おっさんとまさかのカミングアウト
森にでて街へと向かい歩き始めた
日の高さをみると どうやらまだ昼を過ぎて間もないようでこのまま帰れば日が沈む前には
街へと着きそうだった
少し歩き滝をすぎ川にそって下っていく途中 数匹の魔物が索敵に引っかかった
俺は避けて通るか狩るか一瞬迷ったが先ほど手に入れた龍華絢爛を試してみたくなり
魔物の気配がするほうへそのまま足を向かわせた
少し歩くとエルウルフが5匹ほどの群れでおり 俺は背中の龍華絢爛の柄に手をかけ身体強化をかけながら群れへと走り出した
エルウルフの1匹が俺に気づき威嚇で吠えてきた
その吠え声で他の4匹もこちらに気づき身をかがめ いつでも襲い掛かってきそうだった
俺は背中の龍華絢爛を抜きいつ襲い掛かってきても対応できるように構えると ほぼ同時に
2匹のエルウルフが飛び掛かってきた少し先に飛び出してきたエルウルフをかわし 少しだけ遅れてきた
2匹目のエアウルフを龍華絢爛で迎え撃つように切り付けると 噛みつくためにあけた口から横一線に何の抵抗もなく真っ二つに切り裂いた
あまりのあっけなさと切れ味に
「へっ!?」
と驚いたが 仲間をやられた他の4匹が今度は同時に襲い掛かってきた
俺は自分を中心に円を描くようにその場で龍華絢爛を振ると刃があたった感触だけ僅かに感じ取ることが
できたが4匹のエルウルフはすべて一刀の元に切り飛ばされた
俺はドーラの像と一緒の袋に入れるのを少しためらったがその前に狩ったサソリ2匹と他の魔物も入っていたのでいいかと思いマジックバッグに納め 改めて龍華絢爛をみながら
「こりゃぁ・・・ガチでやばい代物だなぁ」
とつぶやくと
『そりゃそうだよ! なんてったって龍族に伝わる7振りの武器の1つだからね! 持ち主は代々 長とボクに認められたものしかもてない代物なんだよ!?』
とドーラの声が直接頭の中に聞こえてきた
それをきき
「こんなやばい武器があと6本もあるのかよ・・・・」
と思いながらつぶやくと
『えへへへへっ すごいでしょ!?』
とドーラが自慢げに話しかけてきた
きっと無い胸をはり自慢げに話してるんだろうと容易に想像できた俺は クスっと笑いながら
「あぁ すごすぎるな」
と答えると ふふん と鼻息が聞こえる様に そうでしょ そうでしょ と満足げに言ってきた
その後も出くわす魔物を龍華絢爛をつかい倒しながら出口へ進んだ
ただ魔物と一緒に龍華絢爛が当たった木も数本切り倒してしまって放置するわけにもいかず適当な長さに切り分けマジックバッグに片っ端から入れていった
そうしながら歩き森をでるころには夕方になってしまっていた
俺は街までの道を少し急ぎながら帰り 門につくと若い門番さんがいて 俺のギルドカードをみると
お疲れ様ですと敬礼してくれたので こちらも礼を言い街へと入った
街の中で俺は先に像を設置するかギルドに顔をだすか少し悩んだが 先にギルドへいくことにした
ギルドにつき中に入り入り口すぐの買取場所にいるランゼさんに声をかけた
するとランゼさんは
「よぅ! きやがったな!? 今度はなにもってきやがった!」
といきなり攻撃的に話かけてきたのでとりあえず ウォーラビットやエルウルフといった魔物をマジッグバックからだした
すると拍子抜けした顔でランゼさんが
「あいかわらず・・・数は多いが・・・今日はまともな魔物ばっかりだなぁ」
と言ってきたので
「それが・・・言いだしにくいことなんですが 大物が2体ほど別にあるんですが?」
と俺が申し訳なさそうにいうと げっ! と言いながら驚き つぎに
「大物って・・・お前・・・今度はなに狩ってきやがったんだよ・・・・」
とため息交じりに聞いてきたので 俺は慣れた感じで買取場所の中に入り解体する場所へ移動した
すると
「おぃおぃ・・・そんな大物なのかよ・・・」
勘弁してくれよ と額に手を当てて天を仰ぐようにランゼさんがいうのを横目でみながら
マジッグバッグからサソリを2体出した
それをみて解体をやっていた職員が びっくりしたように固まり ランゼさんはプルプル震えながら
「て・・・てめぇ・・・東の森にいったんじゃなかったのかよ・・・・ってか こんなもん ここいらにいるはずが・・・」
と怒りながら困惑し 最終的に カルアさんを職員に呼びに向かわせた
俺はまたやらかしたかなぁと思いつつあたりを見渡していると よびに行った職員と一緒にカルアさんとリリがこちらに向かって歩いてきた
そしてサソリをみた二人はそれぞれ
「うっはぁ ・・・今回もまた随分と」
「・・・・はぁ・・・アマガイさん?私が常に言っていること理解していますか?」
といってきた
俺は森の奥の滝やその先にあった真四角の岩のこと そしてそこには龍神の女神の像があったことを
説明した
するとカルアさんが 驚き 顔を真っ赤にしながら
「それはっ! それは本当なの!?」
とつかみかかるほどの勢いで俺に尋ねてきたので 川の上流とその四角い岩のしたにサソリがいたことを
話すと
「そっちの話じゃない! ほ・・・ほんとうに龍神の女神像なんだね!?」
と言ってきたので はい 間違いありません と答えると そ・・・そうかぁ・・ となぜか
感極まってようにいってきたので
「このあと とりあえずですが うちの教会に像を設置する予定です」
と答えると 私もいくよ! と言ってきたので 了承すると
「ランゼさん! そのバレルスコーピオンは いつものように工房ギルドと錬金協会に連絡して共同で解体と買取をしてちょうだい!」
