第二章 異世界生活始めます
彼らはどうやら人を探しに来てるらしい。
そう考えついた時、背中がゾクッとあわだった。
違う、絶対に違う。
そう思うのに、彼らの目的が自分の様な気がして仕方なかった。
「何か、情報があれば直ぐに連絡を頂きたい」
青い髪の男はそう言うと、3人目の男に目配せした。
その男は清潔感たっぷりの刈り上げられた赤い髪をしていて、その立ち居振る舞い方も寡黙な感じがした。
もちろん美形であるが、3人の中で一番力がある様に思えた。
「こちらを」
低い声でそう言うと赤い髪の男はメリダに一枚の紙を差し出した。
「おやおや、大層に王命かい」
男の差し出す紙を見て、メリダが訝しげに眉根を寄せる。
「皇太子の番は、我らにとっても大切な存在だ。何としても見つけ出さなければならないんだ」
メリダの言葉に答えたのは青い髪の男。
番・・・ますます、彼らが探してるのが自分の気がしてきた。
うわぁ、やっぱり捜索とかされちゃってるのかなぁ。
それはかなりありがた迷惑なんだけど。
「そうかい。まぁ、黒髪の成人女性を見かけたら連絡するとしよう。だから、とっととおかえり」
メリダはぞんざいにそう言うと、再び3人を追い立てる。
「西の森の魔女様、もしかしたら近いうちに王都へ召喚されるかも知れないから準備よろしくね」
ひらひら手を振ってそう言った茶色い髪の男は愛らしくウインクしてみせる。
もちろん、メリダはそれにも塩対応を崩さない。
「悪いが私には先読みの力はない。王にそう伝えておくれ。呼ばれても力にはなれないとね」
今度こそは、メリダに3人を家から追い出した。
大きな体の男達が家を出て行くと、たちまち静寂が戻ってくる。
メリダは大袈裟な程大きな溜め息をつくと、ドアに鍵をかけて振り返った。
「もういいよ、出といでヴィオ」
あ、メリダにはバレてたんだ。
「はーい」
返事をして物陰から立ち上がる。
目が合うとメリダがへにょりと眉を下げた。
「今の話を聞いて分かったと思うが、連中はヴィオを探してるらしい」
「・・・そうみたいですね」
頷き肩を竦め溜め息を漏らす。
「幸い連中はヴィオが魔力で容姿と体の大きさが変わってる事を知らない。今のうちに対策を考えようか。ヴィオは見つかりたくは無いのだろう?」
「うん、見つからないようにしたい」
突然召喚した奴らに良いようにされてたまるかって思った。
それと同時に、平穏な日々が終わりを告げるかも知れないという不安も湧いてきた。




