帰宅と確認とまた明日
さて、あの日イベントを終えた後。
宿で一晩過ごした後、アリシエルも含めた全員で聖区へ帰還する事になった。
アリシエルは種族にアンデッドがあるらしいので心配だったのだけど、浄化耐性スキルがあるから街中なら気にする程ではないらしい。
お昼頃に宿まで馬車が迎えに来て、そのまま聖区へ直行。
ノアさんやオウルさんに出迎えられて、ようやく終わったのだと実感した。
聖区へ帰還後。
まずは事の顛末などをノアさん達に報告をしようとしたのだけれど、今回の件に関する報告はカグラさんやスヴィータ、とーまくんにしてもらうから大丈夫だと言われ、ノアさん直々に部屋に放り込まれた。
ミラちゃんは暫く安静にして、無理はしないこと、と。ノアさんが真顔で言い残して行ったのは記憶に新しい。
あと、部屋に戻る前にオウルさんから聞かされたのは、今後の予定について。
神殿としては西の森にあるレキシファーが居たとされる地下墓地の確認と浄化を。
国の方は今回の混乱の沈静化や各地への伝達など処理する事柄が大量に舞い込んだためか、第二王女との面会の日程は先に延ばされる事になった。
地下墓地へ行くのも浄化等が終わってからだと言われたので、暫くは完全にフリーである。
ならば、せっかく合流できたのだからアリシエルと一緒に遊ぼうと思ったらなんと、アリシエルはアリシエルで神殿騎士になってくるわと軽いノリでどこかへ行ってしまった。
スヴィータは報告が終わればすぐに部屋に来てくれると言っていたが、現状部屋には私とメサルにティム、サビクだけである。
……最近常に誰かと一緒だったせいか、少し寂しい気がするね。
「……ふぅ」
『お疲れ様でした、ミラ様』
『どうするー? お休みするー?』
『ぴー?』
部屋のソファに深く腰掛け、ため息を一つ。
装備を全てぬぎすてて、クローゼットから選んできた適当なワンピースに手早く着替えた。
思い出すのはレキシファーの言っていた話だ。
ノアさんやオウルさん、アリシエルにも確認する時間もなかったから本当かどうかもわからない。
彼は私の事を半精霊だと言って、レオリシェルテさんも同じように私の事を半精霊だと呼んだ。
半精霊。
精霊と獣人の間に産まれた子供だと言う。
私の記憶は、あの暗い部屋で、お母様の最後の別れの言葉を聞いて終わった。
他には何も知らないし、わからない。
流されるようにここまでやってきたけれど、あの記憶だけが、本当に私の記憶の全てなのだろうかと思ってしまう。
「メサル」
『はい、ミラ様』
「私は半精霊なの?」
『……。間違いありません、ミラ様は半精霊であり……精霊の導き手でございます』
「精霊の導き手?」
〈条件を達成しました。種族情報が更新されます〉
〈種族に半精霊が追加されました〉
〈条件達成により、『精霊魔法』が『精霊の導き手』に変更されます〉
〈スキルが変更された事により、アーツが変化しました〉
〈称号:精霊の導き手を取得しました〉
〈エクストラスキル『精霊化』を取得しました〉
〈神器:イリスダガーが所有者の意思に適応し、進化しました〉
〈神器の進化により『短剣マスタリー』が『双剣マスタリー』に変化しました〉
〈『聖剣技マスタリー』を取得しました〉
「……なんか、一気に来たね。メサル、ティム」
『かしこまりました』
『はーい!』
久しぶりのインフォメーションラッシュである。
精霊の導き手っていう言葉を認識するのが条件だったのかは知らないが、突然すぎやしないかな。
種族が更新されたとか、武器が進化したとか、スキルや称号が増えたとか。
どうせなので、久しぶりにここでステータスの確認でもしておこう。
ダイアリーを呼んで、メサルとティムが入り込む。
サビクはテーブルの上に移動してもらい、本を開いた。
あ、ついでにポイントをAgiに振っておこうかな。
ネーム:ミラ
性別:女性
真名:カーミラ・アリエティス
種族:金羊族/半精霊/Lv30
精霊:ティム/メサル
出身:精霊界
取得言語:精霊語/獣人共通語/古代神獣語/魔法言語
ステータス
Str 15+1
Int 46+1
Dex 24
Vit 15
Agi 160+15
Men 29
スキル
30/20
双剣マスタリー Lv1
体術マスタリーLv11
聖剣技マスタリーLv1
敏捷強化 Lv16
感覚強化 Lv19
身体制御 Lv13
操糸 Lv1
光系統魔法 Lv19
鑑定 Lv16
アスクレピオスLv15
精霊の導き手 Lv11
精霊化Lv1
神獣契約Lv7
魔法装填Lv3
空間魔法Lv4
神聖系統魔法Lv10
魔力操作Lv5
魔力感知Lv6
魔法技能lv3
速読lv11
使い魔
サビク Lv11
神獣メドゥサ
称号
精霊の導き手
蛇使いの聖女
女神の娘
聖女の娘
金羊の次期聖女
正規冒険者
ニトゥレスト・ソルシエールの弟子
……今までやったことを考えると仕方ないんだけど、魔法系のスキルが凄い勢いで上がっているね。
ランダムポイントさんもMenにばかり入っているし。
種族欄には確かに半精霊とあったが、あるだけだ。
詳しい事はやはりどこかで調べる必要はありそうだが、私が半精霊とやらだというのは間違いないらしい。
「双剣マスタリー。イリスダガーが進化したって言うけど、特に変化はないように見える……ぴっ」
インベントリからイリスダガーを取り出してみるが、いつもの剣帯にぶらさがった鞘に、収まっているいつもの短剣。
見たところ何も変化はなく、試しに鞘から抜いた所で視界が白く染まる。