清算は明日でも明後日でもいいから! と俺の許可もなくカルアさんが指示をだしランゼさんが わかりました! と返事をした
俺とリリはあっけにとられていると カルアさんが俺の腕をひっぱり
「さぁ!像を設置しに行くよ!」
といい ものすごい力で有無を言わせず俺を出口へと引きずりながら進んでいく
「マスター! どちらにいかれるんですかっ! まだ仕事が!」
とリリが引き留めると
「リリ ごめん! 今日は・・・どうしても行かせてほしい・・・あとは任せていいかな?」
と真剣な顔でリリを見つめながらカルアさんがいうと はぁ とため息をついて 明日 今日の分もちゃんと仕事してくださいね と笑顔でいった
カルアさんは
「うんうん! ちゃんとやるからっ! それに明日 晩ご飯もおごっちゃうよ! ねっ!? アマガイ君!」
となぜか俺にまで話を振ってきた
俺は驚いてカルアさんをみると うるうるした上目遣いで おねがい と小声でいってきた
そんな顔は反則だよなぁと思いながら カルアさんには勝てないな と苦笑しつぶやくと
カルアさんは パァっと明るく笑い ありがとう! と抱き着いてきた
それをみて リリが
「マスター?それはやりすぎかと・・・あとアマガイさん? 明日 豪華なディナーをごちそうして下さるようでありがとうございます」
と氷の様な目でこちらをみながら言ってきたので
「いやいや! カルアさんに頼まれたというのもあるけど リリにはいつも心配をかけててしまっているから日ごろのお礼をかねようと思っただけで・・・」
というと
急に暖かい笑みになり そ・・・そうですか では 明日よろしくお願いします と頭をさげてきたので
俺も
「こちらこそ! 明日はよろしくお願いします!」
と礼をした
それをみていた ランゼさんが ちっ! と舌打ちをしていたので俺はランゼさんのほうをみて
「ランゼさん ランゼさんにはいつもご迷惑をかけているので 明日の夜はこことランゼさんの家にも この間よりも豪華な食事をお届けするのでよかったら食べてください」
というと ランゼさんが びっくりした顔で い いいのか!? と聞いてきたので はい! もちろんです! と答えると ランゼさんは急に元気になり
「野郎どもきこえたか!? 明日はご馳走だ! 今日は死ぬ気でやるぞ!!!」
と叫び 解体職員が おーーー!!! と叫び解体を始めたようだった
俺とリリは目を合わせ クスクス と笑いあっていると
「話が決まったようだし! 早く行こう!!」
とカルアさんがグイグイ腕をひっぱってきたので俺は リリとランゼさんに引きずられながら挨拶をし
ギルドを後にした
ギルドをでてからも カルアさんが はやく!はやく! と催促してきて俺は駆け足で うちへと向かった
うちに着き アルさんに挨拶しようとするとカルアさんが さきに設置!! といい教会のほうへ入っていったので俺は仕方なく後につづいて教会へはいると
「あら? カルアさん? それにアマガイさんも?」
とアルさんが教会内を掃除しているようだった
俺は ただいまもどりました と挨拶すると おかえりなさい と笑顔で迎えてくれた
そして俺とカルアさんをみて なにかあったんですか? ときいてきたので説明しようとしたとき
「アル ごめん! 必ずあとで説明するから 今はアマガイ君と二人きりしてくれないかな?」
と今まで一番真剣で少し悲壮感ただよう顔でアルさんにいうと アルさんはカルアさんの目をみつめ
数秒たったあと
「大事な話なんですね? わかりました 終わったらリビングに来てください 晩御飯を用意しておきますから」
と笑顔でいうとカルアさんが ありがと と笑顔で答えた
そしてアルさんが住居のほうへ移動するのを確認すると
「さ さぁ! 像を設置しよう!」
といってきたので俺は 時の女神様の右隣にマジックバッグから像をだし設置した
「台座がなくて直置きで申し訳ないけど近いうちに必ず用意するから待っててもらえるかな?」
とつぶやくと
『全然OKだよ!』
とドーラの声が聞こえたので笑っていると
「ア・・・アマガイ君? この像が そうなのかい・・・?」
と恐る恐るカルアさんが俺に聞いてきたので振り返りながら
「はい これが龍神の女神の像です」
と答えるとカルアさんは像をみながら ツー っと涙を流し
「これが・・・この方が龍神の女神様・・・」
とつぶやいていたので どうしたんですか? と聞くと カルアさんは俺のほうを向き
少し考えた後 意を決したように
「龍神の女神様を見つけた君なら薄々気づいたと思うけど・・・・この世界には多くの・・・・そうだなぁ・・・・うん・・・・大まかにいうと・・・アマガイ君たちの様な人間族・マウアーたちの様な獣人族・そしてエルフのような精霊族なんかがいるんだ・・・・だけど龍人族には滅多に会えない・・・・それはなぜか・・・」
といい俺の顔を悲しそうな顔でみつめながらいい 一息ついてさらに
「龍人族は・・・言ってしまえば獣人よりも強固な体とエルフのように大きい魔力と長い寿命を持つ・・・本来なら種が繁栄していてもおかしくないのに・・・・ほぼ見かけることはないよね?それは
龍人族には滅多に子供が生まれないというのもあるけど私はそれ以外の理由もあるとずっと思っていたんだ」
といった俺はドーラに大体のことは聞き知っていたので龍人族の過疎が進んでいることは察していたがカルアさんがなぜ龍人族について 悲しそうとも悔しそうともとれる顔でそんなことを話しているのかのほうが疑問だった
そんな俺の様子をみて
「ここまで話せば・・・君も不思議に思うよね?・・・私もずっと不思議だった・・・でも!!
