理由にはならない。だから、魔人王を倒して欲しいの。それが彼にとって救済でもあるから……」


 なるほど、つまり人類滅亡を防ぐということか。


「そこで、異世界人を送っているのだけれども、どうせ送るのなら討伐率を上げるために強力なスキルを与えようって訳。そこで、体のどこか一つにスキルを与えることになっているのだけれど、どこにする?」


 スキルか……って何で俺がこのことを承諾すること前提で話が進んでるんだ?ま、こんな面白そうなこと拒否なんてしないけど。


 と、その前に。


「これから行く世界ってどんな世界何ですか?それと向こうの言語ってどうなるんです?」


 その後、ダチュラからその世界についてしばらく説明を受けた。その話を要約すると、その世界は魔法やモンスターがいる、いわゆる異世界らしい。ただ文明もそれなりに発達しており、大体こっちの世界の中世ぐらいだとか。ちなみに言語は向こうで学び直しらしい……。はたして大丈夫だろうか?不安でしかない。


「どこにするか決まりましたか?」


 そこで、俺は男の子なら一度は望む夢を叶えてもらうことにした。


「眼でお願いします。」

「分かりました、ではこの模眼をスキルとします。この眼は目視した眼の能力を模倣、すなわちコピーすることができます。また、似通った能力を含む場合、能力同士を合成することになります。」


 つまり、眼さえ目視出来れば目において優位に立てるということか。なかなかどうして強いじゃないか。


「では、最後に何か質問はありますか?」

「もし、魔人王を倒したら何か報酬とか期待しても?」

「ええ、何か一つ願いを叶えてあげるわ。」


 聞いてみるものだ、こうなると俄然やる気がわいてくる。すると、俺の周りに魔法陣が張り巡らされた……。


「さあ、旅立ちなさい。運命の女神に愛された特異点よ!」


 そして、俺は明るい光に包まれた。


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