[装備品]聖双剣イリス/武器:双剣
レアリティ:EX
所有者固定/紛失無効/盗難無効/売却、譲渡不可
神器
不壊
光系統スキル強化:大
神聖系統スキル強化:大
空間魔法強化:大
敏捷強化:中
エクストラアーツ:『ディメンション・レイヴ』
金羊の女神の聖遺物。
女神アリエティスからカーミラ・アリエティスへと受け継がれた聖剣。
闇を払い、救済を行う黄金の刃。
けして折れず、壊れず、主を護る。
持ち主に呼応しその姿を変える神器。
視界が戻る。
短剣の刃からは光が溢れて真っ直ぐに伸びており、そのまま黄金の片手剣を形作っていた。
手のひらに吸い付くように馴染む剣は軽く、もう一本も鞘から抜くと同じように刃が伸びて。
ソファから立ち上がり、物に当たらないよう移動してから軽く剣を振ってみる。
「確かに、もう少し長かったらいいなとは思ったけれども。だいぶ使い勝手が変わりそうだねこれ」
『神器の進化ですね……しかし、ミラ様のスタイルには合っていると言えるのでは?』
『ダガーとしても使えるみたいだよー?』
「ふむ……このエクストラアーツとやらも気になるけど、ここで試すわけにも行かないしまた今度でいいか」
鞘へ仕舞おうと剣に意識を向ければ光が拡散して弾け元のダガーへ戻る。
ソファへ戻り、二本とも鞘へ戻してインベントリに仕舞った。
「マスタリー関連も後でいいや……今はこれかな、精霊の導き手と精霊化?」
精霊の導き手:Lv11
┗半精霊/パッシブ(スピリア数+1、スキルレベル5毎にさらに+1)
┗精霊の導き手/パッシブ:魔眼(スピリアとの意志疎通が行える。魂の存在を正しく認識し、適性のある魂をスピリアへ昇華させる)
┗戦精霊/パッシブ:使役(スピリアが戦闘に参加する事が可能になる。スピリアのステータス、スキルはスピリアの潜在能力に依存する)
精霊化:Lv1
┗トランス/アクティブ(自身の存在を精霊と化しステータスを強化する。強化量、効果時間はスキルレベルに依存する)
「えーと。スピリアの数が……今だと四になって、メサルとティムが戦えるようになった?」
『現世をさ迷う獣人の魂をスピリアに昇華させる、も追加でございますね』
『おー、お友達が増えるのかなー?』
「精霊化は自分を精霊にするって……これ大丈夫なのかな」
『……人前では使わない方が良さそうですね』
『けんしょーはしなきゃだねっ』
「だね。ただし、こっそりとだけど」
レキシファーの話を考えるに精霊化は危ないように思えて仕方がないので、試すにしても注意が必要そうだ。
ほかのスキルは普通にアーツが増えていたりと、劇的な変化はなかった。
サビクのレベルも中々上がっているがそれだけで、この子の使えるスキル等は増えていないね。
成長したら、そのうち脱皮とかするのだろうか。
そして、最後に称号。
増えたのは精霊の導き手……だが、これの効果がよくわからない。
いや、書いてあることはわかるんだけども。
精霊の導き手
半精霊の神子に与えられる称号。
精霊を導き、やがて精霊界へと送る者。
精霊姫の護り手と共にある場合、精霊姫の護り手のステータスに自身のステータスの最終値の20%を加算する。
自身の使役するスピリアのステータスに自身のステータスの最終値の10%を加算する。
どうやら、戦精霊のアーツを強化してくれる称号のようで。
自身のスピリアのステータスに私のステータスを加算するというのはいいのだけど、精霊姫の護り手って何だろうね。
わざわざ指定されていて、増加量はスピリアに与えるものよりも効果が高いらしい。
共にある場合って言うことは、この称号だかスキルを持っている人だかNPCやらが他にいると言う事なのだろうか。
……私のステータス、Agiばかり上げてるんだけども。
「……ふあ」
『ミラちゃんおねむー?』
『ミラ様、ここ暫くずっと眠っておられないでしょう。お眠りになられてはいかがでしょうか?』
「んー、うん。そうだね……時間もあるし、暫く寝ようかな。多分暫く起きないと思うけど……ノアさんには、スヴィータに任せよう」
ゲーム内では数時間前くらいに起きたばかりなのだけど、精神的な疲れがピークになったのか眠気が来る。
イベントの為とは言え、ずっとログインしていたから日にちの感覚が狂っていそうで少し怖いね。
ここはそう、現実に戻ってゆっくり睡眠を取るべきではなかろうか。
うん、そうと決まればダイアリーを閉じて、寝室へ向かう。
さっき着替えたし、このままでもいいだろう。
メサルとティム、サビクを連れてベッドへ潜る。
「スヴィータとアリシエルにメッセージだけ送っとこう……よし、おやすみ、メサル、ティム、サビク」
『はい、おやすみなさいませ。お疲れ様でした、よい夢を』
『おやすみ、ミラちゃん。ミラちゃんが寝てる間に戦うれんしゅーしとくね!』
『ぴ! みーも!』
イベントは終わったが、きっとまた新しい何かが始まるのだろう。
新しい力を手にして、新しい仲間を迎えた。
本来の目的である、何をすればあの人ともう一度会えるのかとか、そういった事はまだ何一つわかってはいないけれど。
きっと、少しでも、前には進んでいると信じよう。
目蓋を閉じて、ログアウトを実行する。
一旦薄れ、また浮上する意識。
次にこちらに来た時は、何をしようかな?
六章・了
特に見所のないステータス回……ステータスの表記はこういう時でもないとやりたくない謎の拘り
わりと長く感じた六章終わりです。