今日!!! 今日 君が!龍神の女神の像を見つけたと聞いたとき私は思ったんだ!
やはり龍人族にも神は居たんだと!! でも何かしらの要因で今までその存在が隠されていて他の種族と違い加護を受けられていなかっただけなんじゃないかと!!!」
俺が不思議に思っている点を少し勘違いしてカルアさんがそう言ってきた
俺はそれを否定せず
「龍人族については詳しくはわからないのでなんともいえませんが そもそもなぜ カルアさんはそこまで龍人族や龍神の女神に対してそこまで思い詰めていたんですか?」
と聞くと カルアさんは 再びうつむき黙り込み やがて顔をあげると
「それはね?・・・・私が龍人族だからさ・・・・」
と言ってきた
俺はあまりに衝撃的なカミングアウトで硬直しているとカルアさんは
「私が生まれた所は小さな龍人族の集落でね?・・・とても貧しくて人里からかなり離れた山の上にあってねぇ・・・」
と遠い目をしながらポツポツ自分の過去のことを話しだした
「自分がある程度大きくなった時 長老が他にもいくつか龍人族の集落があるがお互いの集落の場所も知らないし当然つながりなんてないと教えてくれたんだ・・・私は長老になぜこんなところに皆で住んでいるのかと聞いたんだ するとね?長老は 他の種族と違い龍人族は神から種の加護を受けてらず生存競争に負けたからだと言ったんだ・・・・」
悲しそうに話を続け
「私は長老が言っていることが理解できずにその集落を出てあちこちの街を見てみることにしたんだ
そして山を下り 数日かけて街を見つけ街に入ろうとして門番に止められてね・・・私は正直に龍人族だと伝えるとその門番はなぜか私を拘束しようとしてきたんだ・・・私は意味が分からず抵抗するとね?
その門番は 龍人族は危険だから捕まえて奴隷にすることになっているから抵抗するな と言ってきたんだ・・・私は必死に抵抗しなんとか近くの森の中に逃げ込んだんだ
そして何日か森の中を彷徨い湖をみつけそこで自分の姿をみると人間にはない角が2本はえていたんだ
私は泣きながらその角をへし折り人間の振りをすることにしたんだ」
と頭の たぶん角があったであろう場所を撫でながら涙ながらに話してきた
そして そのあとは 他の街で闇に紛れ忍び込み冒険者ギルドで人間族として登録しあちこちの街で
依頼をこなしリーネさんたちと出会いチームを組んで冒険をしたと教えてくれてた
その話の内容があまりにも衝撃的で俺は絶句していると 悲しそうに笑いながらカルアさんは
「だからね?今日 君がこの女神様を発見してくれたことは私にとってとても大事で・・・ある意味冒険者を続けていた理由の一つが解決した瞬間だったのよ・・・」
といった
そして
「アマガイ君・・・それでね?・・・もしよければ・・・この像を私にくれないかな?・・・」
と言ってきた
俺は我にかえりドーラとの約束を思いだし
「それは・・・すいません・・・実は龍神の女神に いつか龍人族の集落をみつけそこに像を届け信者をつのると約束しまして・・・そのしるしとしてこれを頂いたんです」
と言いながらドーラにもらったブレスレットと龍華絢爛を見せた
するとカルアさんは目を見開いて驚きながらブレスレットと龍華絢爛をみてそして俺の顔を見つめ
覚悟を決めたように
「だったら・・・私を最初の信者にしてもらえないかな?・・・」
と言ってきた
俺はどうしようかなとおもっているとブレスレットが急に輝きだし俺とカルアさんが驚いていると
いつのまにか俺の横にドーラが立っていた・・・・・




